9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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「ここのつ
   のか
   のいろ。

 何も始まらず。何も終わらず。二人は、共に――――。」


11.一人目。

 

ごめん、と。

ごめんなさい、と。

共に言い合うように。

 

箸が触れた相手は、都だった。

 

「もう、にぃに。 折角可愛い女の子達と楽しく過ごしてるのに上の空なんて。」

「あ、ああ。 ……お前今自分のこともさり気なく入れなかったか?」

「え~、どう思うの~?」

 

珍しく、でいいのか。

天のフォローもあって、その場の妙な雰囲気は霧散した。

互いに謝って。

作り笑いのような、妙な笑顔を浮かべながら。

少しだけ顔を赤くした都が、唐揚げを一つ食べて。

そこからは、少しだけ変わった。

見た覚えのある光景。

 

ミニトマトを食べて、顔をしかめた希亜と。

吐き出して、と慌てる都と。

それを見ながら、笑っている天と。

共に、見張りという名の平和な時間を過ごす。

 

ぱくり、と。

卵焼きを一つ、()()()()()

 

 

 

 

ニア 記憶をインストールする。

 

 

 

「――――ッ!」

 

それは、ある種唐突に。

結局食べられなかったのか、涙目になりながらお茶で流し込んだ希亜。

分かる分かる、と笑う天。

それを眺めながら、ちらりと都に視線を向けた時だった。

何かに苦しむような表情を彼女が浮かべたのは。

 

「……先輩?」

「九條さん!?」

 

からり、と皿と箸がレジャーマット上に落ちる。

無意識に、だろうか。

左手で頭を抑え、片目を瞑るその姿。

 

()()()()

幾度も、幾度も自分で経験してきた。

どくん、と胸が跳ねる。

心臓が痛いほどに鼓動している。

それを、何処か他人のような視点から理解している俺がいる。

 

「どうしたの!?」

「お兄ちゃん、ぼーっとしてないで!」

「お、おう!」

 

ごくり、と口に含んでいた卵焼きの欠片を飲み込んで。

慌てて近寄ろうにも、既に二人が介抱に近いように抱えている。

もし、こんな状況で与一が来れば。

そういった思考もあって――――動きも取れず。

公園を見回し、彼女を見る。

そんな単純な動作な筈なのに、妙に時間がゆっくり進んでいる気がした。

 

大丈夫だから、と告げる都。

けれどとても大丈夫そうには見えない、と不安そうな二人。

そんな彼女の視線が見るのは、慌てて動き始めた俺の顔。

 

言葉にならない、唇だけが変わっていく。

乾いた、言葉にならない声が読み取れた。

幾度も、幾度も聞いた「新海くん」(よびな)ではなくて。

殆ど聞いた覚えのない。 けれど、懐かしい「翔くん」(モノ)で。

 

自然と目が開いていくのが、自分でも分かった。

その呼び名一つに、どれだけの感情が込められているかを理解出来たから。

何故、どうして。

そんな風に考えても、浮かぶ答えは推測でしか無く。

今、確実に理解できるのは。

彼女が。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけ。

 

「もう、大丈夫だから。」

「平気……?」

「うん。 ありがとう、結城さん。」

「無理しないでくださいね、先輩……?」

「心配掛けちゃってごめんね。 でも、もう大丈夫だから。」

 

心配そうな二人。

礼を言う一人。

固まり続ける、俺。

 

トイレ行ってくるね、と。

小声で告げ、がさがさと離れていく都。

 

ある程度離れた後で、二人から叱られた。

「もう少し気を使いなさい」と。

「まあ女の子相手だから難しいとは思うけどさ~」と。

 

ああ、分かった、悪かった。

戻ってきたら謝る。

それは間違いなく本心の一端で。

だからこそ、二人も追求を取りやめたのだろうけど。

 

けれど。

――――どういうことなんだ、相棒。

そんな風に心の中で思っても、相手と意思疎通が出来るわけでもない。

だからこそ、悩んだ。

 

最終決戦の日(5月17日)だったら、分かる。

結ばれた日(5月8日)でも……まだ、分かる。

けれど。

()()()()()()()()()()()()()()なんて――――。

 

ぷるる。

ぷるる。

スマホに、簡単な着信。

一度二人に断って、確認してみれば。

LINGを通じた、端的なメッセージ。

 

「久しぶり――――翔くん。」と。

 

それだけで。

それを見てしまっただけで。

今は、考えるのをやめようと。

そんな風に、思ってしまった。

 

時間は、少しずつ進みながら。

与一は、未だ姿を見せない。

 

 




アンケートありがとうございました。
引き続き第二弾を張っておきます。

■一応発動理由の解説■
■興味がない人は無視してください■
■当然ですがネタバレ全開です■

眷属化の条件は原作で示されているように
「■■、或いは■■の摂取」です。
この際のデメリット、不具合に関しても原作で示されているとおりなので割愛します。
で、今回発動した理由。
それは「既に一度別の枝で記憶のインストールを経験した」相手というのが最も大きいです。
また、今回の場合は「微量ではあるが一方的な摂取でなく、双方向での摂取」という形をとっています。
これに寄って(ここのつ都)→(にじいろ翔)→(にじいろ都)という超めんどくさい経由をしてのインストール。
何でそんなことを(ここのつ都が)実行しようと思ったのか?
……愛しい人が苦しんでるのに、助けない彼女達ですか?という返答をしておきます。

当初は眷属化を実行する時、「与える/受け取る」意志を持つことも鍵かなぁ……?と思ってましたがそんな描写は無かったので。
(記憶を送る送らないの判断は当人/「■■■」に委ねられてるっぽいのでそこはいい感じに)
恐らく「取り入れてしまえば」発動してしまう、一種の強制効果的なモノかなぁと思って作者は書いています。
(実際向こうの世界じゃ考えられないけど献■とかしたらどうなるんだ……?)

また、原作内で「どの程度摂取する」旨の記載がなかった事と合わせての実行です。
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