9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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狙わないよ。
僕達は、ね。


65.一人。

 

「生き残ってたのか……。」

 

つい、そんな言葉が漏れた。

目の前にあるのは、俺が昔作ったプラモデルの一体。

 

つまり、今は俺の家。

おかんも親父も今日は外に出かけているらしい。

休出じゃなくて喜ぶべきなのか、どうなのか。

 

昼飯後、ナインボールまで春風を送っていった後。

いるか分からなかったから、一応親にメールしたところ。

天がいないこの間を見計らって、両親二人でお出かけ……というか、デートと言うか。

鍵は持っているんだし、荷物移動ってことだけ伝えたら好きにしろとのこと。

 

使ってない布団やらを適当に貰ってきたダンボールに詰めて、発送準備をしていれば。

ふと気になった元俺の部屋の荷物。

……どっかの枝だとミニマリストに目覚めたとかで容赦なく廃棄した、とか聞いて不安が過ぎったが。

恐る恐る確認すれば、まだ生き残りがいた。

そんな、現状。

 

(とは言っても、持っていけるの一個くらいだよなぁ……。)

 

徐々に徐々に侵食されてる俺の部屋を思う。

希亜が引っ越してくれば流石に女性物は移動してもらえるように頼めるとは思うけれど。

……天辺りは絶対拒否するだろうし、それ以外でも細々としたものは結局俺の部屋だろうし。

少しは空いてもまたすぐに埋まるのは明白と言えば明白。

仕方なく、飾っておけそうな一体を選んで荷物に詰め込んだ。

 

(んで……。)

 

LINGのグループを覗き込めば、引っ越し作業も一段落したのか。

俺に見せびらかすように何枚かの写真が貼られていたりする。

例えば、全員で食べてるケーキの写真だとか。

例えば、天が勝手に撮ったのであろう何らかの写真だとか。

…………後でもう少し強く言っておいたほうが良いよな、これ。

希亜が暴走したような書き込みしてるし。

 

『……うちの愚妹がすまん。』

 

そんな風に書き込めば、少しして帰ってくる返事。

 

『翔は悪くないから! でも見なかったことにして!』

『え~、別に良くないです~?』

『お前其処までにしとけよ……?』

 

希亜の部屋の中を初めて見た、というのはまあ良い。

大体予想してた通り、こざっぱりし過ぎてる程に学校のものばかり。

小さくてちゃんと見えるわけではないが、隅にゲーム機が積んであって。

多分押入れの中……普段私服としてみているフリルっぽい服とか、その、布とか。

後は漫画が多少。

……いや、小説サイズっぽいか。

 

『別に今更見たからと言って何にも思わんと言うか、初めて見たなぁ……ってだけなんだが。』

『自分で見せるのと見られるのとじゃ違うの。』

『……翔くん? 女の子だから、恥ずかしいことだってあるんだよ?』

『……そうか。』

 

見なかったことにしておこう。

どうせ見ることにはなるのだけど。

リビングにある、以前は俺の固定席だった椅子に座り込み。

宅配便を呼んで、やってくるまでの少しの時間を待ち侘びる。

 

『それで、そっちの準備はどうなんだ?』

『……今日中に終わるのは間違いない。』

『そうか、何とかなったなら良かったんだが……。』

『引っ越し、というか部屋自体はもう借りてあるって。 時間見つけてでいいから色々手伝ってね。』

『了解。 で、引っ越しの日は?』

『来週の土曜日。』

 

ということは……30日、ゴールデンウィーク手前か。

男が手伝える範囲でいいなら無論手伝うつもりだが。

 

『あ、そうだ!』

『?』

 

そんな折。

何かを思い出すと言うか、発表するような都の発言。

少し時間が経ってから、1枚の写真がアップされた。

向こうは現場で見てるはずだからか、もう知ってるからか。

大きな反応は見られずに。

 

『……温泉の割引券?』

『少しだけ時期が違うし、余り有名な場所じゃないんだけど……うちの会社の、保養所みたいにしてる場所があってね。』

『それ以上は良い、大体わかった。 ……いや、大丈夫なのか?』

『…………不人気だから。』

 

ああ、そうだよな。

その地名には見覚えがあった。

確か俺達の最寄りの路線の終点付近の、山しかないあたり。

そんな場所に温泉があったとしても、近いし保養所があっても利用しないよなぁ……。

地元を盛り上げようとしてるのは素直に尊敬できるんだが。

 

『ゴールデンウィーク、時間があるようだったら皆でここにしない?』

『……俺だけ男だけど良いのか?』

『高峰先輩とかも、とは思ってたんだけど……。』

 

その書き込み速度に若干の鈍り。

ということは、春風から話の内容を聞いたということだろうか。

そう聞けば、大体の部分は読んだし当人からも聞いたと。

……危機感の共有自体は問題なく出来たらしい。

 

『俺も用事終わったらそっち行く。 希亜、住所張っておいてくれるか。』

『大体は知ってるだろうけどちゃんとした場所は知らないものね、分かったわ。』

 

同じような記憶を継承してる以上、打てば響く会話が出来るのは助かる。

続けて、文章を打とうとすればチャイム音が聞こえた。

 

『っと、じゃあ俺も今から駅向かう。 また後でな。』

 

そんな文章を打って、玄関口に出て。

宅配便の人に荷物と代金を支払って――――。

 

外に出て、駅に向かって数分。

 

「――――。」

 

目の前に立っていたのは。

昨日の、天の同級生だという。

走って逃げ出した相手が立っていた。

俺がいるのを、知っていたかのように。

4/25のヒロイン誰が良いよ? 一位が25,二位が26です

  • 九條 都
  • 新海 天
  • 香坂 春風
  • 結城 希亜
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