9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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人の心の中は、当人以外誰もが理解出来ず。
その行いから、その思いを推し量る。


36.戸惑い。

 

半ば無理な動き方をして、肉体的にも精神的にも疲労を溜め込みながら。

四人の場所に戻ってきた際、目の前に映ったのは大きく分けて二つ。

 

春風の前に立つ、大声を上げて威嚇するような元同じ学校の、春風の……なんだ、ストーカー?

そして、希亜から少し離れた場所で吃りながらも話しかける、推定ユーザー。

 

距離的には、希亜の方が手前側に位置していて。

けれど、話の重大さを鑑みれば春風の方が緊急性は上だった。

 

「何してんだよ、こんなところで!」

 

そんな、問い詰めるような声が耳に響く。

――――何方に向かうべきだ?

一瞬だけ迷いはしたものの。

 

泣きそうな、誰かを求める顔を浮かべた春風と。

俺を見て、一度確かに頷いた希亜と。

両方の行動を見。

 

次の瞬間には。

缶を手元から落としながら、滑り込むように春風の前へと立っていた。

 

「おいってば!」

「そんな、大声出す必要あります?」

 

何とか、距離がそれ以上縮まる前に割り込めた。

 

「あ? 何だよお前。」

「香坂先輩の……何でしょうね、()()()()()とやらですよ。」

 

目線だけを都と天へ向け、動かないように。

或いは、天のアーティファクトを使ってくれるように。

つまりは此奴の目の届かないようにしていて欲しい、と強く睨みつけた。

 

果たして、それが通じたのか。

或いは妙に鋭い時がある二人だからか。

天の近くへと都が移動して、小さく頷いた。

 

「は? 此奴に? 友達?」

「そうですよ?」

 

どの程度深い友達なのか。

聞かれたら、口元だけを歪めてやるつもりだった。

以前、此奴が全身をスティグマに染めて襲いかかってきた際。

俺が全力で押さえつけても、向かっていたのは春風に対してだった。

つまり、それだけ思い入れが。

或いは、執着があった相手ということだ。

 

……確か、レナが言ってたな。

知り合いに聞いた話だが、周囲が彼女だらけになって焦って、この辺りを探していたとか。

小中同じ学校で、春風を自称「面倒見て」いた張本人。

その行為が、どれだけの恐怖を抱かせていたのかに気付かなかった張本人。

だから、少しでも。

その考えを、俺に向けるために挑発し続ける。

 

――――良いことだとは、到底思えない。

けれど。

彼女へ危害が向くのなら。

狙われるのは、俺でいい。

 

「小中と面倒見てやらなきゃ引きこもってた此奴に、男の友達ィ?」

「そうですよ。 色々と面倒見て頂いてましてね。」

「ハッ、どうだか! 騎士様気取りとかそんなとこじゃねえのかね!」

 

少しずつ、会話の度合いがヒートアップしている。

抑えろ。

()()()()()()()()()()()()のはこの段階に至れば誰だって分かる。

暴走の方向性を、怒りの噴出度を抑えるように発言しろ。

 

「誰……って酷いな。 ぼ、僕だよ。」

「いえ……その、すいません。 何方、でしょう?」

 

困惑の色を多分に含ませ。

恐怖で染めたような、誰とも知らぬ相手への希亜の返答も聞こえている。

出来れば、こちらか向こうか。

何方かを片付けてしまいたいのだが。

 

「なぁ、香坂! 此奴、お前の何なの? ウゼーんだけど?」

 

そんな風に、思考を向けてしまったのが悪かったのか。

俺ではなく、春風に話を持っていく。

恐らくは、話せないのを理解していて。

その顔が、歪んで見えて。

 

()()()()

 

だからこそ、その声色に驚いた。

何処かで聞いた、彼女の強い口調。

そう、確か。

初めて、イーリスを撃退したあの時の。

 

「こちらを、向いて下さい。」

 

その言葉に、逆らえずに。

或いは逆らわずに、後ろを向く。

目の前の男の目が、見開いていくのが妙に遅く見えていた。

 

そちらを見れば、一歩を踏み出した彼女の姿。

両腕を頭に。

何かを信じたように、目を見つめていて。

だからこそ、なのか。

或いは、彼女の能力での理想の実現なのか。

 

いつかの俺の部屋での。

「襲われたい」とかいう、あの妄想じみた時のように。

ただ、答えは明白に。

 

彼女からでなく。

俺は、俺の意志で。

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「――――は?」

 

乾いた声が、背後から聞こえる。

呆然としたような声色が、俺の背中を突き刺す。

 

実際触れ合っていたのは、多分数秒にも満たない時間で。

けれど、互いの口内には自分のものでない液体が残っていて。

だからこそ、確実に。

互いに、線が繋がったと理解して。

 

「……こういう事らしい、ですね?」

 

もし。

この場にいたのが、あの時に抑えてくれた彼の友人ならば。

慰めながら、暴れようとするのを止めてくれただろうか。

 

ただ、此処にいたのは。

それを加速させるような、ユーザーの存在で。

 

「ふ、っ――――。」

 

憤怒までの、一瞬で春風を。

()()、とその場から突き放した。

 

「ふざけんなアアアアアアア!」

 

口の端から、泡のような物を吐き散らしながら。

目の前の存在を打倒しようとする、男が一人。

 

咄嗟に身を屈め、胴に手を回して。

一方的に殴られるのを抑えながら、地面へと伏せさせようと力を入れても。

相手は、自身の身体が壊れるのも厭わないように暴れ続ける。

()()()()()()()()()()()()()()()()で。

 

「アアアアアアア! 殺す!」

 

声を出せずに、抑え続け。

ふっ、と重みが消えたのはどれくらいしてからか。

 

「……なぁおい、大将。 無理しねえって言ったのはお前だろーが。」

 

疲労と、痛みが脳裏を麻痺させる中。

暴れていた彼の、腕を極めながら。

溜め息を吐く、レナの姿が視界に映った。

だから。

 

「悪い――――少し、任せる。」

「あいよ。 カッコつけて来いよ。」

 

其処で、倒れるわけにも行かずに。

怯えを、仮面の中に隠した。

希亜の方へと、重い足を向けた。

 

騒動は未だ、終わらない。

 

GW何しようね……?

  • 日変わりでデート
  • 全員で旅行
  • ヒロインペアでイベント
  • お泊りとかしようぜ
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