9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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片手は既に誰かの腕を。
その人数が、多いだけで。


52.手と。

 

「でよ、兄やん。」

「おう。」

「ナインボール行った後どうすんの?」

「あ~、それか。 お前時間はあるんだよな?」

「無かったらいないってば。」

 

それもそうか。

いや、兄としては同学年の友人は?と聞きたくなるが。

俺も与一を除けばブーメラン返ってくるから黙っておく。

 

「丁度思い付いた買い物と~。」

「と?」

「ちょっと、先生のとこ行ってみようと思う。」

「へ? 沙月ちゃんに粉かけるの?」

「違うわ。」

 

美人だと思うしとっつきやすいとは思うぞ?

でも残念だし……って本人の前で言ってもなんか普通に受け入れそう。

あの人もあの人で色々とキャラが濃いとでも言えば良いのか。

 

「ソフィが行けたかどうかと、世界の眼の確認だ。」

「ああ……なんだっけ? 5月の頭には無くなってたとかだっけ?」

「そうそう。 大分流れが変わってるはずだからどうなるか分からんしな。」

 

ソフィが問題なく行けるなら、イーリスの干渉はないと思っていい筈。

基本的にあの二人が同時に、先生に対して影響を与えたケースは俺の記憶ではない。

まあ、100パーとは言えねーけど。

 

「でも、それならもっと早く動いてよかったんじゃないの?」

 

鋭いところを付くな此奴。

 

「一応理由は幾つかあるが、言い訳っぽくなるんだよなぁ。」

「ふぅん。 まあいいや、一応なら聞かせて。」

 

一旦ブラウザを最小化して、メモ帳を起動。

時系列を簡単に打ち出した。

 

「まず最初に、ソフィとイーリスの関係性はもう言わなくていいな?」

「まあ……うん。 何度か聞いてるし。」

「よし。 で、俺が知る限りだが彼奴等が同調できる人間は制限がある。 まあ()()()無理をすれば別だが。」

 

そこは大前提、というか知っていて欲しいところ。

何度か全員でいる時に話している内容もあれば、引き継いだ知識もある。

理解していることを示すように大きく頷いている。

 

「だから、無理しなきゃいけないように……っていうか、万が一用に沙月ちゃんに、って話だったよね。」

「普通なら考えたくもねーんだけどなぁ。」

「それでそれで?」

「世界の眼の修復が終わった時点でこっちの勝ち……の筈なんだが。」

 

結局アーティファクトを全部何とかしない限りこっちの混乱は続く。

とは言え、アレが壊れたまま。

つまりは異世界が繋がったまま、というのも洒落にならん。

自己修復し続けてる筈なのでどれくらいの時間で直り切るかははっきりしないんだが。

 

「まあ、あるかどうかだけでも先生に聞けばいいだろ。」

「教えてくれるかなぁ……。」

「無くなってるかどうかだけだろ? 壊れた現場にいたわけだし、聞くくらいなら大丈夫だとは思うが。」

「そうかなぁ……。」

 

それと、夜くらいに神社に向かう理由はもう一つ。

時間、日にちは大分ズレてしまっているから、どうなるかは分からないが……。

 

「後は……あの時は希亜と動いてた時か。 夜に暴走したアーティファクトユーザーと出会ってる。」

「え。」

「何と言えば良いのかね。 」

 

これは、告げて良いのか。

それとも、と感じながら。

天の肩に手を当て、大丈夫だ、と言い聞かせながら。

 

()()()()()()()()タイプだった。」

「――――ッ。」

 

小さく震えるのを間違いなく感じた。

だから、落ち着かせた。

受け入れられる人間と受け入れられない人間。

こう言っちゃ何だが……後者は、出来れば。

関わらずにと、思ってしまうエゴもある。

 

「安心しろ。 お前はそうはならないしさせねーよ。」

 

扱う適正。

そんな意味だけで言うなら、俺は天の能力も完全に使用できる。

たとえ、それを使えば。

()()()()()()()()()()()()()()()()()になっても。

誰かが危険だと思うなら、そうしなければ助けられないなら。

俺は、多分使うだろう。 自分で、自分をそう思う。

 

「だが、今のこの街には暴走まで行かないにしろ所有者がかなりいる。」

「そう……だよね、フェスの参加者だけを見ても間違いないと思うし。」

「してなくても……かも知れねーが、そこは確証を持って言えないことだしな。」

「……うん。」

「だから、兆候だけでも掴んでおきたくてな。

 家で実験できない能力なら、人目が付かないところでやるんじゃねーかっていう予想もある。」

 

震えも段々治まってきて。

だから手を離して、頭を数回ぽんと叩いて。

マウスへ手を伸ばしてメモ帳を消し。

時計を見て……まだ十一時半を回ったくらいか。

 

「気分転換に何か見るか。 お前、何見たい?」

「……お兄、気を遣うの下手すぎない?」

「うっせ、沈んだ相手に何していいかなんか分かるかっての。」

「いい人ばっかりなんだし、捨てられないようにしなよ~?」

「お前そういうこと言っちゃう?」

 

立ち直りが早いのは、まあ利点……と信じたい。

落ち込んでれば、やっぱり戸惑うもんだし。

 

「うん、まあ私は絶対離れないけどね?」

「うわ貧乏大王みてえ……。」

「おうなんつった兄貴。」

 

ころころと変わる表情。

まあ、お前は笑ってろ。

結局本編二回見返しても周囲になんにも無さそうだったので行き先を生やそう。

  • 山:温泉
  • 海:水族館とか
  • ちょっと都会:遊園地
  • その他:民宿とか
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