9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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隠した感情、押し殺した気持ち。
それぞれの枝で、それぞれの選択。


49.彼女はきっと。

 

「ねー、にぃにー。」

「何だよ。」

「候補何処があるのー?」

「何で全員が全員乗り気なんだよ……。」

 

帰り際に口に出した言葉。

正直に言えば、ただの思い付きだ。

春風と一緒に行った、実家とは逆方向に少し行ったところにある温泉施設。

あの時だって、彼女の思い付きで。

日帰り施設だったからこそ、泊まりもいいな……と言った感じだっただけ。

 

「いや、だって皆でお出かけとか学生らしいじゃん?」

「学生らしいかぁ?」

「そりゃそうでしょ、友達同士だよ?」

「男女比考えろよ……。」

 

いや、俺は嬉しいし凄い楽しみだぞ?

それは自信を持って言えることだし、妙な勘違いはしてほしくはない。

だが、女子のほうが楽しそうなのはどういうことだ。

 

「まあ、あんまり遠くはいけないと思うけどね~。」

「金銭的にも、今のこの街から離れすぎるのもどっちも怖いからな……。」

 

今、俺の部屋に残っているのは天ただ一人。

都を夕食を終えてすぐに。

希亜と春風は荷物を置いて、すぐに帰宅した。

ただ、最後に。

「詳しい話はLINGで」と言い残していくのは忘れなかったが。

お陰で、さっきからずっと着信音が鳴り響いてる。

 

「で、どうすんの?」

「俺に振られても困るんだが……何しろ温泉施設なんて言われて知ったような男だぞ?」

「センサーが死んでたのかな?」

「男なんてそんなもんなんだよ! ついでに言えばその頃中3だぞ!?」

「あ~、そっか高校受験真っ盛り。」

 

何でお前は去年苦労したことを忘れられるんだ。

そう聞こうと思ったが、聞くだけ無駄かと思い返した。

多分当時此奴が考えてたのは俺と同じ学校の事くらいだろうし。

後は……()()を隠すことに精一杯だったという可能性もあるが。

 

「ねえ兄貴?」

「なんだ。」

「何で生暖かい目で私見てくるの? 正直言ってキモいんだけど。」

「大変だったな……って。」

「うわなんか知らないけど妄想してる。」

「せめて想像と言え想像と。」

 

妄想だと明らかになんかアッチの方が浮かぶじゃねーか。

考えすぎか……?

 

「はいはい。」

「聞いてるんだか聞いてないんだか分からん台詞を……。」

「逆に聞くけどさぁ。」

「おう。」

 

ひたすらにダラダラする時間帯。

他に誰かがいればまた別なんだろうが、互いに今更な関係性。

距離を取るとかそういう次元を通り越して。

適当にパソコンで動画を漁る中、風呂上がりの此奴がべったり張り付いてきている。

いい加減暑いんだが。 離れろ。

 

「誰も妄想しないの?」

「それを妹に話す兄がいると思います?」

「言いそうじゃん。」

「冤罪というか言いがかりやめろや。」

 

俺はどういう目で見られてたんだよ。

 

「にぃに、女の子からの助言欲しい?」

「一応聞いてやろう。 後いい加減離れろ暑苦しい。」

「え、やだ。 多分気付いてないけど視線胸元行ってるからね? 時々。」

「何でだよ……。 しかしマジか、前に言われて気をつけてはいたんだが。」

「その目を私に向けない理由を聞きたい。」

「ハッ。」

 

嘲笑。

何いってんだ此奴。

 

「鼻で笑ったでしょ今!?」

「笑うに決まってんだろ紙袋。」

「それを言ったら戦争だぞ? お?」

「だから更に体重掛けてくんなっつーの!」

 

いい加減鬱陶しい。

引き剥がして、手元に置いていたスマホの画面を見る。

喧々囂々、色々な意見が浮かんでは消えているが。

 

「これ見てると温泉の意見強くねえか?」

「あ~かもね、丁度近くにあるんだしさ。」

「でも態々電車でちょっとの所に泊まるのってどーよ。」

「それは私も思っちゃうからな~。」

 

まあ、引き剥がしてもすぐに元に戻るのが此奴だが。

それが分かってて、やや過剰とも言えるスキンシップに興じてる部分はある。

肉体的接触をそこまで否定しなくなった、というのもあるかもしれない。

 

「なので行くなら……せめて電車で1~2時間の所にしたい。」

「こっからで観光できる穴場ある?」

「温泉くらいはあるだろ多分。」

 

何しろ、そのくらいの距離なら何かあっても半日あれば戻ってこれる。

ソフィに頼んで、緊急事態になったら声を掛けてもらっても良い。

……それで手遅れになるほど、ヤバい事態も早々ないだろう。

イーリスを除いて。

 

「たださ、お金どうするの?」

「俺は貯めてたお年玉っていう切り札があるが。 後は親に頼る。」

「うわ堂々と言った。」

「って言ったって、お前もどうせそうだろ?」

「まあね~。 少しはあるけどさ、お父さんなら出してくれそうだし。」

 

此奴の猫被りにいい加減気付け、と祈るだけ祈ってみる。

多分無駄だが。

 

「で、明後日は色々予定あるとして……明日はどうすんの? お前。」

「特にないけど。」

「なら……予定決めも含めて、午前中調べ物して昼はナインボール行くか?」

「え。 奢り?」

「自分で出せ。」

 

日曜は春風とで予定潰れるから明日を取ってやったんだ、とは言わない。

言うと絶対調子乗るから。

……いや、乗ってたくらいのほうが可愛げがあるか。

少しだけ、悩ましかった。

 

「またなんか考えてる……。」

「考えちゃ悪いか……?」

 




GWの旅行先何処が良いですかね……
本編だと遠出した描写って温泉くらいだからなぁ、何処か生やすか

結局本編二回見返しても周囲になんにも無さそうだったので行き先を生やそう。

  • 山:温泉
  • 海:水族館とか
  • ちょっと都会:遊園地
  • その他:民宿とか
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