「でさ、翔の兄貴。 あの助けてたレイヤーさん知り合い?」
「知り合いっつーか、まあクラスメイト。」
「へー、クラスメイト。 で同じアルバイトかぁ。」
帰宅途中の話し合い。
「まあ、向こうはバイトっつーか家業の手伝いだろうけどな。」
「家業?」
「コロナグループの令嬢だよ、九條。」
「コロナ……」
「コーラのコロナ。」
あ、何度か見た表情してやがる。
「え、そんな令嬢とクラスメイト!?」
「だな。」
「仲良くなっておこうぜ兄貴!」
「金目当てってクズかお前。」
何考えてるかは大体分かる。
「世の中金ですよ兄やん。」
「はいはい、帰るぞ。」
「あれ、何処に……?」
「駅前。 帰れ。 ゴーホーム。」
「酷くない!?」
「酷くない。」
いや、まあ……こいつの気持ちも分かってる。
分かってるし、それを一度は受け入れた枝もあったんだ。
それはそれとして、今日は帰らせる。
ギャーギャー騒ぐ妹を駅から帰らせて。
次に向かうのはナインボール……の前に、彼奴を見つけなければ。
結城希亜、魔女討伐のキーパーソンにして厨二。
そして、時間が止まってしまった少女。
――――記憶の中での、最後の彼女。
血塗れで倒れる、頭が欠けた姿。
思い出すだけで。
吐き気が、ぶり返しそうになる。
確か、この辺りで見かけたはずなんだが。
「…………。」
いた。
黒い、いつもの姿の少女。
ふらり、と近付きそうになるのを抑えて。
今回もまた、繰り返す。
後を付けて。
茶トラの猫に逃げられる姿を目撃し。
ナインボールでパフェと、苦手な紅茶を嗜む彼女へと話をした。
寂寥が、ぶり返す。
出来ることなら抱き締めて。
ただいまと、もう一度言いたいけれど。
彼女は、彼女達は何も覚えていない。
だから、連絡先を告げ。
その場を立ち去った後。
何故、ここまで心が揺さぶられているのかに気がつけなかった。
※
その日の晩。
いつも通りに、ナインボールで食事を済ませ。
都と、軽く話をして。
助けてくれたことへの礼を受け取り、その場を去った。
うまく笑えていたとは思う。
うまく話はできたと思う。
――――多分、恐らく、きっと。
夜の散歩、神社。
落ちているぬいぐるみを拾いに向かった。
無言で転がる、アーティファクトユーザーにしか見えないぬいぐるみ。
ソフィーティア。 何度も助けられた、魔女と別の枝を歩んだイーリス。
拾い上げて。
たった一言。
「ぬいぐるみのフリはしないでいいぞ、ソフィーティア……イーリス。」
無反応。
「……お前のことは知ってるし、分かってる。」
無反応。
「……十歳の時――――。」
びくぅ!? と反応。
小さく、溜息。
「少し、話がしたい。 良いか?」
良くはなくても、話はするんだが。
4つのいろのどれでもなく。
全てが重なり合った、幸せな世界。
にじいろの話をしよう。
二人目のインストールは?(参考程度)
-
新海 天
-
香坂 春風
-
結城 希亜