「悪い、待たせた。」
校門前で自転車と共に待つ都との合流。
与一は女子と何かを話してるようだったので放置。
……どっちにしても、今日の晩。
出会うことになるのだし。
「ううん、今日はごめんね。」
「いや、俺もちょうどよかった。 歩きながら話そう。」
「あ、うん。 良かったら鞄、カゴに入れていいからね。」
「それじゃあお言葉に甘えて。」
教科書とかくらいしか入っていないとは言え、そこそこ邪魔な物体。
それを運んでもらいながらの、二人での帰宅。 というよりは移動。
可愛いお嬢様と仲良くなれれば、なんて。
そんな下心が最初だった頃とは。
俺自身が、変わってしまったけれど。
「で。」
「うん。」
からころ、からころ。
車輪が回る。
「話についてだが、俺も九條と殆ど変わらない。」
「え?」
「超能力……妙な力が使えるようになった、って話だろ?」
何度か見た、ぽかんとした表情。
それが持つ意味は。
急に現実味を帯びてしまった、普通ではない出来事への理解までの空白。
「新海くんも……?」
「ああ。 昨日……フェスの後から、だろ?」
「私、急に変になっちゃったのかな……って思って。 こんな事、相談できる相手もいなくて。」
「さっきは悪かった。 先生の前で急にアーティファクトがー、とか言えなくて。」
アーティファクト。
そう、彼女の唇から言葉が漏れる。
モデルになった、題材とした作品こそ輪廻転生のメビウスリング。
けれど、そう名付けたのは彼女自身。
「びっくりした……そうだよね。 新海くんもフェスにいたし、アニメも知ってるし。
私と同じように名前をつけても――――。」
「いや、違う。 九條から聞いたんだ。」
「……へ?」
私から、と言いたげな。
そんな顔ぶりで。
「歩きながら話そう。 言っておきたいこともある。」
「あ、うん。」
止めた足を、再び進める。
からころ、からころ。
車輪が巡る。
「九條の能力って、他人の持ち物の所有権を奪う――――でいいんだよな?」
「う、うん。 そうだけど……なんで?」
「それが、俺の能力……って言えば良いのかな。」
一呼吸、間を置いた。
「なんて言えば良いのかな。 ……未来とか、別の可能性の未来とか。 そういうのが、見えるんだ。」
そう言っておきたかったのは、何故だろう。
「未来……未来の私が、新海くんに教えて?」
「大体そんな感じ。 能力者をユーザーって呼ぶことも、九條から。」
むむむ、とばかりに。
考え込むような。
ああ、飲み込めないというのも覚えてる。
「少なくとも、そういった意味で九條より詳しくはあると思う。」
「そっか……。」
「やっぱり、急には飲み込めない?」
「え、っと。 ごめんなさい。 私、頭が固いから。」
「飲み込めるほうがちょっとな。」
そういった話で、ごまかしながら。
どんどんと、口を滑らせていく。
「これから、人と待ち合わせしてるんだ。」
「え? じゃあ、えっとごめんなさい!」
「良いんだ、待ち合わせはナインボールだし。 それに……。」
「それに?」
「出来れば、九條にも同席して欲しい。」
そこからは、理由説明。
相手が、同じアーティファクトユーザーであること。
俺が知っている内容を説明すること。
顔合わせと、出来れば疑問点のすり合わせも同じくやりたい、と。
「でも、私今日は――――。」
「ああ。」
そう言えば、今日はそんな日だった。
「バイトならないぞ。 九條の勘違いだ。」
「へ?」
「未来で見た。」
何度も、何度も繰り返す。
同じように。
同じように。
彼女の勘違いも、繰り返す。
シーン転換込で考えると一話が短くなりがちなのは何とかしたいけど。
まあ仕方なし、書きやすいしこのままで。
※間違い修正
二人目のインストールは?(参考程度)
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新海 天
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香坂 春風
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結城 希亜