9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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一人は、記憶を呼び起こし。
一人は、違和感を看破して。
一人は、見知らぬ王子を求め。
一人は、目覚めの時を待つ。


4/19(火)
15.闇が明けて。


 

朝5時。

俺と天を除けば、現状は私服のまま。

取り敢えずは、とシャワーだけは貸したけれど換えがあるわけでもなく。

一度は自宅に戻って学校に出る準備は必要不可欠だ。

それが結局、始発の時間帯になったというだけで。

 

「拠点にするなら、着替えも持ち込んだほうが良いのかしら。」

「ど、どうかなぁ……?」

「おい、にぃに。 どうしたんだいそんな死んだような顔して。」

「お前それ分かって言ってない?」

 

もう自室が乗っ取られることは仕方ないからこの際諦める。

ただお前、持ち込んだ服とかどうする気なんだ。

お前だお前、首をひねった希亜!

 

「あの……一応男の部屋に置くものなんですけど……?」

「別に私は気にしないから。」

「え、何? お兄興味あるの?」

「ねーよ!」

「だ、だよね。 ()()()、そんな趣味じゃない、よね?」

 

変って言われるのもそれはそれで心に来るんだが。

肉体的未経験舐めんなよ!?

精神だろうが凌駕してきやがるからな!?

 

「……無駄話は良いわ。 朝早くからだと頭痛くなる。」

「んー……? はーい。」

「それで……何か伝えておくことはある?」

「ああ、一つ。 メインは九條になると思うんだが。」

「私? ……もしかして、例の火事のこと?」

 

そうだ、と小さく頷いた。

 

「これは改めて全員に周知していて欲しいんだが、幾つかの枝だと明日の昼休み、一つの枝では今日の放課後。

 うちの学校で火事騒ぎがある。」

「正確には、火事というよりユーザーの暴走……だったかしら。」

「ああ。 だから、その騒ぎが起こる前にアーティファクトを回収したい。」

「そこで、私だね。」

 

やる気全開の都。

精神状態で左右されるモノだから、それ自体は良いんだが。

出来れば多用させたくないのもまた事実。

覚悟を決める。 或いは意を決すれば、彼女はとても強い。

けれど、一番底のところで一人ではとても弱い。

そんな、何処にでもいる女の子だから。

守ってやらないとな――――と。

 

()のアーティファクトなら、存在を認識してれば見えて無くても奪えるのは確認済みだ。」

「じゃあ、基本的には二人に任せていいのね?」

「ああ。 ただ、魔女……イーリスの干渉があった時は火事の被害、というより暴走の度合いが上がってた。

 そうなると結城。 お前のジ・オーダーに頼ることになる。」

「分かった、そのつもりで準備しておく。 放課後でいいのね?」

 

細かい場所まではソフィに聞くしかない以上、集合場所だけを確定させておくくらいで多分大丈夫。

 

「ああ。 天、お前は昨日言った通りだ。 覚えてるよな?」

「十字架のアクセサリーを付けてるクラスメイトがいたら一応確認。 ただ近寄らない……だよね?」

「お前の能力じゃどうしようもないだろうしな~。」

「もう少し攻撃系だったらなぁ。」

 

取り敢えず確認しておくべきことはこのくらいか。

 

「俺からは以上。 何かあればLINGで連絡するけど他になにかあるか?」

「私からは特に。 ただ別の学校だから、合流するまでは時間かかるかもしれない。」

「私も、今日明日は大丈夫のはず。 アルバイトも、お祖父様に相談してみるね。」

「私も特に~。 ああ、でも一つ気になったんだけどさ。」

「あん、何だよ。」

 

なんか大事なことか?

 

「お兄と九條先輩、何で下の名前で呼び合ってるの? 昨日までは名字だったよね?」

「「あ。」」

 

…………完全に気付いてなかった。

 

「何々、なんかあったの? ねえねえ教えてよ教えて~。」

「うっせ。 仲間なんだし下の名前でって話になったんだよ。」

 

お前等が寝てる間にだけどな!

いや、実際には互いに名字同士だと違和感しか無かった、っていうのが大きい理由だが。

他のメンバーもそんな部分があるので、たまに口が滑ってしまいそうになる。

 

「ほんとにぃ~?」

「うわうっざ。」

「あの、急に冷めるのやめてくれます?」

 

向こうでは。

細い目で都を見る希亜と。

名前呼びを照れながらする都の姿があった。

 

……向こうも、仲良くはなれたっぽいな。

 

 

 

 

通い慣れた、朝の通学路。

いつも通りと言って良いのか何なのか。

二人は帰宅し、天は俺と出発するまで適当にゴロゴロし。

途中、コンビニに寄って昼飯を調達。

 

「流石に今日は帰るんだよな?」

「別にお父さんもお母さんも気にしないと思うけどね~。」

「いや一度は帰れよ。」

「まあ……うん。 荷物も持ってこなきゃいけないし。」

「お前マジで家の一角占領するつもりなのか……?」

 

……押入れの一角は整理して全部明け渡すつもりでいたほうが良いかもしれん。

何処か……ゲームとか本の場所でも移動するしかないか。

出来れば一人で。 見られたくないものもあるし。

 

「あれ、拒否しないの?」

「もう今更感あるだろ……?」

「まあ、ね~。 寝袋とか一個で足りるかな?」

「そもそも複数人が泊まるのは想定してないんだが……。」

 

そんな、いつもの雑談をしながら。

歩いていく視界の先。

昨日も見た、春風……香坂先輩が、昨日よりも少しだけ増えた男子生徒に囲まれていた。

 

「変わらんなぁ、あの集団……。」

「ねえ、兄貴。 あの人も……?」

「……だな。」

 

昨日声を掛けた相手。

つまり、何かが鍵になる人物だということだけは、天にも伝えてあった。

 

出来れば、早めに機会を見計らって――――。

そんなことを思いながら。

天に声を掛けて、昨日と同じように追い抜いていく。

 

ただ。

少しだけ、昨日と違っていたのは。

追い抜いて、先に進もうとした俺の袖を誰かが()()()()()こと。

 

大きく息をして。

少なくとも、平常ではない状態で。

慌てながら、真っ赤になった顔を下に向けた。

香坂先輩が、其処にいて。

 

「…………助けて、くれるんです……か?」

 

そんな言葉を、呟いた。

 

閑話内容。

  • いちゃいちゃ。
  • 想定外の進行。
  • 他ヒロインとの会話。
  • その他、趣味を個別募集
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