⇔月▼日
ラウラ・ボーデヴィッヒを喰らおうと侵食を始めた「黒い雨」と彼女を引き剥がすことが出来たが、左腕の伝導率を支えるナノマシンを食われた。
まだ、心臓の痛みは引いていないというのに派手な事件を起こすとは酷いヤツだな。そんなことを考えながら特攻を行おうとした織斑一夏を転がし、隙を作るまで待機しておけと言い聞かせる。
尤も隙を作ろうと思って作るのは難しい。
それに世界最強の戦乙女の称号を持つ織斑千冬の
しかし、如何なる攻撃をも防ぐことを想定し、肉体を構築する全ての細胞と結合しているナノマシンを削り落とすとは厄介な能力を付けるとは…。
このまま劣化模造品と殴り合えば残り少ないエネルギーを根刮ぎ奪われ、文字通り身を削って止めていたヤツの振るう剣を防げなくなる。
どうにか動きを封じることが出来れば織斑一夏の「零落白夜」を叩き込むことが出来るが、シャルル・デュノアの機体の損傷が激しい。更識簪は人命救助のために観客席へ呼び戻されている。
なんとも言えない窮地だな。
⇔月◎日
私は苦肉の策として「冥道通告・死者進呈」を放ち、織斑一夏が「零落白夜」を発動して攻撃を行える僅かな隙を作ることは出来た。
私の左腕は衝撃を吸収するナノマシンを奪われていたせいで弾け飛んだが、そこまで騒ぎ立てる必要はない。それに消し飛んだ左腕のことは倉持技研へ義腕を頼めば解決することだ。
まあ、あのような危機を脱するためには必要不可欠な代償だと考えれば問題ない。
尤も食事や入浴は片腕なので大変なこともあるが、勝手に突入してくる更識簪と布仏本音のおかけで満足している。
そんなことを考えながらパジャマを着ようと袖を通していると部屋の扉を蹴り破ってラウラ・ボーデヴィッヒが入ってきた。
貴様も安眠を揺るがす存在ということだな。私の安眠を奪うことは絶対に許さない。如何なる理由だろうと貴様を排除してやる。
私の言葉を聞く耳は持っていないのか、なにも言わずにベッドの中へ潜り込もうとしてきた。おい、ベッドの中から服を投げるのはやめろ。
お前は他のヤツと比べて少しだけまともだと思っていたのに痴女なのか?他人を前にして服を脱ぎ捨てるのは痴女しか有り得ないことだ。
はあ、私には関係無いことだ。
それに構えば構うほど変態は付け上がるとアバズレ生徒会長が言っていた。あまり変態の言っていることを信じたくはないが…。
⇔月∈日
私は倉持技研に義腕を受け取るために電車を経由して本土へ向かっていると銃器を構えた覆面の集団と遭遇した。明らかに銃口の先に立つのは私だ。
しかし、人の密集することの多い電車を選んだのは失策だな。これだけ狭ければ銃器を振るうことは出来ないし、片腕とは言えど銃弾を跳ね返す瞬時硬化を相手するつもりか?
それに攻撃手段は拳だけではない。私には足という攻撃手段がある。とりあえず、蹴り飛ばしてやるから窓際に並んでおけ。
少しばかり加減を間違えるかもしれんが、犯罪者を許すつもりはない。犯罪行為を行う者は誰だろうと叩き潰せとアバズレ生徒会長に言われている。
貴様らを見逃す道理はない。
それに私は不機嫌なんだ。
苛立ちを静めるために貴様らを叩き潰して平常心を保たせてもらおうか。なに、心配する必要はない。目を覚ませば貴様らは仲良く塀の中だろう。
むう、逃げるのは酷い奴らだな。
ちょっとしたジョークじゃないか。これでも更識簪や布仏本音は笑ってくれるとっておきだぞ?