9084 共産趣味と化した世界   作:ryanzi

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数千年の眠りから覚めると・・・

「・・・致死性横隔膜痙攣、ですか?」

 

「ええ、あと五十回ぐらいで死にますね」

 

伊藤信義は病院に来るまでに五十回も横隔膜の痙攣を経験した。

 

「はっきり断言します。今の時代では治療不可能です」

 

医者は残酷な事実を告げた。

 

「・・・そうですか」

 

彼は独身であった。既に両親も他界していた。

後悔がないといえば嘘になるが、どうしようもなかった。

 

「・・・一つだけ方法があります」

 

「なんですか?」

 

「私の知り合いが開発したもので、まだ公開されてはいませんが・・・」

 

医者はある技術の存在を信義に言った。

 

「・・・いいでしょう、それに賭けてみます」

 

「・・・ありがとうございます」

 

 

 

 

「すまない。こんなものの実験台にしてしまって」

 

男は申し訳なさそうに言った。

 

「大丈夫ですよ、それよりも早くやったほうがいいんじゃないですか?」

 

信義には残り二十五回しか残されていなかった。

 

「そうだな。じゃあ目を閉じてくれ」

 

信義が目を閉じた途端、レバーが引かれる。

信義が入っていたケースは一瞬で凍結する。

 

「・・・史上初の冷凍睡眠がこんな形で行われるとはね」

 

男の名は清宮守。

人類で初めて冷凍睡眠を実用化した男だった。

 

 

 

 

 

信義が眠りについている間、色々とあった。

そう、とにかく色々とあったのだ。

虐殺〇官も真っ青なことがあったのだ。

華氏4〇1度も真っ青なことがあったのだ。

共産『趣味』者の大弾圧である。

これは世界中(日本と一部国家除く)で発生した。

断じて共産『主義』者の大弾圧ではない。

 

だんだんと共産趣味者の定義は曖昧となった。

(日本の)共産趣味者が淫夢語録を使うことから、同性愛者は共産趣味者と認定された。

共産趣味者は特定のゲイビデオ出演者を玩具にするから、同性愛を馬鹿にするものも共産趣味者と認定された。

共産趣味者は平等を訴えることから、平等主義者は共産趣味者と認定された。

共産趣味者は不平等を是認しているから、そういったものも共産趣味者と・・・。

キリがなかった。そして、驚くべきことに、そういった弾圧をするのは国家ではなく市民団体だった。

なぜ、このような弾圧が行われたのか。それは日本で起こったある事件が原因だったが・・・。

それはまた別の機会に話すとしよう。

ともかく、何千年もの時が過ぎ去ったのだ。

 

 

 

 

 

信義は見知らぬ病室で目を覚ました。

 

「・・・生きてる?」

 

彼は自分の頬をつねる。痛い、ここは現実だ。自分は生きているのだ。

それと同時に、医者らしき男が入ってくる。

 

「おはようございます。そして、9084年にようこそ。伊藤信義さん」

 

彼の言ったことを理解するまでに、数秒という時間を要した。

ふと、どこからか「デェェェェン」という音が聞こえてくる。

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