9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

15 / 114
2.心、揺れる。

 

「でさ、翔の兄貴。 あの助けてたレイヤーさん知り合い?」

「知り合いっつーか、まあクラスメイト。」

「へー、クラスメイト。 で同じアルバイトかぁ。」

 

帰宅途中の話し合い。

 

「まあ、向こうはバイトっつーか家業の手伝いだろうけどな。」

「家業?」

「コロナグループの令嬢だよ、九條。」

「コロナ……」

「コーラのコロナ。」

 

あ、何度か見た表情してやがる。

 

「え、そんな令嬢とクラスメイト!?」

「だな。」

「仲良くなっておこうぜ兄貴!」

「金目当てってクズかお前。」

 

何考えてるかは大体分かる。

 

「世の中金ですよ兄やん。」

「はいはい、帰るぞ。」

「あれ、何処に……?」

「駅前。 帰れ。 ゴーホーム。」

「酷くない!?」

「酷くない。」

 

いや、まあ……こいつの気持ちも分かってる。

分かってるし、それを一度は受け入れた枝もあったんだ。

それはそれとして、今日は帰らせる。

 

ギャーギャー騒ぐ妹を駅から帰らせて。

次に向かうのはナインボール……の前に、彼奴を見つけなければ。

 

結城希亜、魔女討伐のキーパーソンにして厨二。

そして、時間が止まってしまった少女。

――――記憶の中での、最後の彼女。

血塗れで倒れる、頭が欠けた姿。

 

思い出すだけで。

吐き気が、ぶり返しそうになる。

 

確か、この辺りで見かけたはずなんだが。

 

「…………。」

 

いた。

黒い、いつもの姿の少女。

ふらり、と近付きそうになるのを抑えて。

今回もまた、繰り返す。

 

 

後を付けて。

茶トラの猫に逃げられる姿を目撃し。

ナインボールでパフェと、苦手な紅茶を嗜む彼女へと話をした。

 

寂寥が、ぶり返す。

出来ることなら抱き締めて。

ただいまと、もう一度言いたいけれど。

彼女は、彼女達は何も覚えていない。

 

だから、連絡先を告げ。

その場を立ち去った後。

 

何故、ここまで心が揺さぶられているのかに気がつけなかった。

 

 

 

 

その日の晩。

 

いつも通りに、ナインボールで食事を済ませ。

都と、軽く話をして。

助けてくれたことへの礼を受け取り、その場を去った。

 

うまく笑えていたとは思う。

うまく話はできたと思う。

――――多分、恐らく、きっと。

 

夜の散歩、神社。

落ちているぬいぐるみを拾いに向かった。

 

無言で転がる、アーティファクトユーザーにしか見えないぬいぐるみ。

ソフィーティア。 何度も助けられた、魔女と別の枝を歩んだイーリス。

 

拾い上げて。

たった一言。

 

「ぬいぐるみのフリはしないでいいぞ、ソフィーティア……イーリス。」

 

無反応。

 

「……お前のことは知ってるし、分かってる。」

 

無反応。

 

「……十歳の時――――。」

 

びくぅ!? と反応。

小さく、溜息。

 

「少し、話がしたい。 良いか?」

 

良くはなくても、話はするんだが。

 




4つのいろのどれでもなく。
全てが重なり合った、幸せな世界。

にじいろの話をしよう。

二人目のインストールは?(参考程度)

  • 新海 天
  • 香坂 春風
  • 結城 希亜
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。