9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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互いに互いを認め合い。
互いが互いを求め合う二人。


43.瞠目。

 

調子に乗って抱き留めたのは良いけれど。

その後、どう動いていいかは全く考えてなかったりする。

そういう行き当りばったりな行動をとったツケというのが、今のこの状況下。

互いに動けず、その場で硬直。

 

「……ね、ねえ翔くん。」

「お、おう?」

 

丁度肩甲骨の下辺りを、腕を回して抱き締めている感じ。

今日所々に怪我をしたというのに、そんな事を弁えずに動けば当然あちこちがじくじく痛む。

当然、それを見逃す都でもなくて。

 

「……身体、大丈夫?」

「大怪我ってわけじゃないんだから……。」

「それでも、心配だもの。」

「無理はしてない。 それは……信じてもらうしか無いが。」

 

少しばかり、俺より暖かい体温を感じる。

腕の中に感じるやや早いとくん、とくんという心音。

身長差から、彼女を見下ろすような形で。

いつかの。

ゲームセンターの帰り際を、否が応でも思い出すように。

 

「…………。」

「…………。」

 

こういう時こそ、何か別の。

動ける切っ掛けが欲しいのに。

そんなものもなく。

そのまま、動かず、動けずに。

五分、十分。

かち、こちと時間が進む。

 

「あ、あの。」

「な、なあ。」

 

互いに口を開こうとすれば。

運がいいのか悪いのか。

或いは相性がいいのか悪いのか。

話し始めるタイミングすら被って、互いに譲り合う。

何でこんなに緊張してるんだろう、と。

自分で自分のことがわからないように。

 

距離が、少しだけ縮まる。

潤む目が見える。

碧く、少しだけ輝いて見える色。

唇が、少しだけ変わって。

言葉にならない言葉を囁く。

 

『――――良いよ?』

 

けれど、浮かぶのは朝方の事で。

また流されるのか、と思ってしまうけれど。

高校生時分の身体は、妙にそういった意味合いでは抑えが効かなくて。

後、数センチまで近付いて。

 

じりり、と。

 

俺の電話が鳴り、それを切っ掛けに互いに離れてしまう。

顔が真っ赤に染まっているのが分かる。

熱くて、脳が茹だっているのが実感できてしまう。

 

慌てて画面を覗こうとすれば、手が滑って床にスマホが転がる。

その衝撃で画面が点灯。

送ってきたのは春風。

無事に着いた旨。こちらは大丈夫だ、と。

連絡してくれたのは嬉しいが、少し苛立ってしまうのは多分自己中過ぎる。

 

「な、なんだって!?」

「お、おう! 無事に二人は着いたってよ!」

「そ、そっか!」

 

互いに妙なテンションで。

顔を背けつつ、ちらちら覗き合ってるような感じ。

……なんだこれ。

 

「よし、都。 一旦リセットしよう!」

「リセット!?」

「無理なら無理でいいぞ!?」

 

何にしろ、今の状態だと話もまともに出来ないだろうし。

一旦大きく深呼吸して。

数回繰り返せば、妙なテンションも落ち着いてくる。

混乱していた脳も、ある程度平穏を取り戻して。

改めて。

目の前の、一番最初の少女(くじょうみやこ)に向き直る。

 

「正直さ。 俺、大分混乱してるけど。」

「……うん。」

「都さえ、良ければ……とも思っちまった。」

 

少しだけ、無言の時間があって。

くすり、と笑みの表情になって。

少しずつ、その笑みは顔全体に広がっていった。

 

「正直者だよね、翔くん。」

「悪いかよ。」

「ごめんね、笑うつもりじゃなかったの。」

 

ムッとした表情を見えるように出せば。

口元を変な形に歪めながらの、謝罪。

 

「なんて言えば良いのかな~。」

「……何が?」

「私だって、()()したいんだよ?」

 

それはさっきの言葉で分かったが。

 

「……酔ってない?」

「なんで?」

「いや、なんていうか。 普段の都と違くないか?」

「それは、そうだよ?」

 

ちょっとだけ、こちらに近付いてきて。

少しだけ、距離を取った。

先程までと同じような、潤んだ目のはずなのに。

少しだけ、怖くなったから。

 

「皆が、羨ましくて。 ずるい、って。」

「お、おい……?」

「そう思っちゃうのだって、私なんだから。」

「近い近い近い近い!」

 

前々から思っていたことではあるが。

何というか、一度思い切ったら誰よりも突っ走る所がある都。

例を出すなら、一人で石化事件の犯人――――与一を、能力を使って見つけ出した時。

あの時、学校中を調べるのに要した時間を考えるなら。

決意してから、動き出してから。

集中した度合いはちょっと考えたくもない。

 

「ねえ、翔、くん。」

「ひゃ、ひゃい!」

 

声が裏返った。

少し……こう、怖い。

 

「……駄目、かな?」

「…………。」

 

溜息一つ。

 

「知らんぞ?」

「……うん。」

「大分クズみたいだからな? 俺。」

「それを強要したのは、私だから。」

「……此処でやめる気は?」

「あったら、こんな事してない。」

 

……見れば。

少しだけ、彼女も震えていた。

 

「……お願い。」

 

嫌われるのが嫌だ、ということなのか。

或いは別の事情があるのかもしれないが。

以前の枝を考えれば。

互いに、時間さえあれば貪り合っていたのもまた事実。

 

「……なら。」

「……うん。」

「せめて、汗は流してからにしないか?」

「……私は、どっちでも。」

 

電気を、消して。

けれど。

音が消えたのは、それからずっと後のこと。




都→多分一番物好き、そして普段は弱いけど覚悟を決めると一番怖い(ここいろEDまでの描写、BAD時の暴走っぷりから)
天→ED以降積極的に嫉妬するとかなので倫理を無視すれば大分穏当
春風→本質が本質ではあるがどちらかと言うと受け手、妄想を実現されるのが好き?
希亜→甘え好き

こんな原作イメージ。

結局本編二回見返しても周囲になんにも無さそうだったので行き先を生やそう。

  • 山:温泉
  • 海:水族館とか
  • ちょっと都会:遊園地
  • その他:民宿とか
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