9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

83 / 114
誰の味方で誰の敵。
そう言い切れるのは、きっと物語だからこそ。


63.立場。

 

二人で並んで席へと戻れば。

入れ替わるようにして、高峰がドリンクバーへと立ち上がる。

飲み物が無くなったのだから当然のこと。

けれど、その行動が此方との齟齬を産み出していて。

 

(……元々、少し苦手な相手ではあったが。)

 

その背中を見ながら、手に力を込めて握り締める。

目の前に、情報があるのに届かない。

()()()()味わったような――――妙な、感覚。

 

「何か、前よりも……。」

 

気付けば、口から漏れていた言葉。

心配そうに向けられる視線にも反応出来ず。

ジリジリとした時間を過ごし。

 

「やあ、悪いね。 私も君達と一緒に向かえば良かったかな?」

「どうでしょうね?」

「ふん。 まあ、相談は出来たようで何よりだが。」

 

多分何かと何かが混じったような奇怪な色をした飲み物を一口。

 

「私達としては、君達に然程用があるわけでもないのだよ。 まあ、今回はオフ会だがね。」

「用が……?」

「もう少し言い換えよう。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

そちらから来るのなら迎え撃つまでだがね、と。

目の前の、正体が理解できているとは言い難いアーティファクトユーザーは。

口元だけを歪めた、独特の笑みを浮かべた。

 

「……関わるつもりがない、ですか?」

「信じられないかね?」

「いえ、その是非は今は。 ……何故、ですか?」

 

ふむ、と顎に手を当てて。

至極当然のように。

 

「これは与一の受け売りだがね。 君達……特に、翔。」

「……俺?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、だそうだ。」

「不安要素…………?」

 

一体何を、と。

身を乗り出して問い掛けようとして、裾を掴んだ春風の存在に頭を冷やす。

 

「おや。 別に私は構わないのだがね。」

「お戯れを。 ……分かっていて、煽りましたね?」

「ヒーローがどの程度なのか、この目で見ておきたかったのでね。」

 

失礼、と言いながら頭を下げるが。

その顔色は、面白いものを見た時の笑みそのもの。

それを見て――――大きく溜息を吐いて。

遊ばれていたのか、と朧気ながらに理解する。

 

「反応を見たかった、と?」

「事実を告げたつもりでもいるのだがね。 我がリグ・ヴェーダの副リーダーの言葉なのだから。」

「……そうかよ。」

「ああ、そうだ。」

 

口調、声色、反応の仕方。

それら全てで演技を交えた喜色を浮かべ。

けれど、その言葉は嘘を付いているような様子は欠片もなく。

だからこそ、与一が言ったというその言葉は事実なのだと実感させられる。

 

「……では、翔さんが貴方に遊ばれたというのなら。」

「む?」

「私からも、反撃しても宜しいですか?」

「ほう。 香坂……いや、失礼。 エデンの女王に護られた騎士という訳だ。」

 

ええ、と浮かべた笑みの裏は。

多分、混乱と怯えがあるだろうに。

初めてイーリスを撃退した、あの時のように。

彼女は、静かに立ち向かっている。

あの時の光景を。

俺は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「女王が騎士を護ってなにか問題でも?」

「いいや、無いさ。 それで?」

「そうですね……まずは。」

 

その光景を、幻視してしまう。

 

「貴方方の目的は、なんですか?」

「黙秘させてもらう……と言ったら?」

「……そうですわね。 目的不明のまま、止めようとし続けるでしょうね。」

「それはそれは。 厄介極まりない……が、まあ。 当面の目的程度が限界かな。」

「それでも構いませんよ。 本当の目的は、調べるうちに分かるものでしょう?」

 

ほぼ同時に笑う二人。

少しだけ、空気が置換したと言うか。

こういう、演技を交えた会話を楽しんでいる……のか?

希亜ならまだ分かるんだが。

何方かと言えば遊ぶ方、見る方専門だったはずの春風の。

少しだけ違う側面を見ている気がする。

 

()()()()だよ。 簡単な話だろう?」

「そのモノにも依りますけれど、ね。」

「かも知れないがね。 既に君達には迷惑を掛けているようだし。」

「迷惑…………いえ、まさか。」

「おっと、口が滑った。 聞かなかったことにして貰えると有り難いね。」

 

絶対に意図的だと。

それを分かっていて、告げた理由。

 

「……つまり、後始末を押し付けたいと?」

「何のことだか分からないが……目的が叶うまでは、続けざるを得まい?」

 

ただ、その目的に関しては今は言うつもりはないと。

……今の言葉で、確定した。

つまり、暴走したユーザー……どうやっているかは分からないが。

何らかの手段で、彼等に関わっているのは高峰たちだ。

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「さ、まだ話はあるのかな? 私としても、こういう機会だ。 中立で話し合える時に話しておきたいからね。」

 

その笑みは、更に深く。




切りどころに悩んで此処まで~。
味方が強化されてる? 敵もするよね。

4/25のヒロイン誰が良いよ? 一位が25,二位が26です

  • 九條 都
  • 新海 天
  • 香坂 春風
  • 結城 希亜
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。