9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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彼女が持つ「優しさ」と。
彼女が持つ「気遣い」と。
彼女との「コインの裏表」の関係性故に。


13.妙な直感。

 

どれだけ時間が経ったのか。

気付けば、俺の隣に天がいて。

それとは別に2つの視線が、挟み込むようにして俺を見ていた。

 

「……無理、だった。」

 

それだけの言葉を絞り出し。

けれど、他三人は何も言わず。

 

「なんとかなる、と思ってたんだけどな。」

 

だから、淡々と。

 

「やっぱり……。」

 

戻れる起点が、フェスの当日である昨日である以上。

何をどうしたって、与一と知り合い。

仲を深めるような行為は取りようがない。

ただ、それでも。

明確に、この段階で俺を殺そうとしてくるなんて。

今までは、無かったはずなのに。

それが。 凄く。

自分自身が、惨めに感じる。

 

「そんな事無いよ、にぃに。」

 

隣の天の声に、何も返せない。

事件を止めたはずなのに。

被害者を出さなかったはずなのに。

感じたのは、負の感情だけだった。

 

 

※

 

 

一人にしてはおけない、と。

そう三人に言われるくらいには疲労していたらしい。

或いは、顔色が悪かったのか。

今までの枝では体験したことのない経験をする羽目になった。

 

「あ、お母さん? 私私。 いやオレオレ詐欺じゃないから。

 うん、今お兄の家。 今日泊まっていくことにしたからさ。」

「うん……そう。 ごめんなさい急に。 友達が大分遅くなったからって。」

「……そう。 ごめんなさい、お母さん。」

 

こんな電話が飛び交っているのは、俺の家の前。

三人が三人とも、親に対しての謝罪と報告中。

つまりは、今晩を俺の家で明かすと。

そう聞いた時。

最初に感じたのは、嬉しさであるとか。

或いは戸惑いではなく。

「安堵」というのが、一番近いと思う。

 

一人でない。

誰かと近くにいる。

それだけで、少し。

落(・)ち(・)着(・)け(・)る(・)、気がしたんだ。

 

途中のコンビニで買ってきた飲み物を、余っていた紙コップで配り分け。

部屋の、一人暮らしだから若干狭さを感じなくもない炬燵兼用の小さいテーブルを囲む。

置きっぱなしにしていたノートパソコンは、今はベッドの上。

 

「それで、にぃに。」

「何だ?」

 

全員が、恐らく。

今日起こったことには触れようとしない、何処かぎこちない会話。

 

「何(・)、(・)隠(・)し(・)て(・)る(・)の(・)?(・)」

 

――――では、無くなった。

 

「は?」

「いや、ずっとおかしいとは思ってたんだよね。 急になんか人が変わった? みたいに動き出すし。」

「……? 私は良くは知らないけど、そうなの?」

「そうですよ結城先輩。 少なくとも私が知ってる兄上はもっとこうヘタレでしたし。」

 

おい。

ツッコミを入れようとしたけれど、話がどんどん加速していく。

希亜もなんか嬉しそうな表情だし。

……いや、確かに身長もあって年下に見られがちだって前(・)聞いたが。

 

「最初はこう、彼女でも欲しいのかな~って思ってたけどそうじゃないでしょ。」

「ばっ、おま!」

「何、別に女の子二人と妹一人が一緒でも良いじゃん。」

 

お前テンション上がりすぎて変な方向向かってるだろ!?

周りを!見ろ!

希亜も都も顔赤くしてなんか変な事になってるから!

 

「で、どうなの?」

「あ、あ~…………。」

 

何処まで言って良いんだこういう話!?

隠してるっていうよりは黙ってるだけなんだが。

どこまで言っていいかの基準も分かんねえ……!?

 

「……言ってない、話は無いこともないが。」

「ほらやっぱり。」

「隠してたの?」

「隠してたっつ~か……あ~、そうだな。」

 

まあ、今(・)ま(・)で(・)と(・)違(・)う(・)こ(・)と(・)は(・)分(・)か(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)んだ。

それを飲み込めなかった俺のミス、か。

 

「俺は幾つかの枝……未来のことが分かる、って事は言ったろ?」

「聞いたわね。」

「う、うん。」

「細かい内容までは聞いてないけどまあ大体は。」

 

多分、俺を除けば一番詳しいのは都だとは思うけど。

それを隠している以上、俺も深く追求するつもりも今はない。

 

「前の枝では、今の情報以上は知らなかったし出さなかった。

 仮に魔女が生きていた場合、彼奴は過去……というより、別の可能性を認識してくるんだ。」

「つまり……見つかる可能性を出来る限り減らそうとした?」

「別の可能性と近付ければ、自然と可能性は統合するらしいからな。 気付かれたくはなかったんだよ。」

 

ということにする。

こうして話していれば少しずつ落ち着いてきた。

いや、落ち着かざるを得なかった、というべきか。

 

「成程ね。 だからこそ、その情報を黙っていた訳、か。」

「ああ、そこは悪いとは思ってる。」

「え~、本当にそれだけか~?」

 

そうなんだよ黙ってろ。

「天」との可能性(お前との枝)の話なんざ身内の恥になるんだから言えるわけねえだろ……!

後都! 微笑ましそうな顔で見てるのやめろ!

 

「それなら……まあ、理解出来なくもない。 不必要なことを知って未来が変わるのは好ましくないから。」

「そう思ってもらえるなら助かるよ……。」

「ただ。」

「ただ?」

「危なっかしい……とまでは言わないけれど。 見てられないのは事実だから。」

 

そうして、指を一本立てて。

希亜は、全く考えもしなかった話を振った。

 

「確信を持って魔女が倒された、という証明ができるまで。 此処をヴァルハラ・ソサイエティの拠点にしたい。」

「……え~と、つまり。 どういうことです?結城先輩。」

「あ、分かった。」

「え、これだけで理解出来たのか九條。」

 

うん、と彼女は口を開く。

 

「その日まで、集まれる日は此処に集まろう……ってことかな。 希亜ちゃん。」

「そう。 飲み込みが早いのね、都。」

 

…………。

……………………。

…………………………。

 

は!?

 

 




変わるぜ~枝がめっちゃ変わるぜ~

閑話内容。

  • いちゃいちゃ。
  • 想定外の進行。
  • 他ヒロインとの会話。
  • その他、趣味を個別募集
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