9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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それが正しいものでも。
間違ったものでも。
その行為にこそ、意味があると。


67.決意。

 

それから10分少々。

少年を取り押さえようとする俺達と、暴れ続ける少年の戦いは続いていた。

焼こうとしても、レナが腹部を狙っても。

途中で刃物は落とせたものの、暴れる素振りは収まるどころか酷くなる一方で。

結局、俺が取り押さえている間にレナが首筋に一撃。

下手をすれば首の骨にまで影響する可能性がある攻撃で昏倒させ。

道の端に避けて運び、その場所を監視できる程度の距離で暫く。

 

「お待たせ。」

「……随分待たされたよ。」

「私だって常に見てられればよかったけどね。 其処まで動けるほど器用じゃないのよ。」

 

先に姿を表したのはソフィ。

あれだけ呼んでいたのに、結局現れたのは暫く後。

文句、皮肉の一つも言葉に出せば。

帰ってきた言葉は、普段聞かないような返しの声。

 

「……正直に聞くぞ。 何かあったのか?」

「……ま、()()付き合いだものね。 カケルなら気付くのも当然かしら。」

「相変わらずその姿での溜息って違和感バリバリだな……それで?」

「まあ、細かい事は置いとくわよ。 かなり面倒になったわ。」

 

そんな前置きを置いて、ソフィが漏らした言葉。

それは、気絶した少年を見張っていたレナも目を細める内容で。

俺自身も、何だそれは――――と思わざるを得ないこと。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「隠すんじゃなくて、か!?」

「ええ。 何と言えば良いのかしらね……そう、()()()()使われてるような感じが近い。」

「彼奴等……いや、多分与一だな。」

 

普通に考えれば、アーティファクトは秘匿する。

だからこそ漏れる反応からその当人が特定できるわけだが。

逆に、街中に溢れるのなら。

木を隠すなら森の中。 文字通り、その通りのことが起きる。

 

「飽く迄、私の推測なのだけど。」

「ああ。」

「イーリスが滅んでいたとしても――――()()()()()()()()を、ヨイチは握っていると見ていいわ。」

「何らか?」

「流石に、同じ千年を生きてきたわけじゃないから。 多分に推測が混じってるのよ、これでも。」

 

例えば、ソフィの枝で作られるアンブロシア。

改良することも不可能ではなく、現代人にも合うように出来る物体。

それが、イーリスの枝でも未だに残っているのか。

春風の枝()の時、俺達が受け取ったのはアンブロシアに見せかけた毒薬。

見た目が同じである以上、注入したりする物質が残っているのは間違いないとしても。

『魔女』として君臨し続けていた以上、そんな人体に影響のない発展の仕方をするものだろうか。

文字通り、発展は()()()()()()()()のだから。

 

「つまりは……。」

「私が出来るのは遠距離から、或いは姿を見せない監視くらいね。」

「反応だらけでセンサーが死んでる、か……。」

「というより、良いの? 隠して使うユーザーがどれだけ減るか分からないけれど。」

「俺達のアーティファクトじゃ動きようがないだろ。 ……いや、一応オーバーロードを使えば止められなくもないだろうが。」

 

仮にそうだとしても、どのタイミングに何処にいるのかが分からなければ何の意味もない。

事前に仕掛けておいて起爆出来るのなら、やはりそれでも意味がない。

つまり、結局。

一度後手に回ってしまえば、常に後手に回らされるように動かされている。

 

「オレからすりゃ、彼奴等は強いユーザーっていうより上手いユーザー、って感じだがな。」

 

電柱の影に少年を安置し、レナが此方に近付いてくる。

 

「……彼奴は?」

「完全に落ちてる。 都か大将が奪うなり、殺すなり好きにしろって感じだな。」

「カケル。 早ければ早いほど良いわ――――貴方が、対処しなさい。」

「…………ああ。」

 

少しだけ、都が来ることを祈ってしまった。

どうしても、メルクリウスの指を使う事を躊躇ってしまう。

アーティファクトと契約することになった、あの部屋の一幕を引きずり続けているから。

 

それはともかく、と。

レナは話を続ける。

 

「確かに大将が使えるオーバーロードは最強のアーティファクトだろうさ。 無限にやり直しを行使出来る。」

「心が折れなければ……な。」

「あの四人がいる限り折れねえよ、オレもいるしな。 ……話を戻すぞ。」

 

柄でもねえことを言った、と顔を背けて。

 

「だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「いや……事実、俺も何度もやり直してる。」

「さっきだって危なかっただろうしな。」

 

つまり、レナが言いたいのはこういうことだ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

結果的に勝った、勝てたという未来以外を潰したからこそ。

今の俺が残っている――――その通り。

 

()()()()()()()()()()()()()()()。 今の状況はそういうことだろ。」

「彼等は一切手を出さない。 結果的に対処させるだけで。」

「彼奴等は俺にこれ以後近付かない、だからこそ対処する手段が取れない……か。」

 

――――いや、一つだけ可能性は残っている。

あの公園での騒動で、与一を捕らえられれば。

ただ……仮にそうしたとして。

変えられるかは、完全にわからない。

 

「……ま、私は引き続き二人を追うわ。」

 

ソフィが呟いた一言で、その妙な雰囲気は霧散して。

無言で指し示したレナに、無言で頷いて。

重い、重い。

足を踏み出して。

 

あの時の、精神外傷(トラウマ)を抉り出しながら。

手を、向けて。

 

自分の手に、違和感が発生した時。

ふらり、と身体が揺れて。

頭を抱えて。

胃の中の全てを吐き出す感覚を、久々に憶えた。




砂糖……どこ……?

4/25のヒロイン誰が良いよ? 一位が25,二位が26です

  • 九條 都
  • 新海 天
  • 香坂 春風
  • 結城 希亜
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