俺はアリーナで更識さんと布仏さんの親友だという女の子と向かい合うように構えている。彼女は専用機を持っていると千冬姉から聞いているけど、彼女は俺と同じ訓練機"打鉄"を操縦している。
俺をバカにしているのかと怒鳴ろうとした瞬間、布仏さんが「おりむー、ムッちゃんは手加減しないと危ないんだよぉ~っ」と通信機越しに教えてくれた。簡単に言えば「手加減は苦手だから弱い機体を使うから安心して良い」という配慮とのことだ。
それは遠回しに手加減しないとダメなヤツと認定されてるってことだ。確かに小さな頃から鍛えてきた彼女と張り合えるほど強くないが、女の子を守りたいって思いは持っているつもりだ。
たぶん、こんなことを言っても彼女は「貴様は自己の主張ばかりだな、気色の悪い」と言ってくると思う。やっぱり、彼女も他の人のように女尊男卑の考え方なのかと思っていたけど。
更識さんの話を聞けば「すんごく情けないヤツが嫌い」らしい。そこまで情けなくて見えてるのかな?なんて考えてしまう時もあるが、更識さん達のように彼女と仲良くなるためにも頑張るしかない。
「打鉄焼結、冥門解錠ーーー」
彼女の暴風の如く続いていた攻撃は止んでおり、アリーナの壁際まで下がって両の腕を開きながら身体を低く構えているのが見えた。同じ機体だというのに対等に渡り合うことも出来ていない。
この前、布仏さんが教えてくれた瞬時加速を使っても勝てるか分からない。それでも彼女との間合いを詰めるにはこれしかない。
「ウオオオオォアアァァァァッ!!!」
「
低く構えていた彼女が両の手を十字に構えた瞬間、極太のビームが飛んできた。単一仕様は専用機だけしか使えないって授業で習ったんだけど。
ひょっとして山田先生の話は間違ってたのか?そんなことを思いながらも僅かに残っているエネルギーを使って立ち上がり、彼女の佇んでいるアリーナの壁際を見ると打鉄の両の腕は焼き焦げ、尋常ではない焼却の痕が地面を抉るように刻まれていた。
「ムッちゃん、ビーム禁止でしょーっ!?」
観戦席に座っている布仏さんの声が聞こえてきた。やっぱり、さっきのはビームだったんだ。ISって実弾とか刀剣で戦ってるイメージしかなかったけど、彼女みたいにビームも撃てるんだな。
「織斑君、大丈夫?」
なんとか起き上がれた俺のところへ更識さんが救急箱を持ちながらやって来た。少し、ほんの少しだけキュンとしてしまった。ダメなところしか見せてないのに労ってくれるし、心配もしてくれる更識さんは優しい女の子だ。
「貴様、私の攻撃を
俺を押し倒す勢いで詰め寄ってくる彼女の瞳は怒りではなく好奇心や興味を惹き付けるモノを見る子供のようだった。更識さんや布仏さんは彼女の言葉を聞いて思い出したようにビームの反れた理由を聞いてくる。
そんなことを言われても俺は千冬姉の振ってた剣の動きを真似しようとしただけだし、さっきのビームを斬ったのだって紛れ当たりでしかない。
そんなに期待されても答えようがない。