9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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削ったからこそ先に見えるもの。
失ったからこそ得た大切なもの。
それら全てが、君を彩る。


32.その先に。

 

「それじゃ……また放課後にね。」

「ああ。 ……早めに希亜のも解決しねーとな。」

「そうね。 こうしてるのも、悪くはないと思うけど。」

 

少しだけ、一緒に歩く。

駅前までの短い距離。

多少不自然に歩く希亜の手を引くように、ほんの少しだけ。

駅前まで来れば、何方ともなく手を離し。

「またね」と、各々の学校へと別れていく。

 

太陽が妙に眩しく感じるような。

身体の疲労を引き摺りながら、コンビニへ。

今日の昼飯を抜いたら、多分倒れる。

そんな直感があった。

 

「あ。 何してたの? 買い物?」

 

コンビニから出た所。

こんなところにいるとは思えない顔を見かけた。

天と春風。

学校への通学路から少しだけ外れたそんな場所に、二人。

 

「いや、こっちの台詞だぞそれ。 何してるんだお前。」

「今日暑くなるって言うから飲み物多く買っておこうと思ったの。」

「あー……暑くなるの? マジかよ。」

 

普通では買わない栄養ドリンクとエナジードリンクが入った袋が音を鳴らす。

その場で口を切り、栄養ドリンクを流し込んで即ゴミ箱。

そんな行動を、天は怪しさ半分、羨ましさ半分の目で。

春風は、朝から少し頬が赤く染まっていた。

 

「わ、私は……その、付き添い?みたいな感じ、です。」

「あぁ……あの取り巻き対策もあってですか?」

「は、はい。」

 

言ってしまえば、あの集まってくるのは無意識での理想のイメージ。

自分でコントロールできるようになれば、そんな事もなくなるはずなんだが。

……まあ、天と一緒なら取り敢えずは安心できるか。

何方も電車通学だから、比較的すぐに合流できる二人だし。

 

「それで、にぃに?」

「何だ妹。」

「朝からナニカお疲れみたいですけど、希亜先輩は?」

「彼奴女子高だろ。 途中で別れたわ。」

 

明らかにイントネーションというか。

露骨に何かを言ってくるのを受け流す。

……こいつも、私不機嫌です!ってのを隠さねえなぁ。

 

「ふ~~~~~~ん。」

「露骨だなお前……。」

「別に良いけど。 誰か一人ばっかりと一緒はやめてよ?」

「何の話かは分からんが分かったことにしておく。」

 

買いに行かなくて良いのか、というのを目線で向ければ。

ちょっと待ってて、と込む前に駆け出していく。

店前で残された俺と春風は、何方ともなく苦笑を浮かべていた。

 

「妹の面倒見させてるようで、すいません。 ご迷惑はお掛けしませんでしたか?」

「い、いえ。 寧ろ、私が色々と……。」

「そうですか?」

「は、はい。 新海さんの事を色々聞いたり……い、いえ何でもないです!」

 

……余計な口を聞いてしまうというか。

色々漏らしてしまう、以前と変わらない彼女を見て苦笑いで返す。

 

「……恥ずかしいこと聞いてないといいですが。」

「そんな事ないです! む、寧ろ……ってなんでも!」

「落ち着いて下さい……って言っても難しいですかね。」

 

何か色々と、言語にならない言葉を漏らしている様子。

この人の、俺への評価の高さだけは未だに納得できないんだよな。

当たり前のことを当たり前にしたり、色々気を遣うくらいだってのに。

 

「お待たせ~。」

「おう、待ったぞ。」

「いや、兄貴に言う権利ないでしょ。 先輩ならともかく。」

 

そんな会話を繰り広げていれば、やや大きめの袋に入った飲み物。

……お前それ本当に飲み切れるの?

 

「なぁ天、何でそんな大きいの買った?」

「え、お昼に皆で飲まない?」

「それかー……。 お前に気を遣う精神が残っているとは。」

「おう其処に直れにぃに。」

 

ぎゃーぎゃー、わーわーと。

朝から騒がしい天を構っていれば。

少しずつ、春風も落ち着いてきた。

 

「ま、そろそろいい時間だし行きますか。」

「いい時間……ってあれ、今日出てくるの早かったの?」

「そりゃ早く出るだろ……。」

 

一人なら多分惰眠貪ってた気もするが。

 

「寧ろお前がこの時間にいる事に驚いたんだぞ、こっちは。」

「先輩と少しお喋りしたくてぇ~。」

「うわうっざ。」

「あの、ストレートに言わないで。」

 

お前が変な声出すのが悪い。

普通にしてろ。

俺としては、それが一番好きなんだから。

 

「香坂先輩、行きましょうか?」

 

冗談交じりで左手を伸ばせば。

 

「は、はい! ふ、不束者ですが……!」

 

思いっきり手を握られて。

 

「あ、ずるい! じゃあ私はこっち!」

 

もう片方を天に奪われる。

 

「くっそ歩きにくいんだが!?」

「いや、明らかに今のは自分のミスでしょ。」

「…………。」

 

あの、春風?

そこで黙られると正直困るっていうか。

 

「つーか学校行く途中だって分かってるか?」

「でも目立つのにぃにだけじゃない?」

「いいから離せや!」

 

そんな。

苛つくくらいに暑い、4月の半ば。

一日休んだ後に行く学校は、少しばかり面倒で。

でも、少しだけ楽しみで。

――――けれど。

 

「え~、最近行方不明事件が起こってるみたいだから皆気をつけてね。 朝のホームルーム終わり~。」

 

与一の姿は、その日にもなかった。

 

GW何しようね……?

  • 日変わりでデート
  • 全員で旅行
  • ヒロインペアでイベント
  • お泊りとかしようぜ
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