彼女達を失った、ユメと化した枝。
22.ユメ。
あったかもしれない、枝の夢を見た。
都が石化して。
そして、敵を討とうと動き回って何も見つからない。
天が消え去って。
朝から晩まで探し続けたけれど、その面影すらも失った。
春風が覚醒できず。
イーリスに全員が殺され、街が滅んだ。
希亜が殺す覚悟ができずに。
最後の攻撃が届かずに、俺だけが生かされた。
幾度も、移り変わるような悪夢。
飛び起きると同時に、昨日よりはマシにはなっているがまだ体を動かすには辛い痛みが走る。
……今日、体育あったはずだしな。
時計を見た。
朝の五時。
…………熱が出た、ということにしておこう。
もう少ししたら電話しよう、と。
夢を見ないように、ごろりとスマホを弄り始めた。
※
母親に連絡。
大丈夫なのか?と聞かれたが。
風邪とかじゃなさそうだし、と報告した。
まあ、嘘ではない。
その後、仲間内……特に春風には特に詫びておいた。
こちらから持ちかけた話ではあるが、体の調子を戻すのも優先したかったから。
まあ、その後の返事は予想通りといえば良いのか。
或いは、少しだけ想定外と言えば良いのか。
スマホに届いた連絡は4つ。
どれも文章は違うけれど。
『大丈夫? 学校終わったら、行くからね。』
『なぁに? サボり? まぁいいや、春風先輩と一緒に行くから!』
『お見舞いくらいは、させてくださいね? 白馬のナイト様。』
『分かった。 都とナインボールで合流していくから、大事にしてね。』
放課後来る、ということには変わらない。
その中で、春風まで来るのはちょっと考えてなかったが。
(つ~か、この文面……もうひとりの方だよな?)
文章送る程度で切り替わったのか。
或いは、元からそういう人格に近いものを作っていたのが反映されたのか。
確か、アガスティアの葉……メビウスリングのファンサイトでも固定名で書き込んでいたはずだし。
「まあ……来るなら、片付けられるだけ片付けておくか。」
こういう時はどうすればいいのか、よく分かってないのだが。
出来ればゴールデンウィークまでには片付けたい。
無理もできる身体じゃない……のだが。
「レナ、頼んでいいか?」
「は? やだよ面倒くさい。」
俺にはこいつがいる。
幻体、レナ。
「オレはそんな面倒くさいことしたくないんだよ。 どうでもいいなら呼び出すなよな……。」
「どうでもよくはね~よ。」
「オレには関係ねえだろ。」
にべもないなこいつ。
「……ったく。 ならいいや、別件で一つ頼んでいいか?」
「あ? 別件?」
「他の奴等……与一が今日も学校行ってないなら何処にいるのかは把握しときたい。 ソフィにも頼んではいるが。」
「探す……ね。 他には?」
ああ、こっちなら聞くのか。
何というか……戦闘狂気味なところは変わらんなこいつ。
元にしたゴーストがアレだったっていうのもあるが。
「もう一つ。 お前にも俺の記憶はあると思うが、春風の元クラスメイト。 見かけたら警戒だけは頼んでいいか。」
「ぁ~、そういや彼奴もユーザーだっけか。 分かった、いちおーな。」
レナに細かい仕事を頼み。
それ以外でも、放課後には一度消して戻す旨を通達して別れた。
時計を見て……まだ、学校は始まってすらいない。
昼飯は……買い置きしてあるカップ麺で済まそう。
そう思って。
早めに片付けておきたいブツの処分を開始した。
時折走る鈍い痛みに。
生きてるのだと、妙に嫌な実感を味わいながら。
4/22(金)メインヒロイン。
-
九條 都
-
新海 天
-
香坂 春風