とあるヒモノ女の憂鬱。   作:SUN'S

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第16話(篠ノ之束)

この前、いっくんを観察するためにIS学園へ偵察用としてISを送り込んだときことだ。束さんのISを殴ったり蹴ったりして食い止める頭の可笑しいヤツを見付けた。

 

ちょうど暇を持て余してたから、ソレのことを調べれば調べるほど胸糞悪くなってきた。アレは束さんのことを模造品として人為的に造ろうとして産まれた束さん以外からすれば最高傑作の人造人間だ。全世界と敵対している束さんが言うのもなんだけど。

 

人造人間を造ろうとするなんてバカなことを考えたのはどいつなんだろうね?それにアレから「コアNo.003」の反応を受信している。どこまで束さんのことを愚弄すれば気が済むのかな?

 

束さんの大切な子供を寄越せって喚いたり、束さんを造ろうとしたり、人間の行ってはいけない三原則をアッサリと捨てるなんてゴミカスだね。

 

向井雪路(未完成な束さん)、君も大変だね…」

 

ツゥーッとディスプレイを右手の指先で撫でながら心臓を押さえるアレを見詰める。

 

いろいろとアレの行く末を考えれば心臓代わりの「コア」を摘出され、遺体は実験用として保存状態を保つためにホルマリン漬けだろうか。

 

私の子供を宿す人造人間なんて他国の権力者は血眼になって回収しようとするだろうけど。どんな状況だろうと「コア」を宿している限り、束さんを君を守るように指示を送ってあげる。

 

もしも子供を捨てようとしたら君の身体を内側から破裂させちゃうかもしれないけど。束さんは天災なので許容範囲として処理されます。そういうことはちーちゃんに相談すればいいよ。

 

まあ、束さんを頼っても実験用として監禁しちゃうかもしれないけど。そんなことが起きないようにIS学園を出ることは控えようね。

 

「束様、ご飯が出来ました」

 

「うん、今行くよ…」

 

眉間を摘まんでいると後ろからクーちゃんの声が聞こえてきた。もう、そんな時間になっちゃったのかと思いながら観測室の出入口で待っているクーちゃんのところへ飛び降りる。

 

きっとアレは報われることのない青春を送るんだろうね。自分の心を持たない模造品は「無関心」という真似事や行動を行うことで自己を保つしかない。

 

ずっとアレは欲しいと思えるものを見付けることは出来ない。ずっとアレは束さんのように心を許せる親友を得ることも出来ない。ずっとアレは「無関心」や「興味ない」なんて真似事しか出来ない。

 

あの子を救おうとは思わない。

 

あの子を助けようとは思わない。

 

束さんを理想のためにしか生きたくない。

 

束さんは自分の手の届く距離しか守れない。

 

束さんはお父さんもお母さんも守れなかった。

 

どれだけ理由や言い訳を考えても箒ちゃんは許してもらえないだろうけど。お父さん達の分まで箒ちゃんを育てることを勝手に約束している。

 

そのためには織斑一夏(いっくん)の存在は必要不可欠だ。人間は宇宙へ飛び立つ翼を得れば更なる高みへ飛ぶことが出来るのに、あの老害は自己の権利を強めることしか考えていない。

 

あと五年は我慢してあげるけど。

 

五年経てば束さんは宇宙の最果てを目指すために飛び立つ、その時は織斑千冬を筆頭として束さんの家族だけを連れていく。

 

無限の先を見るために費やしてきたモノを兵器として扱われ、子供のように愛したモノが殺し合う姿を見せられ、自分を造ろうとする人類なんて滅んでしまえばいい。

 

「ねえ、宇宙へ行くなら最初は何処がいい?」

 

「私は束様の隣なら何処だろうと…」

 

「むう、曖昧な答えだなあ…」

 

まあ、束さんの理想(ユメ)を止めるのは無理だよ。

 

お前達は自分の過ちを悔いて死ねばいいさ。

 

 

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