上書きされた、本来の記憶。
「――――え?」
俺から漏れた声は、そんな情けないもの。
何故こんな場所に?
何故俺の家に?
それは、致命的な時間の消耗。
「…………。」
目が、昨日よりも淀んでいた。
その後ろ手に、鈍く光るものを認めて。
次の瞬間。
前傾姿勢に成りながら、
目の前の少年が、姿を消して。
背中に、唐突な気配と。
虫の知らせとでも言うか、自分の危機感が全力で逃げることを知らせて――――。
※
ニア 記憶をインストールする。
※
「――――ッッツ!?」
無理矢理に、身体を真横に飛ばせる。
脳裏に落ちてくる他の枝の記憶。
後ろを向いたら、腹部を刺されて。
俺は悪くない。
お前が悪いんだ、と。
ただ只管に誰かに責任を押し付けながら。
つまり、俺は一度死んだ――――それを、「相棒」が無かったことにしてくれた。
もう何度目になるかわからない、感謝を脳裏に浮かべながら。
飛び跳ねた眼の前を、銀色の閃光が走り抜ける。
「――――ん、な……!?」
視線の端に映るのは、驚愕と言えば良いのか。
或いは確実に潰せる、と確信していた行動を覆された驚き。
その中でも、目だけが明らかに狂っている。
それ自体が、自分に。
相手にどんな影響を与えるのか理解していないような。
ぎしり、と歯を食いしばった。
ああ、確かにお前等は動かないよな。
唯――――間接的に影響を与えて、それを多量にバラ撒いた尻拭いをさせると彼奴は示唆した。
我々は悪で。
君達は正義なんだろう、と。
……その時に、俺の心に浮かんだ感情は。
恐らく、怒りそのもの。
「――――レナァ!」
今の体勢では、下手に動けば再度襲われる。
だから、今の俺が取れる一手。
幻体の、もう一人の相棒にも似た分身。
「おおよッ!」
「!?」
目の前に唐突に飛んできた少女に、危険を感じたのか。
大きく振り被った腕が、既に突き出していた刃物よりも先に当たるのを直感的に認識していたのか。
目の前から消え、後方に再度現れる少年。
その額に見えるのは、紛れもなく冷や汗か。
「……で、どうなってんだよ大将。」
「俺が何だって理解できてると思うなよ……大体は分かってんだろ。」
「あァ、まあな……。 あの動き方、
与一が、イーリスが使用していたアーティファクト。
俺達が殺し、けれど奪われたアーティファクト。
こんな昼間に、こんな住宅街の裏路地で。
刃物を振り回す奴に遭遇するなんて、想像もしていなかった。
或いは――――駅前から、ずっと付けられていたのかもしれない。
昨日出会った場所も、駅付近で。
それからずっと待っていた、という可能性は否定しようがないのだから。
「だったら、対処法も分かってるよな?」
「自由にしていいっつーんだったら、オレ一人でも何とでもなるぜ?」
「……取り押さえる、じゃ止まらねえか? アレは。」
「甘ったれてんなよ。 分かってていってんだろ?」
……あの目、あの動き。
アーティファクトを駆使することを除いて言えば。
イーリスが暴走させた、あの時の群衆とほぼ同じ。
つまりは――――止まらない、止めようがない。
「大将が嫌なら俺がやるが……つーか、オレは別に怪我らしい怪我しねーんだから任せとけよ。」
「…………後ろで、援護でいいか?」
「あぁ。 ……転移の能力、借りるぞ。」
周囲を見ても、奇妙なほどに人がおらず。
下手に俺が動けば、それこそ少年は追い掛け続けてくると確信していた。
だから、ここで止めるしかないと思った。
誰かを、殺せるのか?
いつだったか、自分に問い掛けたその疑問が蘇る。
けれど、そんなことはもう。
他の誰かに、危害を及ぼすのなら。
操っているわけではない、
アーティファクトユーザーである以上、暴走まで行き着くにはそう時間を必要としないだろう。
精神面でのストッパーが存在しないのだから。
片手で、後ろ手で。
無理を言っていると理解しながら。
都に緊急の連絡を飛ばし。
「出来る限り殺すなよ、アーティファクトだけはソフィに頼めば何とかなる。」
「わぁってるよ!」
「!」
ほぼ同時に
自身の目の前に火炎を放ち。
恐らくは俺しか見ていないのだろう、少年が出現した瞬間に飛び退る。
一瞬でいい。 視界を潰せれば。
そうすれば――――。
「オレの事忘れてんじゃねえぞッ!」
直接契約しているわけではないが、俺を介している以上。
実質的にアーティファクトを保持しているのと変わらない。
ゲームなんかの、格闘知識を実現できる
背後から、少年に襲いかかった。
それから。
目を逸らすことは……俺には、出来ずに。
一回目の、枝分かれ。
4/25のヒロイン誰が良いよ? 一位が25,二位が26です
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九條 都
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新海 天
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香坂 春風
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結城 希亜