9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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ふと気付いてしまった事象。
実際のところ、それは。


42.戸惑い。

 

食事を済ませれば、後に残るのは全員にとっての休息時間(じゆうじかん)

とは言っても、此処暫く……ユーザーになって以降は文字通り色々と悩ましい事が続いている状況で。

記憶を呼び起こした今でも。

いや、思い出したからこそ疑問に思うことが幾つも存在する。

 

例えば、そう。

友達(のあ)を自分の家に紹介しに行く、という名目……名目か?で先に帰らせ。

「暫く泊まってっても良い?」とかいう天を払い除け、明日なら良いということで送り届けた後のこと。

 

「~♪」

「あれ、まだ残ってたのか?」

「うん。 洗い物とか、早く作っておいて冷やしておきたいのとかあったから。」

 

部屋に戻ってきてみれば、未だに制服の上にエプロン姿でキッチンに立つ都の姿。

この姿を見るだけで、少しホッとするのは記憶が理由なのか。

それとも、どんなに謙遜して考えても学年一の美少女が俺の部屋にいることが要因なのか。

多分頭を振り絞っても思いつかないのだと思うが。

 

「最近は毎日悪いな、本来ならバイトとかもあっただろうし。」

「ううん。 忙しいのは今月来月くらいだって分かってるから。」

「ああ、それについても話……今日の帰りに簡単には言ったと思うんだけど。」

 

うん、と確かに頷いて。

 

「普通なら、募集もしてないっていうか。 家族経営……趣味みたいな部分が大きいんだけどね。」

「だろうなぁ……見かけた覚えもあまり無いし。」

「多分、私の紹介なら翔くんは大丈夫。 それに、顔見知りだもんね。」

 

出来れば顔見知りのところで働いてみたい、という気持ちを図ってくれたのか。

返ってきた返事は、俺が望んでいたものの大半を占めていた。

 

「助かる。 まあ、そこまで入れるわけじゃないだろうが……。」

「基本的に入れる時に……って感じだもんね。」

 

出来れば……そうだな、6月くらいからが理想か。

5月までは色々と忙しいのも分かってるし。

 

「働いてみる経験は大事だ、って口酸っぱく言ってることだし。」

「お嬢様、というか大企業の経営者一族らしい言葉だよな。 それ。」

「もう。 私は私でしかない……でしょ?」

 

洗い物を終えたのか。

水道で手を流し、いつのまにか用意されていたキッチンペーパーで手を拭う。

……少しずつ、侵食されてるなぁ。

 

「確かに。」

「……それで、翔くん。 さっき、ちょっと気になったことがあるんだけどね。」

「どうした?」

 

ううん、と頭を悩ますように目を瞑り。

はっきりとはしないんだけど、と一度前置きをしてから。

 

「ほら、私達も他の枝の記憶を持ってきたでしょ?」

「そうだな。 その感覚は俺には慣れちまった、って感じなんだが。」

「それで……思ったんだけど。」

「おう。」

 

ちょっと悪い、とコップに水を汲んで一口。

ジュースとか飲もうとするとお母さん(みやこ)が口を尖らせるので。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って。」

「……どういう意味だ? それ。」

「イーリスとの戦いの時に、翔くんの記憶を貰った……って言うのはみんな同じでしょ?」

「その筈……だな。 条件を満たしてて、俺が頼りにしてた四人を呼んだ。」

 

えへへ、と笑う顔を抱き締めたくなるのを抑える。

こんなところで自分の物表示して何の意味があるんだ俺。

 

「だとすると、ちょっと不思議だなって。」

「不思議………………あ、待てよ。」

「気付いた?」

 

他の枝の、俺と結ばれた時点での四人。

その時の記憶は持っていて当然だ。

そして、()()()()()四人との記憶。

これも、共有していておかしくはない。

ただ、その間の――――()()()()()()、四人のそれぞれの記憶。

これを持っている理由が、分からないということ。

 

「……多分だけど、でいいか?」

「うん。 ちょっと気になっちゃって。」

「俺の相棒……『ナイン』の事も分かってるよな。 都たちは。」

「え~っと……アレを持ってる人、だっけ?」

 

常に俺を見ている、与一にとってのイーリス。

()()()()()()()()、という言い方が一番しっくり来る相棒。

彼、或いは彼女が出来ることは。

ソフィが常に行っている世界の眼の上位互換……過去から未来までの枝への介入そのものだ。

そして俺は知っている。

ソフィが擬似的にあちこちに存在できて、過去の情報であれば任意に取得できる立ち位置にいること。

そこから考えるなら。

 

「多分、都達を見てた相棒の記憶を一緒に投射してる。 第三者的な目線だけど、それを自分の中で理解してるんだと思う。」

「それだと……翔くんも、私達の記憶とか覚えてることにならない?」

「どうかな。 少なくとも今は思い出せないし、思い出そうともしないから。」

 

見られたくない記憶だってあるだろうし。

それは、俺にしても皆にしても同じことだから。

 

「そっか。」

「……安心したか?」

「安心っていうか……ほら。」

 

何だよ。

くすりと笑って部屋の方へ向かう都を追い掛けて。

 

「想ってる事を悟られちゃうより。 口に出したいから。」

「……都が言うから重い台詞だな、それ。」

「もう! その事は言わないでよ。」

 

反転して、細い目をした彼女を。

悪い悪い、と抱き留めた。




閑話・端数回はこんな感じで”あったかもしれない”枝、
そして相互眷属化による記憶インストールでの無意識下の投射です。

気付いてないだけで夢で見てたり。

GW何しようね……?

  • 日変わりでデート
  • 全員で旅行
  • ヒロインペアでイベント
  • お泊りとかしようぜ
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