成立するという意見。
成立しないという意見。
であるなら。 四人と結び付くこの関係を何と呼ぶ?
その日の食事は、久々に食べる家庭の味のようだった。
「……ど、どうかな?」
「俺はすげー好き。 弁当の時から思ってたけど、やっぱり才能あるんだと思うぞ。 都には。」
「そうかな……普通にしてるだけなんだけど。」
料理もセンスが必要なのは変わらない。
春風の……あの、なんとも形容し難いカレーのような何かを作り上げる逆の意味のセンスはどうかと思うが。
ただ、普通に食材切ったりある程度は出来る分。
付きっきりで誰かが教え込めば普通……のものくらいは作れると思う。
というか信じたい。 アレは二度とゴメンだ。
「……ねえ、都。」
「はい? ……じゃなかった、うん。 どうしたの、希亜ちゃん。」
「後で料理、教えてくれない?」
「ぇ。 私で良ければ、別にいいけど……。」
以前の枝の中。
こんな会話があった分岐が生まれる可能性もあったのだろうか。
……いや、難しいか。
都が料理を作ってくれて、希亜がこうして本心を示す
前者は容易に想像付くが、後者はタイミングがかなり限られるのだから。
「そう、ありがとう。」
「でも、急にどうしたの?」
「……分かって欲しいな。」
「…………ああ。 うん、そういうこと?」
「あ、私も教えて! みゃーこ先輩!」
わいわいと。
がやがやと。
普段では考えられないような騒々しさ。
華やかさのほうが先立つ気はしないでもないが、今は凄い楽しい。
「……さて、食いながらで悪いが聞いてくれ。 明日に関して相談しておきたい。」
「明日……です、か?」
「ええ。 特に香坂先輩には今日ご迷惑を掛けましたから、早めに自身の事を理解して頂きたくて。」
かたん、と割り箸を置きながら。
本来なら余り宜しくない使い方をされた、プラスチック製のカップに入った味噌汁を一口。
「春風の能力の確認?」
「お前、少し席を外してる間に一気に仲良くなってるな……。」
「趣味も合ったから。」
そうだな。知ってる。
「先輩には、自身以外を対象にした……何と言えば良いんでしょう、遠隔の練習をしてほしいな、と。」
「遠隔……ですか?」
はて、と首を傾げる。
えーと、こういうのは何と言うんだったか。
「バッファー、とか言うんでしたっけ? 味方にバフを掛ける役割の人。」
「ああ、支援系……です、か。 それならはい、分かります。」
「それで、俺もそうですが……全員にどれくらい掛けていられるか。
こう言ってはなんですけど、先輩の能力は相当負担が掛かると思います。 それでも、大丈夫ですか?」
「負担……?」
「スタミナが0になる、って表現したほうが伝わりますかね?」
小さく頷いた。
でもこの人の場合、今真面目に考えてても中身は何考えてるか分からんからなぁ……。
二人きりになった時、押し倒されることを考えてたレベルの人だし。
「翔。 何で実験するの?」
「いや、そんな身を乗り出すなよ……。」
先輩の能力の実験でやったことと言えば。
野良猫大量召喚のアレだ。
……猫かぁ。 飼えれば良いんだけどな。
「あはは……。 まあ、分かるけどね。」
「何させる気なの? お兄ちゃん。」
「ん、まあ大体結果は見えてるんだが。 猫に懐かれるようにしてもらおうと思ってな。」
若干二名が目を輝かせた。
都は茶トラの野良猫とそこそこ仲がいいからそうでもないのは知っている。
天は……そういやあんまりペットについてとか聞いた覚えないな。
「ね、猫ですか。」
「そうです、猫です。」
「……余り、猫に好かれないから私。 好きなのに。」
想像して、少し楽しそうにする春風。
逆に今までを思い出して落ち込む希亜。
……普段は似た者同士なのに、こうも性格に差が出るか。
まあ、変な子と認識されているか。
自分を作っているかの違いもあると思うけど。
「そういえばにぃに。」
「あん? 何だよ。」
食事を取るのか、話すのか。
こいつの場合はその比率が食事に偏っていたようで、気付けばもう皿の上は空っぽ。
「此処ってペット可だっけ?」
「あ~……どうだったかなぁ。 利用規約見てみなきゃ分からん、決めたのは父さんだし。」
「飼えたら……って思ったんだけど。」
「俺達が学校行ってる間に面倒見れれば考えるけどなー。」
食事に関してとか、そういうのがしっかりと教え込まれたようなペットならまだしも。
野良で急に拾ってくる……というのは難しい。
飼いたい、というのと。 飼える、というのはまた別問題だから。
「もし。」
「お、おう。」
「可能であれば飼って欲しい。 私も面倒見るから。」
前に出てくるんじゃない。
近い近い。
「……だったら希亜の家で飼えば良いんじゃないのか?」
「……お父さんが、駄目なの。」
「あ~……そりゃしょうがない。」
出来ればしょんぼりしないで欲しい。
「猫カフェとかだってあるんだし。 触れ合える機会は探せばあるだろ、その内行くか?」
「絶対、行く。」
だから、前に、出てくるな。
そうして、元の位置に追い返し。
小さな笑い声が聞こえる中。
ある意味初めての、五人の食事は幕を閉じた。
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