9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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小さなことでも枝が別れる要因になる。
それは、外部から観測されているから?
或いは、当人の意識が――――。


29.枝分かれ。

 

何処か所載なさげにしている希亜に、まずは溜息一つ。

別にこちらとしては泊まっていってもいいんだが、色々と()()なのも事実。

下手に一対一より、複数のほうが落ち着くくらいだったりする。

 

「……で、今日はどうしたんだ?」

「……皆が楽しそうにしてたから、言えなかったんだけど。」

 

いつかも見たような、硬い殻の中から見える何処か幼い雰囲気の彼女。

身長差……もあるのだと思うのだが。

けれど、妹というよりは護るべき女の子の印象は拭い去れない。

 

「両親と……喧嘩して。」

「喧嘩?」

 

初めて聞いたな、そんな事。

普段は仲良かったはずだが。

……それを吐き出した彼女の顔は、沈んでいて。

隠していたとは言え、気付いてやるべきだった――――と、俺は自分を叱責した。

 

「うん……正確に言えば、私とっていうか。 私とお父さんは意見は一致してるけど。」

「母親が、か?」

「翔は……私の事情、覚えてるよね?」

 

当たり前だろ、と呟いた。

妹を、目の前で事故で亡くした。

それ以降、「正義」に縛られ続けた少女。

自分自身でも、元の自分が分からなくなる程に。

「自分」を作り続けた、少女。

 

「私は、今のままじゃ良くない……って、気付けた。 皆のお陰だし……翔のお陰で。」

「元々思ってたことだろ。 あんまり買いかぶらないでくれ。」

「ううん。 多分、ずっと殻の中にいたと思うから。」

 

そう言われると……正直に言って照れ臭い。

話を強引に元に戻した。

 

「それで?」

「なんて言えばいいかな……。 今、家の中。 ずっと、昔から変わらないままだから。」

「それもあって引っ越すとか引っ越さない、って話になったんだよな。 前の枝では。」

「今日の朝、二人に言ってみたの。」

 

……随分早いな、というのが正直な感想だった。

 

昨日の夜、寝る前まで電話してきて。

そして今日の朝。

以前とは百八十度違う、柔らかい雰囲気にはなっているけれど。

根本的な部分では、やはり希亜は希亜のまま。

()()()()()()()()()()()()()()()

これも、ある意味アーティファクトの同調が進んだ結果だろうか。

 

「……元々、お父さんは少しでも変えようとしてくれてた。」

「けど、希亜は自分を作ってて……まあ少しは違うとは言え、勉強したりの真面目っぽい感じだったんだよな?」

「うん。 お母さんは、妹が死んじゃってから……なんて言えばいいのかな。 変わるのを、嫌がってた。」

 

変化を嫌がる。

以前の枝では、細かくは聞いていなかったけれど。

また、誰かがいなくなることを怖がっている。

それは、誰もが思う事柄で。

でも。 その度合がかなり違っている。 ()()()()()()()のだと、彼女は漏らした。

 

「絶対に駄目、大学も家から通える範囲で……って。 怒り狂うみたいに。」

「そりゃ……流石に、急な変化過ぎないか?」

「うん。 ……私の覚えてる限りじゃ、此処まで強く言われたこともないし。」

「それで喧嘩……なぁ。」

「お父さんが何とか抑えてくれて……それで、今日は帰ってこないほうが良いって。

 学校から出た辺りで、電話があったの。」

 

確かに、違和感が強い。

急過ぎる変化。

絶対に駄目だ、と言い続ける母親。

 

「……確認してみるか。」

「え?」

「ソフィ、いるか?」

 

少しの間が空き。

空間を裂いて、ぬいぐるみが現出する。

 

「何か用かしら、カケル。」

「ああ、ちょっと確認したいことがあってな。」

「あら珍しい。 魂を焼く炎のアーティファクトはもう少し時間掛かるわよ。」

 

そっちは、取り敢えずはまだいい。

 

「例えば、って話になるんだが…………。 ()()()()()()()()アーティファクトとかって、あるのか?」

「感情……ええ、まああるわね。 他人に危害を及ぼす類とは違って、使い方次第ってレベルだからある程度だけど。」

「なら、その可能性もあるのかね……。」

 

これで「無い」、と言い切ってくれたほうが良かった。

無いのなら、純粋に希亜を心配しての言葉だと断定できたから。

 

他者に干渉する能力。

微かに、記憶に引っ掛かった。

他人を味方につける、というか。

そういった、悪用出来る能力のものだ。

 

「ま。 何か情報が入ったらまた教えなさい。 名前とか程度でよければ調べてきてあげる。」

「分かった、助かる。」

「良いのよ。 貴方達には苦労掛けてるのだからね。」

 

それじゃあね~、と少し軽い口調で帰っていったソフィ。

それを見送った上で。

 

「……ってわけで、ユーザーに干渉されてる可能性もある。」

「……なんで、お母さんを?」

「さてな、其処までは分からんが……お前が相談した事以外は変化は無いんだろ?」

「うん。」

「となれば、お前を家から出したくない誰かってことだよな。」

 

何故父親は変わらないのか。

その理由まで探すのは、一苦労だと思うが。

 

「……まあ、ちょっと考えてみるか。 折角二人でいるんだしな。」

「そう、だね。 ……お風呂、借りても良い?」

「お好きに。」

 

悪戯口調で答えれば。

 

「……もしアレだったら、覗いてもいいよ?」

「やめろお前、本気にするから。」

「冗談……半分は、だけど。」

 

軽口と、本気とが半分ずつの答えを返される。

……頭の中に、白い身体が浮かぶのを首を振ってかき消すのに。

結構な苦労をする羽目になった。

ヒロインたちが付けてて違和感がないアクセサリー形状?

  • ブレスレット
  • ネックレス
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