9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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彼女に声を掛けた相手。
妙に気になるのは何故だろうか。

彼女が、幸せならそれで――――。


61.誘い、誘われ。

 

「ところで少し話戻していいか?」

「戻す……ですか?」

「ああ――――いや、ちょっとモヤモヤしてて。」

 

隣り合って、春の道を行く。

オフ会、という名の話し合いの会場までは駅前から歩いて十分ちょっと。

幾つか話を聞くには。うってつけだった。

 

「はぁ。」

「あー……その、何だ。 さっきもう一人に聞いたことに関してなんだが。」

「先程…………ひょ、ひょっとして。」

「多分思い当たってるそれ。」

 

自分で自分が謎。

当然春風は(外見上)美人だし、今までの行動からして周りに男を引き寄せるようなこともしていた。

それに今の俺のしていることは明らかに不義理で、それなのに。

()()()()()()()()()()

 

見放されて当然なのに。

寧ろ、俺の周りから離れていかれても仕方がないのに。

……自分勝手だ。

 

「そ、その……本当に、大した事ではないんです、よ?」

「ほうほう、つまり?」

「え、ええっと……す、少し恥ずかしいんですが~!?」

「いや、言いたくないならいいが。 俺もその、言える立場じゃないし。」

「か、考えを纏める時間を下さい!」

「待ってたら先にファミレス到着するぞ……?」

 

意外と遠いが、意外と近い。

そんな中途半端な店。

幾つかあるファミレスの中で、其処を選んだ理由はわからないが。

記憶が正しければ、人数は少ない店だったように思える。

まあ、利用したことはないんだが。

 

「え、ええっとですね……!」

「お、おう。」

「駅前で、電話を見ながら待っていたときです。」

「……どれだけ早く着いてたんだ?」

「ほんの十五分ほどですよ?」

 

いや、俺も待ち合わせ時間の五分前には着いたけど。

十五分……いや、長いのか分からん。

電車は普通に後一本遅らせても間に合う筈なんだが。

 

「大学生くらい……でしょうか。 カラオケに行かないか、と。」

「……大学生に見られた、ってことかね?」

「どうでしょうか。 かなりしつこかったもので。」

「あー……悪い、俺が待たせたからだよな。」

「違います! 私が早く着きすぎたからです!」

 

堂々巡り。

責任を自分に押し付けようとする俺と春風。

何故これで言い合えるのかは、よく分からんが。

 

「……お互い様、ということにしよう。」

「ですが……。」

「俺にだって……その。」

 

少しだけ言うのを迷ったけれど。

 

「張りたい見栄くらいあるんだっつーの。」

 

誰のせい、となって。

女の子のせい、とは決して言いたくなかった。

多分、それだけだ。 それだけ。

 

「……ふふ。」

「なんだよ。」

「変わらないな、と。 ……その方が、私は嬉しいですよ。 ()()()。」

 

王子様、と呼称して。

良くわからない恋情を告げる女王様。

翔さん、と呼称して。

色々と残念なところもある、一つ上の先輩。

 

でも、何方も香坂春風(かのじょ)を表す表と裏。

否定は出来ないし。

出来れば、否定はしたくない。

逃げ続けるのだけでなく。

立ち向かうための仮面としての、人格(ペルソナ)なのだとすれば――――だが。

 

「……そうかよ。」

「はい。 それで、その。」

 

今度は一体何だ?

そんな意味合いを込めた視線を向ければ。

 

「手、を。」

「……いや、まあ良いけど。」

 

気恥ずかしさと、ほんの少しの嬉しさと。

そんな感情を綯い交ぜにする事になって、手を伸ばして自分に蓋をした。

 

「こうするのも……なんだか、久しぶりですから。」

「確かに。 いつぶりだ?」

「助けられる()を考えると……ちょっと、思い出せませんね。」

 

時間軸を考えても。

体感日数だけを考えても、何かがおかしくなってしまう。

いつからか、というのを数えるのも難しいので。

細かく考えるのをやめて。

 

「行くか。」

「はい。」

 

左手と右手。

片腕ずつを預けて、また一歩と。

足を進めた。

ファミレスまでは、まだ遠く。

 

「……何時の約束だったっけ?」

「ええと……十時ですね。」

「まあ、余裕で到着できそうではあるか。」

 

スマホで時間を確認すれば、今九時四十分。

多少の遅れを見込んだ待ち合わせだったから、ファミレスで待つ可能性も当然にある。

あるの、だが。

 

「なあ春風。」

「はい?」

「高峰、どうしてると思う?」

 

一応クラスメイト同士。

ネット上でしか繋がりがなかったけれど、アーティファクトを介して妙な縁ができた相手。

……友達無しの中二病と、不思議ちゃん。

まあ仲良くなれる理由は揃っている……気もする。

 

「……私と同じじゃないでしょうか。」

「だよな、俺もそう思う。」

 

で、多分少し早めに着いて絶対ドヤ顔しながら迎え入れると思う。

何だったか……”司令官”だっけ?

そんな役割(ロール)をしながら。

 

「与一繋がりで会えなかったからな……。」

「……そういえば。 昨日、見かけたとか九條さんが言っていましたが。」

「あの発言な……もし当人でも、間違いでも。 警戒せざるを得ないから難しい。」

 

高峰の幼馴染。

それを考えれば……。

 

「なにか聞ければいいけどな。」

「そう、ですね。」

 

曲がり角を曲がれば。

目的地の、看板が見えてきた。

4/25のヒロイン誰が良いよ? 一位が25,二位が26です

  • 九條 都
  • 新海 天
  • 香坂 春風
  • 結城 希亜
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