9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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蝶の変動。
先になるか後になるか。
結局は、それだけの違い。


24.ボタンの掛け違い。

 

トイレから戻ってきて。

最初に目に入ってきたのは、何処か()()()()な顔をした天だった。

 

「…………何かしたかお前。」

「え? 別に?」

 

今まで生きてきてこういう顔するときって大概何かあった時なんだが……。

 

「ん~……?」

「あ、さっきみゃーこ先輩達から連絡あったよ。 後30分くらい掛かりそうだって。」

「おっけ。 ……しかし、都の買い物は相変わらず時間掛かるのな。」

「え、何? ()()()()()付き添ったことあるの?」

「未来でちょっと、な。」

 

あの時は確か……主婦並みに何処が安い、とかを把握してるとか何とか聞いた覚えがある。

……俺が付き添ったんだったか、或いは天か誰かが付いていったんだったか。

基本的に節約家。

俺が昼食に菓子パンを3個買うだけで贅沢と言うレベルの庶民的な感覚で、だけどお嬢様。

そんな相手と知り合えただけでも十分幸福だとは思うんだが。

 

「ほーん……。」

「変な目止めてくれます?」

「嫌よ! 私というものが有りながら!」

「お前はどういう立ち位置なんだよ……。」

「え、小姑。」

「自分で言うのか。」

 

軽い会話、というか一種の小話(コント)

手元にあった、一口しか飲んでいない紙コップを手に取り。

飲み込んで。

違和感にやっと気付く。

……()()()()()()()()()()()

 

「……おい、天。」

 

そう言いながら。

やつの方を見れば。

 

「へへー♪」

 

楽しそうに。

嬉しそうに。

紙コップの中身を、飲み干していた。

 

 

 

 

ニア 記憶をインストールする。

 

 

 

「ばっ、お前……!」

「なんで? 昔はよくやってたっていたたたたたたたっ!?」

 

体液の摂取。

紙コップ越しでの間接キス。

その程度で発動するほうが正直驚きだがなんてことしてくれやがった……!?

 

「いや、待て。 ……そういう事か?」

 

少なくとも、今までは此処まで露骨な悪戯はしてこなかった。

精々が口でからかったり、ゲームのデータを消して下さりやがったり。

後は……若干思い出したくもないがスマホの写真のデータとか。

実害を及ぼすような事までは手を出さなかった。

そのハードルが下がるようなこと。

()()()()()()()()

 

「……マジかよ。」

 

少しずつ、落ち着いてくるのが見える。

春風がこちらを見ながら、頭を下げているのも見える。

そして。

()()()()()()()()()()()()()()()天の顔もよーく見える。

 

「さて。 なにか言い残すことはないか愚妹。」

「あの……本気で怒ってらっしゃいますお兄様……?」

「怒らないと思うか?」

 

恐らく、だが。

アーティファクトが、想定以上に早く馴染み始めている。

理由は……まあ、多分予想してる通りだろう。

 

()()()()()()()()使()()()?」

「え、そっちなの?」

「そっちだよ。」

 

但し、向こうは想定外な顔をしている。

怒られる内容を想定していなかったように。

 

「え、っと……。」

「おう。」

「放課後なんだけど。 学校で、男の子に呼び出されてね。 手紙でね。

 それで……嫌な予感がしたから。 見つからないように抜け出してきたの。」

「嫌な予感、ってお前……。」

 

それ、どう考えても……。

 

「ううん、多分お兄ちゃんの考えてるようなことじゃなくて。 もっと……こう、いじめ?の一歩手前みたいな。」

「は?」

 

いや、つまり何だ?

よく男同士の馬鹿話で言い合うような『お前あの子好きなんだろ?行ってこいよ』的なアレか?

 

「お前が狙われたっていうか……まあ、呼ばれたのってそういう事か?」

「うん。 多分下手に私が出ていったら女子も含めて広がるし。」

 

それを避けるために、能力使って存在感を消して春風と合流して帰ってきたと。

……ってことは、帰ってきた時点では空元気だったのか。

気付かなかった。 ……気付いて、やるべきだった。

 

「それで……なんていうか。 我慢できなくて、ちょっと悪戯しちゃったの。」

「悪戯ってレベルじゃ済まないのは分かるだろうに……。」

「でも、我慢できなかったから。」

 

アーティファクトの一定以上の進行。

侵食が進み過ぎれば、感情が明白に表に現れ始める。

その第一歩……というか、開始地点か。

流石に風呂に突撃してくるだとか、隠し切れないようなことではないが。

ただ「悪戯」で済む範疇でしてしまったと。

……まあ、その行動がクリティカルだったと言うだけで。

 

「仮に見られてたらどうする気だったんだよ。」

「入れ替えだし、量もかなり違ったし。 目で見れば気付くと思ってた。」

「ぐ、ぬ……。」

「で、お兄ちゃん。 ちょっと聞きたいんだけど。」

 

そして、何かを言いかけたところで。

がらり、と窓を開けて春風が部屋に戻ってくる。

 

「ごめんなさい、私宛の宅配便が来ていたようで。」

「あ、ああ。 そういうことですか。」

「ええ。 遅くなることを告げたら両親共に喜ぶような有様ですから。」

 

それ、毎度聞くたびに笑えないんですよ本当に。

 

「……凄いですね、先輩の家。」

「友達がいないことは知っていますから。」

 

一応、天と春風は電車内で顔だけは知っている間柄だったはず。

……なにか疑われたら天とレナを前に出せば良いか、うん。

そんな事を思っていたら、スマホに振動音。

ちょっと失礼、と告げて内容を見て。

送り主は二人。

 

一人は都達。

「今入っていくね」と。

 

もう一人は……お前か、天。

「全部、バレてるんだよね?」と。

 

…………。

 

返信。

「ああ。 全部な。」

送信。

 

…………。

 

あ、顔を伏せた。

 




ギリギリで天が平和なルート。
最悪はそらいろ的消失寸前ルートだったからまだマシ。

ヒロインたちが付けてて違和感がないアクセサリー形状?

  • ブレスレット
  • ネックレス
  • 髪留め
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