彼女が持つ「気遣い」と。
彼女との「コインの裏表」の関係性故に。
どれだけ時間が経ったのか。
気付けば、俺の隣に天がいて。
それとは別に2つの視線が、挟み込むようにして俺を見ていた。
「……無理、だった。」
それだけの言葉を絞り出し。
けれど、他三人は何も言わず。
「なんとかなる、と思ってたんだけどな。」
だから、淡々と。
「やっぱり……。」
戻れる起点が、フェスの当日である昨日である以上。
何をどうしたって、与一と知り合い。
仲を深めるような行為は取りようがない。
ただ、それでも。
明確に、この段階で俺を殺そうとしてくるなんて。
今までは、無かったはずなのに。
それが。 凄く。
自分自身が、惨めに感じる。
「そんな事無いよ、にぃに。」
隣の天の声に、何も返せない。
事件を止めたはずなのに。
被害者を出さなかったはずなのに。
感じたのは、負の感情だけだった。
※
一人にしてはおけない、と。
そう三人に言われるくらいには疲労していたらしい。
或いは、顔色が悪かったのか。
今までの枝では体験したことのない経験をする羽目になった。
「あ、お母さん? 私私。 いやオレオレ詐欺じゃないから。
うん、今お兄の家。 今日泊まっていくことにしたからさ。」
「うん……そう。 ごめんなさい急に。 友達が大分遅くなったからって。」
「……そう。 ごめんなさい、お母さん。」
こんな電話が飛び交っているのは、俺の家の前。
三人が三人とも、親に対しての謝罪と報告中。
つまりは、今晩を俺の家で明かすと。
そう聞いた時。
最初に感じたのは、嬉しさであるとか。
或いは戸惑いではなく。
「安堵」というのが、一番近いと思う。
一人でない。
誰かと近くにいる。
それだけで、少し。
途中のコンビニで買ってきた飲み物を、余っていた紙コップで配り分け。
部屋の、一人暮らしだから若干狭さを感じなくもない炬燵兼用の小さいテーブルを囲む。
置きっぱなしにしていたノートパソコンは、今はベッドの上。
「それで、にぃに。」
「何だ?」
全員が、恐らく。
今日起こったことには触れようとしない、何処かぎこちない会話。
「
――――では、無くなった。
「は?」
「いや、ずっとおかしいとは思ってたんだよね。 急になんか人が変わった? みたいに動き出すし。」
「……? 私は良くは知らないけど、そうなの?」
「そうですよ結城先輩。 少なくとも私が知ってる兄上はもっとこうヘタレでしたし。」
おい。
ツッコミを入れようとしたけれど、話がどんどん加速していく。
希亜もなんか嬉しそうな表情だし。
……いや、確かに身長もあって年下に見られがちだって
「最初はこう、彼女でも欲しいのかな~って思ってたけどそうじゃないでしょ。」
「ばっ、おま!」
「何、別に女の子二人と妹一人が一緒でも良いじゃん。」
お前テンション上がりすぎて変な方向向かってるだろ!?
周りを!見ろ!
希亜も都も顔赤くしてなんか変な事になってるから!
「で、どうなの?」
「あ、あ~…………。」
何処まで言って良いんだこういう話!?
隠してるっていうよりは黙ってるだけなんだが。
どこまで言っていいかの基準も分かんねえ……!?
「……言ってない、話は無いこともないが。」
「ほらやっぱり。」
「隠してたの?」
「隠してたっつ~か……あ~、そうだな。」
まあ、
それを飲み込めなかった俺のミス、か。
「俺は幾つかの枝……未来のことが分かる、って事は言ったろ?」
「聞いたわね。」
「う、うん。」
「細かい内容までは聞いてないけどまあ大体は。」
多分、俺を除けば一番詳しいのは都だとは思うけど。
それを隠している以上、俺も深く追求するつもりも今はない。
「前の枝では、今の情報以上は知らなかったし出さなかった。
仮に魔女が生きていた場合、彼奴は過去……というより、別の可能性を認識してくるんだ。」
「つまり……見つかる可能性を出来る限り減らそうとした?」
「別の可能性と近付ければ、自然と可能性は統合するらしいからな。 気付かれたくはなかったんだよ。」
ということにする。
こうして話していれば少しずつ落ち着いてきた。
いや、落ち着かざるを得なかった、というべきか。
「成程ね。 だからこそ、その情報を黙っていた訳、か。」
「ああ、そこは悪いとは思ってる。」
「え~、本当にそれだけか~?」
そうなんだよ黙ってろ。
後都! 微笑ましそうな顔で見てるのやめろ!
「それなら……まあ、理解出来なくもない。 不必要なことを知って未来が変わるのは好ましくないから。」
「そう思ってもらえるなら助かるよ……。」
「ただ。」
「ただ?」
「危なっかしい……とまでは言わないけれど。 見てられないのは事実だから。」
そうして、指を一本立てて。
希亜は、全く考えもしなかった話を振った。
「確信を持って魔女が倒された、という証明ができるまで。 此処をヴァルハラ・ソサイエティの拠点にしたい。」
「……え~と、つまり。 どういうことです?結城先輩。」
「あ、分かった。」
「え、これだけで理解出来たのか九條。」
うん、と彼女は口を開く。
「その日まで、集まれる日は此処に集まろう……ってことかな。 希亜ちゃん。」
「そう。 飲み込みが早いのね、都。」
…………。
……………………。
…………………………。
は!?
変わるぜ~枝がめっちゃ変わるぜ~
閑話内容。
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いちゃいちゃ。
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想定外の進行。
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他ヒロインとの会話。
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