9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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理想を胸に掲げた者は。
理想を抱く誰かへと。

*本日二話目です。


82.5.君と、彼と。

 

LINGに届いた、幾つかの文面。

送り先がグループではなく、私個人だったことに最初に首を傾げた。

 

『ごめん、手を貸して。』

 

送り主は、都から。

翔が送り出していって大分経ち。

何かあったのか、とそろそろ心配になり始めた時間だった。

 

『襲撃!?』

『……違う。 それでも……多分、希亜ちゃんが一番適任だから。』

 

そんなやり取りは極短時間に。

最初に浮かんだ言葉は、幾つかの疑問とともに浮かんだものだったけれど。

都のすぐの反応で消えはしたものの……更に、疑問が浮かび上がった。

私服、少しだけラフな(楽な)格好はしていたけれど――――外に出るための服装に手を伸ばす。

その間にも、都からの返答は続いていた。

説明……ううん、彼女からの()()のように。

 

『私と同じ……それ以上に、翔君は傷ついてると思う。』

『私と同じ顔をしてた。』

『私と同じ、動き方をしてた。』

『……一番、苦しんできたのは翔君だから。』

 

今日何が起こったのか。

それは、天や春風からある程度は聞いていた。

けれど、翔と都は――――二人以上に、傷ついていた?

 

思い出せ、結城希亜。

 

彼と最初に出会った……()()()()()()()()()()のこと。

あの時の私は、何処か他人を見る視線だった。

幾つもの枝を超えて、ちゃんと「仲間」として皆に迎えられた時。

そして、今。

それを考えれば――――間違いなく、苦しんでいるのは彼。

 

『貴女は大丈夫なの、都。』

『私は……うん、少しなら大丈夫だと思う。』

 

眠れるかはわからないけど。

そんな、冗談にもならない言葉を追記して。

馬鹿、と返したらすぐに謝ってきたけど……多分、これも事実なんだと思う。

眠れば思い出してしまうだろうから。

そんな心を救えるのも……同じ経験をした、()()だけだとしても。

その当人が沈んでいるのでは、何の理由にも救いにもならないから。

 

『だから……ごめんね、任せちゃっていい?』

『全く……一個、()()ね。』

『え?』

 

そこでLINGを止め。

にゃぁお、と鳴くシュバルツの頭を一撫でして。

少しずつ暖かくなり始めている外へと出た。

 

借り。

彼女に対しての借り。

物語のヒロインみたいに、誰かを救う機会を貰えるんだから。

本当なら、一番向いているのは彼女だって何となく感じてるけど。

 

「文字通りのお嬢様で、無意識にでも護って貰えるような相手で……私は精々、何かの戦士とかかなぁ。」

 

そんな愚痴にも似た言葉を独り言として呟く。

羨ましい、という感情がないわけではない。

私は私、という立場をずっと抱えていく。

過去があるから、別の枝の積み重ねがあるから。

今の私という立場が、選択肢がある。

 

「さて。」

 

護られる立場ではないから。

共に歩く相手だからこそ。

背中を押すのではなく、腕を引いて共に進める。

それを出来るのは、私しかいないんだから。

 

(コンビニで待ってれば来るかな……あのコースからなら、その筈。)

 

この先を考えて。

この後を考えて。

眠れなくなるのを分かっていて――――珈琲でも飲もう、と。

静かに、待ち人を待ち始めた。

それくらいのほうが、きっと。

 

『みんな』の為に、『私』の為になると感じていたから。

 




*希亜がコンビニ前で待っていた理由。

一般版発売記念外伝ヒロインを決めよう。

  • 春風
  • 希亜
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