移り変わる景色は、それぞれで。
抱く想いは。
春の風は、もう暖かくなり始めていた。
自転車を押しながら、隣の天ちゃんを横目で眺める。
「~♪」
「楽しそう、だね。」
「そう見えます?」
「うん、とっても。」
前の籠には、天ちゃんの荷物が載せられている。
もしこれが、翔くんだったら、なんて。
他愛もないことを考えてしまうくらいには、平和で。
「……これ、内緒なんですけど。」
「うん。」
「今日で、全部終わっちゃうと思ってました。」
「……全部?」
「はい。」
駅前までの短い時間。
けれど、話すのを楽しむように。
少しずつ、少しずつ。
こつん、と。
目の前の小石を蹴飛ばすのを、目で追った。
「色々、気付かれたくないこととか。」
「うん。」
「隠してたこととか、全部バレちゃって。」
記憶が戻ることは、良いことだけじゃない。
多分、それは皆同じなんだと思う。
私だって。
与一くんに、石にされた時。
自分を、ずっと叱って。
最期に思ったのは。
ごめんなさい、って言葉だったから。
自分には釣り合わない、って。
だから、一緒にいられるくらいには、って。
一人で動いて、最期は。
……悲しませてしまったんだから。
「多分。 お兄ちゃんに、拒絶されてたら。」
「……しないとは、思うけどね。」
「……どうだったかな。 もしかしたら、自分を消してたかもしれません。」
極めて平坦に。
彼女は、私にそう告げた。
「みゃーこ先輩は?」
「え、私?」
聞き手に、受け手に回っていた私への質問。
駅前まで、少しだけの遠回り。
誰かと、こんな話をするとは思ってなかった。
そんな、唯のお話。
「見てれば、何となく分かりますよ?」
「そ、そう?」
「はい!」
互いに、何の話かは口に出さない。
それは、出してはいけない事なんだろうって。
周囲に、認められるか分からないことなんだから。
「多分、そうだなぁ。」
思い返せば。
いつから、なんて決まっている。
「天ちゃんを、助けに行ったときかな。」
「え、私の時ですか?」
「うん、そう。」
中にいて、外の様子を一切知らなかった天ちゃん。
火事であっても。
自分が焼け死ぬ、なんて気にも止めずに。
私を護ってくれて。
天ちゃんを、護り抜いて。
「私が、一方的に知っててね。」
「……ナインボールで働いてたこと、知らなかったんでしたっけ?」
「みたいだね。 初めて知った時は、ちょっと驚いた感じだったかな。」
それから、いろんな事があった。
初めは、結ばれて。
ずっと先までを誓いあったけど。
スティグマについては、何も知らなかった。
それを知っている「私」は、彼と結ばれる事はなくて。
ただ、心に秘めたまま。
ずっと、目で追いかけているだけで。
「だから。」
「……はい。」
「私を、選んでほしい気持ちはあるけどね。」
うん、素直に認める。
独り占めにしたいし。
一緒に、いろんな事をしたい。
だけど。
「それは、皆同じだもんね。」
私、今。
上手く笑えてるかな。
「……みゃーこ先輩。」
「? どうかした?」
「私、やっぱりみゃーこ先輩大好きです!」
――――希亜ちゃん。 ……今日だけは、翔くん独り占めにさせてあげる。
たった二人の、秘密の話。
誰にも聞かれたくない、私達だけの内緒話。
ヒロインたちが付けてて違和感がないアクセサリー形状?
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ブレスレット
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ネックレス
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髪留め
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指輪