9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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暗転。
その先。


4/26(火)
83.知り得る先で。


 

――――目が覚めれば、カーテン越しに光が目に刺さった。

 

「ん、ぁ…………?」

 

ベッドではなく、床に寝転ぶような姿で寝ていたのは何故か。

よくよく見れば服装も制服のままで。

少しずつ目覚めていく頭の中に、覚えている限りの記憶を想起した。

 

(確か……家に戻ってきて、三人の顔を見て……?)

 

そうだ、確かその時点で気が抜けたように朦朧とし始めて。

少しだけ横になる、と告げてその場で休み始めたんだったか。

三人には心配も掛けただろうが……不思議と安心して、熟睡してしまったらしい。

 

時計を見ればもう八時半。

通常であればとっくに遅刻の時間帯だが、今日ばかりはセーフ……と言って良いのか。

天は……まあ、妙に調子がいいし可愛がられてるし、誤魔化したんだろうな多分。

元々うちに泊まっていく、と言っていたが……2日連続で希亜の部屋にでも泊まった形なのだろうか。

 

自分のこと、現状を何となくでも理解して。

起き上がろうとした際に。

部屋の中に、なにか違和感を覚えた。

……何か、と言うよりもすぐに気付いたんだが。

 

ベッドの上に誰かが横たわる姿。

テーブルの上、パソコンが降ろされた上にはラップが掛けられた幾つかの料理。

紙のような……メモが、端に置いてある。

そんな状況。

 

(……何で、と言ったほうが良いのか?)

 

それが誰なのか、一瞬で分かった。

昨日も、その前も何度も見かけた少女……都が、目を閉じ眠っていた。

すぅ、と浅い呼吸がする度に豊かな胸が上下していて。

じっと見ているのも妙な気分になって、静かにメモを確認した。

 

『みゃーこ先輩特製だZO☆』

 

うっかり破りそうになった。

誰が書いたのかは一発で分かるから後で拳を振るうことも辞さないとして。

その続きに書いてある内容に目を通す。

 

『ステイステイ、絶対兄やんなら怒るだろうから先に謝っとくよ。』

 

なら書くな、と言いたいんだが。

 

『朝一でみゃーこ先輩が兄ィ訪ねてきてたから上げたよ、鍵は私が預かってる。

 何でも眠れなかったみたいでね、顔色も悪そうだったからベッド勧めた。

 ただ何もしないのは申し訳ないから、とか言って御飯作ってました。 美味しかったです。

 今は結城先輩の部屋にいるから、色々済んだら連絡ちょーだい。 by可愛い可愛い妹様』

 

お前も食ったのか。 図々しいやつだな、と言ってしまいたくもなるが……。

それが許されるのが彼奴の愛嬌だというのを踏まえていると、何も言えなくなるのが困る。

 

「しかし、眠れなかった……ね。」

 

その理由は――――昨晩のことから察していた。

思い出してしまう、寝たはずでも飛び起きてしまうのなら眠っていないのと変わらない。

それどころか余計に疲労が積み重なってしまう。

事情を親家族にも話せない都合上、抱えることしか出来ない都にしてみれば負担は……。

 

そこまで思い。

ベッドの上の彼女を見つめた。

見る限り熟睡……安心して眠れる状態なんだろうと、そんな風に思える今なら。

彼女が、こうして落ち着いていられるのだったら。

 

(起こすのも悪いし……かと言って、食ってたら起こすかもしれないよな。)

 

携帯を手に取る。

LING経由で、天に連絡を取った。

 

『都が寝たままだから、もう少しゆっくりさせてやりたいし昼くらいに合流でいいか?』

 

返答が帰ってくるまでに掛かった時間は僅か。

 

『寝てるからって変なコトしちゃだめだよ?』

『するか馬鹿! つーか変な事ってなんだよ!?』

『兄やんなら多分パソコンに溜め込んでそうな――――。』

『後でグーだ。 拒否権はない。』

 

何言ってやがるんだ彼奴。

というか何処でそんな知識を……ってネットか。

はぁ、と溜め息を一つ強く吐き。

何をするでもなく。

 

ベッドの縁を背凭れに、頭を傾け天井を見上げた。

直ぐ側に、彼女がいる。

幾度も、幾度でも。

こんな風に、ずっと時間を過ごしていたいと。

 

妙にのんびりした、遅緩した時間の中で。

ただ、微睡んでいた。

 

――――誰かに、そっと頬を撫でられたような。

そんな、気がした。

一般版発売記念外伝ヒロインを決めよう。

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