9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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好みが違う、人が違う。
けれど、私達が好きになるのは。


47.それぞれの。

 

実際のところ。

食器専門店なんて洒落たものが近くにあるわけでもなかったりする。

以前買ったときと同じく、幾つかそういった食器やらが纏めて売っている店に行く、と言うだけの話。

にも関わらず、誰もが少し浮かれているようにも見えた。

 

「ふんふふ~ん。」

「……いや、お前なんでそんな上機嫌なの?」

「そりゃ上機嫌にもなるってもんですよ兄ィ。」

「いやだから理由を聞いてるんだが。」

 

例えば天に聞いてもこの通り。

浮かれていることだけは分かるが、その理由が完全にさっぱりで。

そこまで楽しげにするようなことあったか?というのが先に出る。

勿論、全員での買い物(デート)という側面は俺自身が良く分かってる。

ただ、何というか。

それだけじゃないようにしか思えない。

 

「ふふ。」

「……え、都何でだか分かるのか?」

「まあ、何となくだけどね。」

「ええ……何でだよ……?」

「多分、天ちゃんだからこそだと思うけど。」

 

その後の言葉を続けようとして、あ、と。

言葉を漏らして、少し駆け出していく。

向かった場所を見れば八百屋。

 

「おじさん、今日これこんな安いの?」

「おお、ちょっと安く手に入ってな~!」

 

それを眺める俺達、と言っても一瞬だ。

いつものことだ、とばかりに近くまで行って。

 

「都。 ……帰り際にしよう、な?」

「……じゃ、じゃあ何本かだけ買って行かせて!」

 

多分その言葉に本気を感じ取ったのだと思う。

後ろ髪を引かれるように、精一杯の抵抗。

 

「……そんなに安いの?」

「えっと……普通の半額。」

「それはそれは。」

 

……いやまあ、はい。

希亜や春風もそこに介入してくるわけで。

今まででは見たことがない光景だというのは、料理に興味が湧いたからなのだろうか。

もしそうなら、その理由の一端に携われたと言うだけで少しだけ嬉しくもなるが。

 

「細かく値段とかまで調べてなかったなぁ……。」

「兄貴、一人暮らしなんだからそこは注意しとこうよ。」

「それならお前は女の子なんだから料理くらい作ってくれよ。」

「こないだお弁当分けたじゃん! それにそういうこというのはアレだよアレ!」

「アレ、ねえ。」

「そう、差別だ!」

 

遠巻きに見てる俺達兄妹はこのままで良いのかちょっと孤立感。

その辺り、少しは気にしたほうが良いのか。

 

「ところで天よ。」

「なんですかいお兄ちゃん。」

「お前まだ多めに金銭要求してたりする?」

「しないと思うでか。」

「いや躊躇しろよ。」

 

袋に詰められた幾つかかの野菜を持ってホクホク顔の都と、それを見て何かを学んでる二人。

美少女たちに一時的に囲まれて嬉しそうにしてた親父。

そしてそれを見ていた俺達二人。

何だこの空間。

 

「お待たせ。」

 

ぼーっと見ていること少し。

此方に戻ってきた都から袋を半分無理に受け取る。

少なくとも荷物になるし、持たせて歩きたくはないし。

 

「いや、別に待ってないからいい……というか俺が毎日のように世話になってる側だからなぁ。」

「好きでしてることだから、ね?」

「だったら俺だって。」

 

互いに礼を言い合うのがいい関係かと言われれば難しいが。

何も言わないような関係よりは、余程正常的だと思う。

……仮に、誰かと結婚することになったとしても。

これは忘れずに生きていきたい。

 

「うわ、なんか浮かれた顔してる此奴……。」

「何でそんなドン引きしたみたいな顔してるんだお前は。」

「そりゃするでしょ。 普段の写真見る?」

「やめとく。 お前の撮ってる普段の写真を知ってるからな。」

 

スマホの写真いっぱいに何が入ってるかは知ってる。

だから下手するとこいつは親より誰より、下手すれば()()()()()()()()()()()

少しの変化で妙に気付いてくるのはそれが理由だと俺は睨んでいるが……。

 

「まあ、んなことはいい。」

「……そんなことで流せる? これ。」

「流すんだよ。」

 

軽口を叩き合いながらの、時間的には夜の買い物。

帰宅時間という名のリミットはあるものの、それまでは自由気ままの時間帯だ。

特に天は今日泊まっていく気満々というのもあるから、実際には無制限(ノーリミット)

……いい年した妹が一人暮らしの兄の家に泊まるの普通ならどうなんだろうな。

いやまあ男の家に泊まるって言ったら多分相手を突き止めるくらいはするが。

 

「相変わらずね、あの二人は。」

「仲がいい兄妹で、羨ましいと思いますけど。」

「どうかしらね。 アレは……仲がいい、と一言で言えるのか怪しいと思うわよ。」

「そうでしょうかねえ……。」

 

後ろの方から聞こえる、希亜と春風の声。

聞こえないふりをして、歩みを進める。

兄弟姉妹、特に妹関係は……希亜にとっては過去の辛い出来事を思い出すことと等しい。

話題に出さないか。

出すとしても細心の注意を払う以外、俺は取れる行動が思いつけずに。

 

行くぞ、と。

全員を引っ張っていくことしか出来なかった。

結局本編二回見返しても周囲になんにも無さそうだったので行き先を生やそう。

  • 山:温泉
  • 海:水族館とか
  • ちょっと都会:遊園地
  • その他:民宿とか
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