9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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斜陽の時間。
日は、いつかは沈むものだから。


53.黄昏。

――――ありがとうございました。

 

「ご馳走様でした。」

「でしたー。」

 

そんな声を背中に受けながら、店を出る。

時折、都が店にいない時に見ていた店員さん。

まあ、都がクラスメイトだってことに気付いてなかった俺でも。

大体どんな人がいるか、くらいは目に止めていたと言うだけの話。

 

入れ替わりが多少あったけど、大体俺が見知っている人が4-5人位か。

常にいるわけではなく、やはりバイトのシフト次第っていうのはあるけれど。

それでも、都が店にいるときとそうでないときでは客の入り具合も違って見えた。

 

「で、この後どーするの?」

「軽く家具店でも見てこようとは思ってる。」

「家具?」

「お前等用の座布団とかの値段。」

「え、何。 買ってくれる気なの?」

 

何でそこで疑う目ができるんだお前。

 

「じゃあお前の分だけ無しでいい?」

「いいわけないでしょー!?」

 

なら初めから突っかかるなっつーの。

まあそれでも。

 

「そこまで良いやつ買えるわけじゃねえけどな。」

「ん~……。 頼る?」

「何を、誰に。」

「お父さん、言いくるめて。」

 

それはお前しか出来ねえわ。

首を小さく振ろうとして……いややっぱ駄目だ。

 

「まあ、自由になる金はそこそこあるからなんとかなるだろ多分。」

「え、意外。 貯めてるの?」

「生活費って言っても結構多めに入れてくれてるからな、おかん。」

 

電話越しでしか話さねえけど。

まあ直接会うと妙な感じになるから仕方ない……とは言え。

今度一度帰らないとなぁ。

 

「へ~……あれ、そう考えるとうちって金持ち?」

「そう思うんだったらもう少し父親に優しくしてやれ。」

「はーい。 まああんまり会う時間ないんだけどさ。」

「そりゃまたなんで。」

 

そういや俺も最近会った覚えがない。

というか、声を聞いた覚えがない。

 

「いや、私がこっちに泊まってるっていうのもあるんだけどね?」

「おう。」

「最近なんだか仕事が忙しくて、とか言ってた。」

「……そんな話聞いた覚えない……な、多分。」

 

こんな微細な変動も俺の影響なんだろうか。

もしそうなら父さんには素直に謝ろう。

まあ直接言うわけにも行かないから今祈るだけだが。

 

「もしタイミング合ったら優しくしてやれよ?」

「まあ、うん。 色々おねだりしてるし。」

「なんでこうなっちゃったかねえ……。」

 

あからさまに吐く溜息。

わざとしてる、というのに気付いているのかいないのか。

その態度はいつもと変わらず。

 

「娘の特権だし!」

「お前それ他所で言ったらぶん殴られるからな?」

「言うわけないじゃ~ん。」

 

てくてく。

とぼとぼ。

家具店へと向かう道のりは、駅前……というより、俺達の学校がある側を超えた反対側。

大きい施設だとか、ショッピングモールだとか。

商店街の敵、みたいな施設は大体駅前を中心に広がっている。

コロナ本社があるとは言え、余り騒がしくないのは功罪共に……と言った感じだろうか。

 

「あ、そうだ。」

 

そんな事を考えていたら、すっかり忘れていたことを思い出す。

さっき金払った時に気付けよ、俺。

 

「え、何?」

「一回銀行行かせてくれ。 金おろしてくる。」

「あ~……まあ4個も買うならそうなっちゃうよね。」

「悪いな、」

 

まあそこまで高級なのを買っても浮くだけだし。

値段を知ったら多分都が凍りついてしまう。

そう考えると……あれ、でも確か五千円も出したら……みたいな話をした気がする。

……迂闊に値段に関しては言及しないほうが良さそうだな。

 

「どうしたの? 急に下向いちゃって。」

「いや、値段に関して伝えないほうがいい相手いたなぁ……と思ってな。」

「あ~みゃーこ先輩?」

「そうそう。」

 

これで通じるのも仲間内だけだろうなぁ。

しかし都も今日は大変だろうに、今頃は準備でもしてるんだろうか。

 

「でも私が思うにさ。」

「ああ。」

「黙ってたほうが悲しむと思うよ?」

「うっ……。」

 

泣き顔、というか悲しむ顔をさせたくないのが本音。

でも迂闊に言えば……。

……ま、まあ喜んでくれるといい方向に考えておこう。

 

「あ~あ、泣かせちゃうんだにぇ~?」

「此奴、こういう時には調子に乗りやがって……!」

「乗れる時には乗るのが私です!」

「自慢できることか!」

 

わいわい、と歩いていれば目線の先に見えてきたのが銀行。

気付けばもうこの辺まで来てたか。

 

「じゃ、俺金降ろしてくる。」

「はーい、早くね?」

「おう。」

 

そんな感じで声を掛け、中にはいってカードを挿入。

口座の中の金額を見て、金額を指定。

別の口座には旅行と……後、ちょっと考えてるモノに使う金くらいは入ってる。

生活には影響を与えないのを再確認して、戻ってきたカードを財布に入れて。

待たせるのも悪い、と出たところで。

 

「あの、新海さん。」

「……え、その……ごめんなさい……誰?」

 

少し離れた、路地裏の入口あたりで。

同い年くらいの、少年に絡まれてる天を見た。

……此処最近で妙に見るようになった、騒動の種の気がして。

そちらに、足を向けた。

 

結局本編二回見返しても周囲になんにも無さそうだったので行き先を生やそう。

  • 山:温泉
  • 海:水族館とか
  • ちょっと都会:遊園地
  • その他:民宿とか
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