9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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影響。
それを避けるには、彼等には。


80.余波。

 

全員が意識を失い、気付いたら一時間も経過していた騒動。

ほぼ全ての生徒・教員まで倒れ込んでいた騒ぎがそう簡単に片付くわけもなく。

何が理由なのか、全員の体調面に異常がないか。

そんな至極当たり前のことを調べる為――――全員が一度、急遽病院へ向かうこととなり休校。

同時に施設内の調査の為に明日一杯も立ち入り禁止・休校と相成った。

 

『しっかし何だったんだろうな。』

『ガス漏れだったとかって聞こえてきたけど……。』

『もしそうなら匂いで気付くんじゃね? 水に何か混じってたとか……。』

「お馬鹿ね。 全員が倒れる理由にはならないでしょう?」

 

出る結果は異常なし。

だからこそ。

何も知らない、知らなくて良いことを知らない生徒たちは。

思い思いに自分の考えを並べ続けていた。

 

そして、理由を知る俺達は。

そんな生徒たちと別れた後に希亜に連絡。 事情はLINGでも連絡して、合流待ち。

倒れたことを強く心配する俺達と、大丈夫と言い張る都とで何とか折り合いをつけ。

もし少しでも()()が起こった場合を想定し――――。

 

「……流石にこんな流れは見た覚えないな。」

「というか、完全に同じ流れなんて経験したことあるの? 翔君。」

「……無いです。」

 

いや、正確に言えばあるんだぞ?

ただ、それは()()が同じ枝から少し前の時間軸で派生させることで起こっている事象。

()()()()()ならそれを理解できるが、完全に同時に……なんてのは俺には無理だ。

 

「まぁまぁ、折角こうしているわけですし。」

 

ずず、とコップから音を立てながら天が呟いた。

 

……今は、ここ。

喫茶《ナインボール》にて、閉店の時間帯まで片隅を借りて暫くの間過ごす事となった。

本来なら両親がいる家に戻れれば良いのだが……家業が家業だけに、両親共に暫くは忙しいらしい。

それでもたった一人の娘が心配で、祖父に依頼し……という流れになったのだとか。

つまりはそれ相応に信用されていると思って良い……んだと思う。

前、この店の経営者(みやこのそふ)からの印象を語られた覚えもあるし。

俺個人としては、家で寝ていてくれたほうが安心できるんだが。

そんな目線に気付いたからなのか、少しだけ口元を歪めつつ。

 

「……今は、一人にならないほうが良いって言ったのは誰だっけ?」

 

当人にそう言われると、二律背反となって口を閉ざさざるを得ない。

 

「やーっぱにぃにはみゃーこ先輩には弱いよねえ。」

「多分都と並んで被害受けたのお前なんだが……。」

 

俺も実際眠ってはいるが、倒れるまでは行かなかった。

都の場合は……春風の能力の少しの差が故に倒れたんだとは思う。

精神的に脆い、という部分も加味したとして。

春風→俺→都、という繋がりがある以上。

ほんの少しでも差が出てしまうのは仕方がない範囲なのだから。

 

「え、何? 心配してくれてんの?」

「そりゃするさ。 しないとでも思ったのか?」

「してくれたらいいなーとは思った。」

 

倒れたにしては元気な妹。

まあ、特に気付かずに寝てただけなら然程被害は酷くなかったのだろう。

最も不味いのが、あのまま眠り続けて衰弱死――――ということで。

その次に不味いのが、精神的な負荷による病なのだろうから。

……しかし。

 

「ソフィのやつ何処行ったんだ……?」

「……戻ってきませんね。」

「愛想尽かしたとか?」

「俺が彼奴とそういう関係に見えるのか天……。」

「いやほら、ダメダメだし?」

 

笑顔で拳を握る。

笑顔で椅子から遠ざかる。

そんな俺達を見て笑う、春風と都。

 

「でも、確かにそうだよね。 普段なら……特にこんなことがあったら。」

「なにか……思い当たることはないんですか? 翔さん。」

「強いて言えばレナの方くらいだよ。 後は……与一を探してるか、それくらいか。」

 

こんな騒動が起こった要因は、まず彼奴だろう。

何処で何をしているのか、そんな手がかりすら掴めない現状。

影だけが見える状況に事後的に対処するしか無い今は、不気味さを余計に増していた。

 

「どうしたもんだろうな。」

 

そんな呟き。

同時に、俺の腹から小さく音が鳴った。

……頬に熱が集まるのを感じ、目線を逸らしながら。

 

「……何か頼むかね。」

「そう、だね。 待ってるだけって言うよりは。」

「あ、にぃに。 私今日も泊まってくから。」

「いやもうお前は好きにしろよ諦めたよ。」

 

今は、少しばかりの休息を。

一般版発売記念外伝ヒロインを決めよう。

  • 春風
  • 希亜
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