9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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何も知らなかった、あの頃の。
全てを知ったから、もう一度。

※後半推奨BGM:「ここいろ」よりI have you...


14.いつか、彼女と話した言葉。

 

あれよあれよと進む話。

あの、俺の発言権は一体何処に。

 

「拠点……ふふ。」

 

少し楽しそうですね希亜さん。

趣味欲も満たせるだろうし提案者だし、それはまあ分かる。

 

「なんか楽しそうだし、良いんじゃない?」

 

お前はそれもあるだろうが俺の部屋に入る理由付けが出来るからだろうが。

割合で言うと……4:6か? 3:7か?

どんどん個人スペースが減っていく未来が見えるんだが。

 

「最終的には新海くん次第だと思うけど。」

 

私はアルバイトもあるから、と。

若干苦笑しながらも、その発言自体には拒否しない都。

 

「……それ、マジでか?」

「嫌ならばまあ仕方ないとは思うけれど。」

「なんか理由あるの?」

 

希亜と天。

乗り気な二人に畳み掛けられると、仕方ないような気もしてくるから困りものだ。

 

「そんな拒否しなきゃいけない理由があるわけじゃねえけど……。」

 

こいつらは本当に分かってるのか?

ここ、男の一人暮らしの部屋。

お前等全員女性。

その大前提忘れてないか?

記憶はあっても肉体的には未経験なんだからな!?

いや寧ろそっちのほうがやべ~わ。

 

「……お前等本当にそれでいいの?」

「何が?」

「いや理解してないならそれでいいです……。」

 

わざわざ口に出すのも恥ずかしいし……。

 

「じゃ、決まりで良いね? にぃに。」

「無理な日があることくらいは理解しろよお前。」

「部活もしてないし塾もいってないし、基本即帰るだけじゃん。」

「あの……友人付き合いとかの予定は……?」

「あ、そういえばそっか。」

 

お前にクラスの友人……というか同級生の友人ほぼいないことは知ってるけど。

要するに適当というか、取り繕ってるわけだ。

 

「……迷惑だったら言ってね?」

「そう思わないことを祈りたい。」

 

何しろ、諸々を我慢さえすれば。

以前では考えられなかった、女子との接点だらけになるのだし。

一昨日以前の俺に言ったら、嘘だと鼻で笑われる気がするが。

 

 

 

 

かちゃり、と。

扉を開いて、外へ出た。

 

女子達に、ベッドやその周囲を明け渡して。

一日くらいは、と出入り口付近で身を丸めて寝袋で寝ていたけれど。

どうにも寝付けずに、少し外の空気を吸いたくなった。

 

時計を見れば、午前三時。

まだ太陽は出ずに、外は暗いままで。

スマホを片手に、小さく溜息を漏らしていた。

 

もう少し、どうにか出来たんじゃないか?

他に方法があったんじゃないか?

そんな考えが、寝ていてもぐるぐると回っていたから。

被害者は出なかった。

殺人は、誰も知らないままに食い止めた。

けれど、けれど、と。

 

「考えすぎか……。」

 

小さく溜息を漏らして。

コンビニで買ったは良いけれど、飲みきれなかった缶ジュースを含んで。

まだ眠れるから、と部屋に戻ろうとした時に。

 

きぃ、と。

内側から扉が開いて。

都が、その姿を見せた。

 

()()()()。 翔くん。」

 

あのメールの文面を、繰り返すように。

呟きながら。

 

「都……で、良いのか?」

「うん。 少し、変な感じ。 別の枝の記憶があるのって、こんな感じなんだね。」

 

自然と、隣り合って。

暗闇の世界を、二人で見つめていた。

 

「……何処まで?」

「魔女……イーリスと戦って。 私達が、消えるまでかな。」

 

……つまり。

()()の部分は、誰も知らないと。

そういうことなのだろう。

知られていなくてよかったと。

静かに、思った。

 

「なんで、私までこうしてるんだろう。」

「さあな。 正直なところ、何が原因だったのか分かれば話は早いんだけど。」

「ゴールデンウィーク明けなら、ね。」

 

くすり、と笑う顔。

幾度も見た、大事にしたいと。

守りたいと思った、その笑顔。

 

「……覚えてる?」

「……何を?」

「ソフィが、帰った後。 ベランダで話したこと。」

「――――ああ。」

 

今の俺なら、覚えている。

幾度か。

別の枝、別の仲間と結ばれた世界では覚えてはいなかったけれど。

 

「あの時の、私と。 同じこと、言うね。」

 

うん、と。

囁き声が、届いたのかは分からないけれど。

 

「私は。 翔くんと一緒じゃなきゃ、駄目みたい。」

 

手を、握られた。

反応できずに。

反応せずに。

ただ、闇を見つめていた。

 

「翔くんと一緒だから、私は生きてる。

 一緒だから、これからも生きていける。」

 

一呼吸、間が空いた。

 

「この枝では、何も起こらなくても。

 これから、何が起こるんだとしても。」

 

うん、と。

声にならない声で、呟いた。

 

「他に――――多分、皆も。 近いうちに、思い出す気がするの。」

「でも。」

「それでも。」

「私は。 翔くんのことが、好きなままだから。」

 

その手を、握り返すことは出来なくて。

別の枝。 別の自分。 別の「新海翔」であったとしても。

私は――――と。

 

「…………。」

「だから。」

「…………うん。」

「奇跡みたいな、この状況を。 喜ぼう?」

 

私が好きな人は。

そんな、かっこいい人なんだから。

「九條都」(かのじょ)は、そう囁いて。

 

そっと、頬に顔を近づけた。

 

(よる)が明ける、その時まで。

その場で、じっと待っていた。

 

閑話内容。

  • いちゃいちゃ。
  • 想定外の進行。
  • 他ヒロインとの会話。
  • その他、趣味を個別募集
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