9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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未だ、「新海翔」を知らない二人。
だからこそ、「彼」を気遣う心は本心で。


12.5 「そらいろ」と「ゆきいろ」。

 

正直に言ってしまえば、にぃにがおかしく感じたのは昨日から。

もうちょっと言うなら、地震の直後くらい。 神器の破片で手を切った後くらいから。

 

それまでは言っちゃえば、い(・)つ(・)も(・)通(・)り(・)の。

少しだけ抜けているけど、それでもちゃんと私をかまってくれて。

傍目から見れば、仲がいいだ(・)け(・)の兄妹が出来ていたんだと思う。

 

今ではなんか、こう。

人が変わった、とは口が裂けても言えないけれど。

何か重い、人には言えない重荷みたいなのを背負ったように見えていた。

 

それは、私が魔法使いになった。

そんなことを兄やんに伝えた時から見てもそう。

 

「早くなりすぎてる」とか。

「知ってる知ってる」とか。

こう、なんて言えば良いんだろう。

 

何(・)度(・)も(・)何(・)度(・)も(・)経(・)験(・)し(・)た(・)よ(・)う(・)な(・)。

知識じゃなくて、自分で何度も味わったような。

そんな口調なのが、ずっと気になっていた。

 

人助けだってそう。

フェスの日。 クラスメイトだっていうレイヤーさんを助けて。

今日の朝。 困っている美人の人に気を使って。

 

……我儘だってのは分かってる。

でも、私だって。

そんな気持ちを押し殺しながら、気付かれないように笑っているつもり。

 

ねえ、お兄ちゃん。

だからさ。 私にも頼ってよ。

ずっと、守られてるのは分かってても。

こんな能力を手に入れたんだから、少しは役に立ちたいの。

 

だから。

そんな風に、黙って座り込まないで。

 

私は。

九條先輩に声を掛けて。

お兄ちゃんに、近付いた。

 

多分。

泣きそうな顔、してるだろうから。

 

 

※

 

 

昨日、彼から話を受けて。

家に帰って、使い方を理解して。

そして今日。

彼以外の、ヴァルハラ・ソサイエティの仲間だと二人を紹介されて。

 

仲間、という物をちゃんと飲み込めた気がする。

 

学校では、自分を作って行動して。

家でも、自分を作って行動する。

そうなってしまったのは。

初めは、心配させないようにとか。

そんなつもりだったのだけど――――今では、それがそのまま。

 

勉強。

一人で、息抜きのゲーム。

勉強。

時折、ナインボールでのパフェと紅茶。

勉強。

 

「友達」と遊ぶことも無くて。

だから、少しだけ。

今日の待ち伏せをしているのは、楽しかった。

今までの私とは、少しだけ変われているような気もしていた。

 

でも。

目の前で起こっていることには、毅然と対処できなかった。

 

知り合いと、知り合い。

友人同士のユーザーの戦い。

魔眼のユーザー(にいみくんのともだち)。

未来を読み、誰かを呼び出すユーザー(にいみくん)。

 

一瞬で、その争いは終わった。

負けたはずの彼は全く変わらない。

勝ったはずの新海くんは、打ちひしがれて。

 

押さえつけていた誰かが、無言で消え去ってすぐ。

彼も、何かを言おうとして。

でも、黙ってその場を立ち去って。

後に残されたのが、私達。

 

何も出来なかったとか。

気を遣う、とか。

色々言いたいことは、あったのだけど。

 

その背中が。

幼い子供――――ずっと昔の、妹の背中のように重なって見えて。

言葉が、出なくて。

顔には出さないけど、泣いていた。

心の中で、泣いていた。

 

そして、それを共感していた。

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