9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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自分の中だけならば、誰も気に留めず。
自分の外に出せば、嫌悪を以て迎えられる。
空想と妄想、その差異。



35.妄想。

 

『でもよー。』

『あん?』

『昨日も帰ってこなかったみてーだし遊んでるんじゃねーの?』

『ばっ、そんな事言うんじゃねーよ!』

 

他人に聞かれることを殆ど気にせずに。

大声、とまで行かないけれどよく聞こえる声での会話。

その内容、そして声色から考えると。

推定ユーザーの方が、絡んできた方に何かを話している様子。

 

「何の話してるんだ……?」

「さてな、細かくは知らねーけど。 大体予想付くんじゃね?」

「遊ぶ、とかだからな。」

 

誰か……異性に対する恋愛話辺りか?

引き続き、話に夢中のそれを眺めつつ。

周囲に気取られた際、違和感がないように。

レナと話か。

或いは、()()をしているように、距離を詰めた。

 

「おい。」

「悪いな。」

 

無論此奴は苛立ちを隠さないような言葉を呟くが。

大元の俺が俺だ。

その程度の言葉を幾度か呟きつつ、耳を二人に向けた。

 

『いや、だってそうじゃね?』

『いやいや、あの子が遊んでたら泣くっつーの!』

『元々ロリコン気味だもんな~。』

『女子校の生徒なんだから幻想抱いたっていいだろ!』

『まさかの女同士とか?』

 

……多分、女子に聞かれたら幻滅されるぞ。

するなら自分の家でやれ、という感じの会話。

 

ただ――――そうだな。

あの二人の会話も少し、違和感がある。

なんと言えば良いのか。

時間的な意味合いで、殆ど話をしていないからはっきりとは言えないのがもどかしい。

 

「……なんだろうな、この違和感。」

「あん? 違和感?」

「そうだ。 完全に初対面なら多分気にもしなかったと思うんだが。」

「ふーむ……。」

 

少しばかり考え込む俺とレナ。

戦闘的――――と言うよりは、直感的、感覚的か。

そういった意味では、俺よりも此奴のほうが上だと思う。

だからこそ、意見を聞いてみたかった。

 

『ただ、なぁ?』

『……今度は何だよ。』

()()()()()()()()()()なんだろ?』

『……そうだよ。 何か悪いか?』

『いや普通に話しにいけよ。 遠巻きに見てるだけでチャンス狙ってるとか気持ち悪くね?』

『一応互いに顔は知ってるから良いんだよ!』

 

ゲラゲラと笑う、春風の同級生。

それに憤怒したような、少し……こう言っては何だが、嫌悪感が出てしまうような笑みを浮かべる推定ユーザー。

 

俺も無愛想とか、顰めっ面とかは散々言われてきたが。

そういうのとは、何かが少し違う気がして。

 

「……あぁ、分かった。 多分そういうことか?」

「分かったのか?」

「勘だけどな。」

 

会話を聞いて、ちょっとだけ考えたと思えば脳内で検証するように。

幾度か頷き、自身の妥当性を確認するように見えるレナ。

問い掛ければ、確証はあるわけねーがと前置きし。

 

「多分、あっちのユーザー……もう片方、春風の元同学だっけか? ()()()()()()使()()()()()()()

「は? 知り合いに能力使ってるってことか?」

「聞こえる声がなんつーか、仰々しく聞こえんだよ。 ダチと話すのにあんな態度わざわざ作るか?」

 

そう言われ、その部分に今度は注目してみる。

 

『まあ、もし上手く行ったら何でも奢ってやっからよ!』

『最初から失敗するみてーな口調やめろ!』

『え? 何? 上手くいくと思ってん?』

 

飲み干した缶……だろうか。

ゴミ箱に荒々しく叩き込みながら、応援しているんだか応援してないんだか分からない言葉。

確かに、言われてみればそんな気がしないでもないが――――。

 

「……言われてみりゃそんな感じもするな。」

「だろ?」

 

ただ、そうなると問題が一つ。

 

「……恒常的に能力使うやつが増えてるってことか?」

「あ~……。 こう、言いたくはねーんだけどな?」

「何だ。」

「石化事件――――アレが、()()()()()()()()()()()()はどうよ?」

 

言われて、思考が一旦固まった。

人死にが、抑止に?

 

「まぁ、オレの考え方でしかねーからよ。 仲間内で考えたら?」

「……待て、どういう。」

「動くぜ、大将。」

 

そう言われてしまって。

無意識に、目線を二人組へ向けて。

何かを口論するように言い合いながら、歩いていく姿が見えた。

しかも、その方向は。

 

「…………皆のいる方、だよな。」

「だな。 とっとと用件済ませて戻ってやれば? 王子様。」

「一応、別れて彼奴等追い掛けといてくれ。」

「あいよ。」

 

それを皮切りに、慌てて自販機の方へ走り出す。

財布を出すのも少しだけもどかしく。

人数分、同じ物を買ってから持とうとして腕から零してしまう。

 

慌てて拾って。

小走り気味で、皆の元へ戻る途中。

 

『あれ? 香坂じゃん!』

 

そんな声と。

 

『…………ひ、久しぶり。』

「……()?」

 

吃るような、先程まで話していた推定ユーザー。

そして、小さく響く、希亜の声が。

耳に届いた。

 

地面を再度、強く踏み付けて。

前へ前へ、と駆け出した。

 

GW何しようね……?

  • 日変わりでデート
  • 全員で旅行
  • ヒロインペアでイベント
  • お泊りとかしようぜ
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