雪華の果てで。
私の能力は、幾つかの条件さえ満たしてしまえば誰も勝てない。
そう思っていたし。
事実、自分で定めた条件を達した上での発動で。
自分が思ったように、相手の動きを止めることが出来た。
けれど。
その為に、「彼」が吹き飛ばされた時。
思ったのは。
思い描いていた、悪と正義の戦いだとか。
ゲームやアニメで見ていた、空想とは違った。
「犠牲を出してしまった」という。
「また繰り返してしまった」という。
深い、絶望感だった。
炎が収束していくのを視界に入れながら。
けれど、他のことを一切考えられないままに混乱して。
未だに燻る熱を無視し、木の下に転がる「彼」を抱き起こす。
口元に手を当て。
呼吸をしていないと
恐らくは、背中を強く打った事での停止。
その時、私は強く混乱していたと思う。
初めての戦いでの、少しばかりの興奮。
そして、目の前で傷を負った。
正しい対処の仕方を行えるほどに、冷静になれずに。
何か、頼れる。
寄りかかれる。
縋れる、本心を抱けずにいたから。
背後から、駆け出す音が聞こえた。
もう一つ、知らない女性の声が聞こえていた。
その内容までは、聞き取れなかったけれど。
胸ボタンを外し、「彼」の上着を広げる。
耳を当て――――心臓に耳を当てた。
どくん、と。
確かに聞こえた。
けど。
けれど、私は呼吸をしていないと思ってしまっていた。
だから。
初めてだから、とか。
本来は――――とか。
そんな、どうでもいい事。
少しばかりの乙女心を全て排除して。
一度、大きく息を吸って。
ふう、と息を強く吹き込んで。
離し。
液体の糸が、唇からつっ、と伸びながら。
※
ニア 記憶をインストールする。
※
強い、頭痛に苛まれた。
「――――ッ!」
頭に流れ込んでくる、見知らぬ。
けれど、確かに経験した覚えのある。
今までの自分と違う、別の自分。
「…………希亜ちゃんも、かな。」
「……なぁに? ひょっとして、相互に眷属化してるの? 無意識下に?」
「オーバーロード……一度、私達は全員
知らないはずの、この感情。
互いに話をして。
気持ちを押し殺して。
友達でいられればいいと思って。
すれ違った気持ちを伝えあって。
結ばれて。
――――殺されて。
「彼」に、重荷を押し付けた記憶が巡る。
ああ、と。
言葉が漏れた。
頭を、足の上に運んで。
上から、「彼」を見下ろした。
あの「彼」とは違うけれど。
同じ「翔」で。
そんな気持ちが、溢れ、戸惑い。
気付かず、もう一度。
顔と顔の距離を、ゼロにして。
「……もう少しすれば目覚めるとは思うけれど。 良いの? ミヤコ。」
「はい。 ……気持ちは、よく分かりますから。」
「難儀ねえ……。 それに、随分と贅沢だわ。」
「多分。 誰か一人でも欠けたら。 私達は、私達じゃなくなっちゃうんです。」
声が、少し遠く聞こえた。
こんな感じで書いてますが作者は全ヒロイン大好きです。
都の純粋な美少女っぷりとやる時はやってくれる所。
天のギャグっぽさと本心との二面性。
春風のイーリスとの戦い以降の自身の決意。
希亜の過去と、それらを乗り越えた最後の台詞。
皆さんは、誰が好きですか?
4/22(金)メインヒロイン。
-
九條 都
-
新海 天
-
香坂 春風