そんな実感だけを抱いて、叫んでいた。
自分でも、何を失ったのかも分かっていないのに。
走り回って、幾度も転んで。
周囲から怪訝な目で見つめられつつも、何かを探し続ける。
それは、日が沈んでも変わらずに。
それは、日が昇っても変わらずに。
幾度も、日を繰り返した。
※
そんな事を、繰り返し。
事情を知っている、先生が心配そうに見に来て。
上手く返せたかは分からない。
ただ、一秒でも遅れれば。
大事なものが砂粒のように流れて消えてしまう感覚だけはずっとあって。
取り繕おうと、学校に形だけ向かうことになっても。
親が、「
脳内にあったのは、焦りだけ。
何故なのか。
そんなことすら、理解できないと分かっていても。
だから、今日も。
学校が終わり、与一が話しかけてきても。
「悪い」とだけ告げて、学校を飛び出して。
※
ニア 本当に、良いのか?
※
――――誰だったか。
聞き覚えのあるような声が、脳裏に刺さったような気がしたけれど。
今は、気にしていられなかった。
今日も、何処か。
自分でも徒労に終わると分かっている筈なのに。
誰かもわからない、誰かを探し続けている。
顔も。
名前も。
声も。
その、何もかもが不透明で。
その、何もかもが不確かで。
走って、疲れて。
辿り着いたのは、いつしか日課にもなっていた神社への到着。
神頼み、なんて俺らしくもないのに。
そうすることが、なにかが変わる切っ掛けになんて。
なるわけがないと思っていても。
それ以外に、頼れるものが浮かばなかったから。
※
ニア
※
それが、舞い降りたのはいつだったか。
自分でも、分からなくなってしまっていたけれど。
ただ、何を失ってしまったのかだけははっきりした。
大事な、妹。
新海天。
何故、忘れてしまっていたのか。
その理由までも、思い出しながら。
けれど、同時にまた流れ始める砂粒のように。
彼女のことを忘れ去る実感を覚え続けながら。
天。
……天。
――――天。
たった一人で、消える事を選んだ馬鹿な妹。
こんな俺を、ずっと想い続けていたという妹。
消える間際に、と言い残した言葉。
俺が選んだ選択は、多分間違いだった。
ただ、謝って済む話でもない。
だったら、と声がした気がした。
どうしたいの、と問われた気がした。
それは、いつか聞いたような誰かの声で。
俺は――――。