9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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私は。
ずっと、一緒だから。

※後半BGM:ここにある空


25.天之詩、「想い」。

 

「お邪魔します。」

「失礼する、ね。」

 

そんな声が入口の方から聞こえても。

未だに天は顔を伏せっぱなしだった。

 

「……何する、んでしょう?」

 

気付かないうちに、春風も元の人格に戻っている。

この辺、話してる途中であっても切り替わるから反応に困るんだが。

 

「あ~……少し話しておきますか。 都、希亜。 片付けたらでいいから時間貰えるか?」

「あ、うん。」

「身体の方は大丈夫なの?」

「一日休んだしな。 まあ、色々心配掛けた。」

 

水道を使う音の後。

冷蔵庫を開けるような音。

扉を開ける音。

この2つはほぼ同時に聞こえ。

そして、聞こえた声も重なるようだった。

少しだけ高い声。

少しだけ低い声。

違う声色のはずなのに。

 

「あ……え、っと。 香坂さん、だったかしら。」

「ぁ……はい、そう、です。」

「多分私だけ挨拶してない筈だもの。 結城希亜、宜しく。」

 

挨拶を交わし合う二人。

ただ。

片方は一方的に知っていて、友人であったことも覚えていて。

もう一方は、何も覚えていない真っ更で。

そんな、少しばかりの痛苦を見ることになってしまったけれど。

 

「さて……。 とっとと起きろ、天。」

「ぅー……。」

「子供じゃないんだぞお前。」

「子供だよ! というかなんでそんな堂々としてるのお兄ちゃん!?」

 

一旦そちらから目を離して、頭を抱え続ける(そら)へと声を掛ける。

多分何も言わなかったらずっとそのままの体勢だったと思う。

顔は未だに真っ赤で。

突然の大声に驚いたような二人も、反応はそれぞれに別れた。

つまりは、納得したような顔と。

何事かと、少し警戒するような顔に。

 

「……いや、何というか。」

「何というか何。」

()()()()()()()()()()()()()()()、俺は。」

「…………え?」

 

ぎぎぎ、と軋むような動作。

それは、もし。

「■■■」と言われたら、と。

怯えるような、忌避するような顔で。

 

「……翔。 先に天と話して来たら?」

「……そうだな、少し席外す。」

 

そんな、青いような。

妙な顔をして、竦んだ天の手を掴み。

一度、外へ。

正確には、非常階段の踊り場へと引っ張っていった。

 

途中、目線で告げられる。

 

「頑張って」と。

「年数だけで言えば、一番だから」と。

 

…………実妹っていう大前提を含めて認識できる所。

それを踏まえても、「五人」という人数を崩そうとしない彼女達に。

感謝と――――我ながらどうかと思うが。

惚れ直す。

 

 

 

 

春から、夏に成りかけているような。

既に日が暮れ始めているのに、少しばかり陽気が残っている。

そんな空気の中。

 

手を引いた天と、俺は向かい合っていた。

 

天が消えそうになった(あの)時。

そして、消えてしまった時。

夜の中、震えながら内心を告げたときと同じ顔をしていた。

答えを聞きたい。

けれど、聞きたくない。

そんな、何方にしても変わってしまうことを拒む顔を。

 

「……気を利かせてくれたんだからな、後で謝っとけよ。」

「……ん。」

 

天だけは、他の三人とは立ち位置が違うから。

結ばれた記憶。

それ自体は飛び上がるくらいには嬉しいことだろう。

他の誰かと結ばれた記憶。

天は、自身の感情を押し殺して気付かれないようにしていた。

その感情を抱くこと自体が悪い、と。

自身で吐露したように。 周囲に気を配り過ぎる、妹だから。

 

「で。 ……話、聞く気力はあるか?」

「……無いなら、言わないでくれる?」

「いつかはしなきゃいけない話だけどな。」

 

記憶を取り戻すことがなかったら。

以前と同じように、俺は振る舞えただろうか。

そんな事を考えても、仕方ないけれど。

 

「……聞く。」

 

少しの間、迷うように考えていて。

そして、その言葉を絞り出した。

 

「まず、お前と同じように……別の枝、別の可能性を思い出してるのは春風以外。」

「……え? ってことは、みゃーこ先輩も希亜先輩も?」

「そうだな。 同時じゃないが、記憶が流れ込んできてる。」

 

だから。

 

「俺とお前の関係……というよりは、()()()()()()()()()。 それは多かれ少なかれ察してる。」

「……うん。」

「その上で、俺も。 彼女達も、意見は大体一致してる。」

 

握られた右手を強く、握り返された。

 

()()()()()()()()()()。 お前を遠ざけたり、嫌悪したりするつもりはない。」

「――――え?」

 

良いの?、と。

言葉が漏れていた。

 

「今のメンバーの間なら、って前提は付くけどな。」

「で、でも。」

「……これは言うつもり無かったんだがな。」

 

唇を軽く、舐めた。

からからで。

何で妹に、と。 思わなくもないけれど。

大事な女の子(いもうと)だから、と。 そうも、思うのだ。

 

「嫉妬したりどんどんするって、自分で言ったの覚えてるか。」

「……うん。」

「あの時な。 これから先どうなるかは分からないけど。」

 

口を、滑らす。

 

()()()()()()()()()()()()()、って思ったんだよ。 だから、そんな泣きそうな目すんのやめろ。」

 

頭を一度、掻き回すように撫でた。

いつかの、昔のように。

暫くの間、していなかったことを。

 

「――――お兄ちゃん。」

 

これから先。

どうなるか、枝が変わってしまった以上は分からないけれど。

全員で、立ち向かえたら。

なんとかなるだろう。

そう思いながら。

暫くの間、そうし続けていた。

ヒロインたちが付けてて違和感がないアクセサリー形状?

  • ブレスレット
  • ネックレス
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