9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

49 / 114
感想で突っ込まれてたので一応言及しときます。
Q:他の枝で得たAFを同調して使えるからソフィからわざわざ「幻体」を借りる必要は無いんじゃない?
A:当初は「ゆきいろ」沿いで進める予定だった翔くんの名残です。

Q2:他の枝で得たAFを同調して使える=契約したAF全部使えるんじゃない?
A2:使えるか使えないかで言えば「使えます」。
但し「全て」の得た記憶があるので一部を除き使うと精神的に死にます。
なので基本的にこの枝で得たAF以外使いたがりません。


4/21(木)
31.磨り減って。


 

石の塊が、呟いた。

誰もいない場所で、声がした。

四方八方から、囁かれ。

首のない胴体が、絡み付き。

 

それら全てが、異口同音に共鳴した。

 

『何で?』

 

 

 

 

冷や汗と共に、跳ね起きた。

咄嗟に周囲を見たのは、殆ど反射的に。

記憶を確かめ、今の場所を確かめて。

一度、強く息を漏らした。

 

「…………ん?」

 

布団が捲られた衝撃で、起こしてしまったのか。

腕の中にいた……というか、潜り込んでいた希亜が、薄く目を開いたようだった。

 

「……悪い、起こしたか?」

「……どうしたの?」

 

今の時間――――朝の三時。

此処暫く、見る夢といえば悪夢ばかり。

それも、二度と見たいとも思わない。

()()()()()()()()()()()、悪夢だ。

 

「夢見が、悪くてな。」

「……夢?」

 

そうだ、夢だ。

その未来へ繋がる枝は、相棒の手で消されたはずだ。

そう、強く思い込む。

見てしまったものを、奥底に封じ込めるように。

 

「……ねえ、翔。」

「……ああ。」

「泣いて、たりする?」

 

そんな訳ない、と呟いた。

 

「……私も、嫌な夢見た。」

「どんな?」

「私が――――殺される、夢。」

 

それは、どの話を指しているのか。

石とされ。

傷だらけにされて。

幾度も、幾度も、幾度も、幾度も。

俺が戻る度に、殺された記憶のどれを指しているのか。

 

「……そう、か。」

 

俺には、そう言い返すしか無かった。

自分が死ぬのなら、まだいい。

其処で自意識が途切れ。

少しだけ戻った過去で、それをやり直せる手段を有して()()()()のだから。

だからこそ。

俺は、彼女達が殺され続けることに。

一度は、膝を付きそうになったのだから。

 

「……ね。」

「……ん。」

()()()、みたいに……抱き締めて。」

 

それで、何となく察した。

薄く開いた目は、何処か胡乱なような。

揺蕩うような、ふらふらとしたもので。

不安で、恐怖で。

染まってしまった、鏡映しの自分を見るような目で。

 

「こうで、いいのか?」

「……そう、だね。 あの時は。 何も感じなかった、けど。」

「笑えないからやめような……?」

 

自分が震えているのか。

希亜が震えているのか。

何方が何方なのかも、分からないまま。

羽織っていた服のボタンが、一つ外れ。

 

「……どうするんだ?」

「……私に、聞いちゃっていいの?」

「じゃあ誰に聞くんだよ?」

 

少しだけ、距離が近づいた。

 

「ねえ、翔。 一つ、約束してくれる?」

「約束?」

「そう。 ……もう。 私達を、()()()()()()()()。」

 

それは、今までに超えてきた枝の視点変換。

 

自分が死ぬ度。

観測できなくなって、消えたのと同じであったとしても。

同じ数だけ、誰かが悲しんだ。

それは、俺も。

彼女達も、誰もが同じ事。

 

距離が、少しずつ縮まって。

凍りついたように、動けないまま。

距離が近付く度に、互いの震えは治まって。

 

「私にも……翔にも、都にも、天にも、春風にも。

 こんな力は――――こんな記憶は、重すぎるよ。」

 

そうだな、と言えればよかった。

当事者と。

第三者と。

その視点の違いを、俺は理解していなかった。

いや、()()()()()()()()()()のかもしれない。

 

人は、忘れるから生きていけるのだと何かで読んだ事を思い出した。

引きずり続け、背負い続けた人間は。

いつしか、黙って消えてしまう。

けれど。

()()()()()を得てしまった。

消えた筈の、存在するはずの。

同じだけの、統合された痛苦(きおく)を味わった身だから言えること。

 

「勿論――――また、イーリスと戦うことになったとして。」

「……ああ。」

「もし。 負けるとしても。 皆、()()だから。」

 

繰り返さないで。

其処で、終わらせよう。

――――だから。

この枝で、私達は生きていこう、と。

 

約束(のろい)の言葉を囁いて。

裁く力を担わされた、少女は。

熱を、俺へと触れさせた。

 

ぴりり、と少しだけ痺れたまま。

その痺れが、溶けても。

互いの距離は離れることはなく。

 

目と目が触れ合う距離で、小さく頷くのを見た。

小さく、頷き返した。

 

はらり、と風を舞う音がして。

ぎしり、とベットが音を立てた。

 

GW何しようね……?

  • 日変わりでデート
  • 全員で旅行
  • ヒロインペアでイベント
  • お泊りとかしようぜ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。