9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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蝶が飛べば、遠い大陸では嵐が起こる。
遥か昔に別れた枝の片割れが滅べば?


8.変動。

 

ぷるる。

ぷるるるる。

帰宅途中。

一本の電話が、スマホに入った。

相手は天。

少なくとも、今までの枝では覚えはない気はするのだが。

 

「もしもし? 兄やん? 私私。」

「オレオレ詐欺はお断りです。」

「そういう事言うの辞めて。 ねえ、今電話大丈夫?」

「あー……ちょっと待て。」

 

ほいほい、と。

周囲を確認。 人の邪魔にならないだろう場所……適当な裏路地の片隅に背を付けた。

 

「良いぞ、どうした。」

「あ~……うん、えっとね。 相談したいことがあるんだけど、直接会えないかな。」

「は?」

 

いや、何事だ急に。

 

「明日でも良いかな~とも思ったんだけど。 お母さん帰り遅くなるから夕ご飯食べて来て、って言われちゃったのもあって。」

「いや、急だなおい……。」

「それに……。」

「それに?」

 

まだなんかあるのか?

今日、公園行かなきゃいけないんだが……。

 

「ううん。 丁度いいし直接会って相談したいの。 駄目?」

「……ちょっと待て。 その相談したい内容ってなんだ。」

「え~っと……。」

 

まさか、とは思うんだが。

 

「おい、天。 一応聞くぞ。 お前妙なもん拾わなかったか。」

「へ、妙な……って何?」

「アクセサリーみたいな奴。」

「え、何!? にぃにも知ってるの!?」

 

……確か、天が手に入れたとか言ってたのは火事の翌日だったはずだから。

2日程早まってるんだが何があった。

いや、こいつのことだ。 元々あったのに気付かなかった、って推測が正しかったんだろう。

ホンットクソ適当だからなこいつ!

 

「……つまり、魔法使いとかって言いたいわけだな?」

「何!? 妹の気持ちを遂に理解出来るようになったの兄やん!?」

「電話越しに叫ぶな、耳が痛くなる。」

 

スマホから耳を遠ざける。

あの馬鹿、本当にテンション上がるといつもこうだからな……。

 

「……まあいい、だったら一回うちに来い。 そのアクセサリー持ってきてるんだよな?」

「うん。 気付いたら鞄の中に入ってた。」

「分かった、じゃあ今から帰るから早くしろよ。 今日これからクッソ忙しいんだから。」

 

そう言って、電話を切って足早に歩き出す……前に。

LINGで都と希亜にメッセージを送信。

「もう一人増えそうだ」と。

各々からの確認の返答が届くのを見て、今度こそ歩き出す。

 

家にあった、じゃなく鞄に入ってた、か。

よくこいつが気付けたな……と思ってしまうのも致し方無いと思う。

最悪は、うちに泊めることになりそうで嫌なんだがなぁ……。

 

 

 

 

「にぃに、遅いよ!」

「お前はなんで勝手に部屋に入ってんだ?」

 

いつものように部屋に上がり込んでやがる。

まあ、直接寄ったんだろう。 堂々と制服姿で、我が物顔で。

父さんも、こいつには甘いからなぁ……合鍵ホイホイ渡さないでくれませんかね。

 

「来いって言ったじゃん。」

「普通前で待機するとかしませんかね!?」

「そこはほら。 私と翔の兄貴の付き合いってやつでしょお~?」

 

頭に拳骨でも叩き落としてやろうか。

いやいや、今そんな余裕はないか。

 

「割とマジで今日大変だから手短に言うぞ。」

「え、いつになく真面目っぽいようななんか泣きそうな顔してるけどどうしたん。」

「それだけ大変なんだよ……!」

「ほいほい。」

 

絶対重要性分かってねえ。

いやまあ……伝えるのも大変だし疲れるんだが。

 

「端的に言う。 お前変なアクセサリー触ったら魔法が使えるようになったっていうんだろ?」

「そうだけど……なんでそれ分かってるのさにぃに。」

「それが俺の能力だからだ。 未来視ってやつだな。」

「は!?」

 

あー、こんな感じで適当に理解してくれるのは楽でいいわ……。

ただまあ――――希亜も、天も。

ほんの少しの変化を見抜いてくる。 もう少し気をつけないと、か。

 

「ちぇ~……。 折角私だけの能力みたいな感じで魔法少女☆みたいに言えると思ったのにさ~。」

「魔法少女って年かよ。」

「少女はいつだって憧れるもんだよ!」

「ハッ。」

「あっ今鼻で笑いやがったなこの野郎。」

 

まあ、それで……だ。

 

「お前の能力は存在感の操作とか……そんな感じだよな?」

「え、そこまで把握してんの怖……。」

「ついでに言うとそれは俺には効かない。」

「うわ私の能力微妙……?」

「お前以外には一応説明したんだが……使いすぎるなよ、それ。 副作用みたいな、暴走みたいな事になるからな。」

「うわ更に微妙……ってえ? 他にも?」

 

ああ、と小さく頷きながら。

 

「今日クッソ忙しいって言ったろ。 それ絡みでだ。」

「うわ~、マジか~……。」

「ユーザーじゃないなら普通に追い返したんだが……先に説明もしとかないと面倒だからな。 母さん、帰りの時間は?」

「分かんない、なんか急用だって言ってたし……お父さんも残業切り上げて二人でだって。」

 

最悪は、マジでウチで泊める事になりそうだな……。

 

「まあいい。 夕飯軽くだけ食って出るぞ。」

「え、奢り?」

「ぶっ飛ばすぞ。 自分の分は自分で出せ。 絶対出さないからな。」

「え~、ケチ~。」

 

着替えるから、と一度自室から追い出して。

溜息を吐いて。

 

これで、四人。

前のときは俺と都、希亜の三人だったけれど。

天が加わったら、何が変わるのか。

それはもう、未知数の話だった。

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