9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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ゆきいろ
  はな
  のあと。

彼女が抱いた夢の果て。 夢は現実に。 理想(ユメ)は、色の果てに。


19.少女の夢。

身体を起こそうとしたが、まだあちこちが痛んで顔を顰める羽目になった。

それを見て、まだ寝ているように言ってきた二人と。

ふよふよと浮いて何かを言っているぬいぐるみ(ソフィーティア)

 

「全く。 カケルったら何してるのよ。」

「いや、俺が悪いのか今回……?」

「じゃあ誰よ。 二人が悪いっていうの?」

「……俺のせいですハイ。」

 

口では、やはり勝てないのか……。

まあ、身体が浮いたっていうのは初めてだったから。

というか学校以外で対峙したのも初めてなんだからある程度は許して欲しい。

 

「それよりも。 貴方一体なんてことしてるのよ。」

「なんてこと……っていうと?」

「眷属化。 彼処までアーティファクトと魂の融合しているとは言え、デメリット知らないわけじゃないんでしょう?」

「いや、俺が能動的にやった覚えないんだが……。」

 

なら余計に呆れた、と呟くソフィ。

……つまり。 都と希亜はそれが原因で。

何処かしらで、発動条件を満たしたからインストールされた?

他の誰でもない、相棒に。

送ることを決意したのは、当人だったとしても。

 

「細かい内容、そう言えば聞いてなかったわね。 イーリスを倒すために貴方、何をしたの?」

「……ああ、まだ認識できないのか? それ。」

「そうね。 未来が見えないっていうのは知ってる通りだけど……。」

「なら、丁度いいし説明だけはしておくか。 ……引くなよ?」

「今更よ。」

 

いや、今のはお前じゃなく都と希亜に対しての台詞。

引くようなことなんだろうかな?という顔をした都。

何となく察しているけど、仕方無さそうな顔もしている希亜。

……いや、倫理的に考えると凄い危険なことではあるんだが。

 

「あんまり言いたくもないんだが……多分、記憶持っちゃってるから言うわ。

 四人が()()()()、確実に()()と相互眷属化が済んでるタイミングを考えて。

 幻体を四人分作って、記憶……というよりは魂だな。 それを全員の幻体に入れて、全員で戦ったんだよ。」

「魂を、別の枝から引っ張った……? ……無茶苦茶ねえ。 オーバーロードでもなければ絶対無理でしょうに。」

「だろうな。 ……思い出させたか?」

 

顔が青くなり始めた二人に声をかければ。

小さく震えながら頷き、腕を掴まれた。

左腕に都、頭上には希亜。 更に距離が縮まって。

……文字通り両手に花ではあるけど、なんかこう。

凄い恥ずかしい事してる気がする……!

 

「あの時。 顔も知らない相手に声を掛けられて。 ……振り向いた以降の記憶がないの。」

「……私も、似た感じ。 深沢くんに呼ばれて。 珍しいな、と思ったら――――。」

「……ただ、彼奴は。 その記憶を持ってない。 もう、顔を合わせるかは分からんが……。」

 

その時のことを、引きずりすぎないでくれ、と。

本来、今までの枝で俺が記憶の一部が欠けていたのは。

そういった恨みであったり。

感情を引き摺って、同じことを繰り返してしまう可能性を避ける為だったのだろうし。

だからこそ、直感のように――――介入されていたのだろう。

 

「成程ね。 まあ、その辺りは英断……というより、よくやってくれた、って褒めてあげる。」

「お前ナチュラル上から目線は変わんねーよなぁ……。」

「まあいいわ。 彼の持ってたアーティファクトは預かったから、諸々が終わったら……そうね。 カケル、一旦貴方に預けるわ。」

「は? 良いのか?」

「良い悪いで言えば当然良くはないわよ。 ただ、ね……今回のを見て、身を守れる手段が無いのはどうかと思ったの。」

 

まあ……幻体だけじゃな……。

何か格闘技でも使えるなら別だが、俺は俺自身が弱点なのは未だに変わっていない。

 

「身を守る……ね。」

「アンブロシアの改良は進めているわ。 回収自体は直ぐにできるのだし、ま。 貸しにしておいてあげる。」

「そうかよ……。」

「ええ。 だから、ミヤコもノアも、貴方が守りなさいよ。」

 

その言葉を残して、ソフィは姿を消した。

空き地の中心には、彼が――――正確には、彼の残骸が転がっているのが何とか見えた。

 

「……で、彼に関しては?」

「……駄目だった。」

「ソフィさんにも聞いたけど。 魂が燃え尽きちゃって……だから、肉体も引っ張られたって。」

 

結局、彼を救うことは出来なかった。

今までの枝でも。

この、枝でも。

空を、見上げる。

静かに起き上がって。

――――悪い、と。

これからずっと、行方不明になるだろう彼に謝った。

 

「家で、天が待ってる。 ……今日はどうする?」

「……少し、行っても良い?」

「だったら、私も。 久しぶりに、ご飯作るから。」

「……ああ。」

 

立ち上がった、二人と共に。

その罪を、分かち合う。

忘れてはいけない罪。

背負っていくべき、傷。

 

「……ところで、気になってたことがあるの。」

「気になった、こと。」

「あの、最後の戦いの時ね。 他の枝の情報が流れ込んだの。」

「うん。」

「……あの場の全員と、付き合った枝があるの?」

 

…………ある。

覚えてる。

ただ。

今、それを言うか?

 

「……だとは、思う。」

「都とも。 春風とも。 ……天とも?」

「…………ノーコメントでお願いします。」

「そ、そういえば……気にしてなかったけど、天ちゃんに、も……?」

 

がやがやと。

ざわざわと。

去っていく後ろで。

 

ふわり、と。

影が、風に撒かれて消えていった。

 




気付いたらランキング日刊乗ってました。
応援ありがとうございます。

4/22(金)メインヒロイン。

  • 九條 都
  • 新海 天
  • 香坂 春風
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