9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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伝え、理解し。
共有して、誓い合う。


69.伝達。

 

電車の中では互いに無言で。

けれど、スマホに目を落とすこともなく。

互いの距離感を少し詰め。

彼女と二人で乗るのなんて、初めての。

電車の中での時間を、どう過ごしていいか悩んでいた。

 

白巳津川市までは、それほど時間がかかるような距離でもないから。

とは言え。起こったことを飲み込んでもらうにもまた、時間が掛かる。

この短い時間で、都なりに理解して貰えれば……と思っていた矢先。

ブルル、と消音にしていたスマホが震える。

顔を上げれば、視界の隅で同じようにスマホを持っている都の姿。

であるなら……恐らくはLINGでの連絡だろうか。

ロックを解除し、内容に目を通してみれば。

 

『二人共大丈夫?』

『此方は……少し厄介なことになるかもしれません。』

『私の方はもう大丈夫。 ただ、今日から向かうことになっちゃったけど。』

 

送り主を示すアイコンは天。

それに続いて春風、希亜と発言が続いていく。

……どういうことだ?

隣にいる都に小声で尋ねても、分からないと小さく首を振った。

 

『何かあったのか?』

『私達は……翔くんが少し、体調悪くしたくらい。』

『え、にぃに何かあったの!?』

『後で会った時に説明する。 あぁ……後、お前今日は帰るな。』

『え、そりゃ良いけど……何があったの?』

 

もう一度、直接会った時にと書き込めば其処で押し黙った。

今日得た、今日感じた情報は学校が始まる前に共有しておきたい。

LINGで連絡すれば済む話では有るが……文章として書き込んで、余計な不安を憶えさせたくなかった。

 

『それで、一体何があったんだ?』

『あ、それそれ。 香坂先輩、お願いしまーっす!』

『は、はぁ。』

『……春風、無理しないでもいいよ?』

『天……お前がなんか言ったから滅茶苦茶混乱してないか?』

 

一気に流れるLINGのログ。

追いかけるのに苦労しつつも、時系列を理解していく。

 

都が俺に呼ばれ、立ち去ってから十数分。

時間から考えると、恐らくソフィが現れるかもう少し前くらいか。

希亜の家で準備を続けていた彼女達の、窓越しに見える遠目の家。

その家が、()()()()()()()()のだという。

当然、周囲の家からも救助の声やらが飛び交い始めたが。

その誰しもが、明らかな違和感に気付いて消防車と救急車を待つだけになったのだという。

 

その違和感。

以前、学校で起こった騒動と同じだと気付いたのは。

他の誰でもない、巻き込まれた天当人。

 

『なんて言えば良いのかなぁ。 この枝では起きてないんだけど、見覚えがある感じ。』

 

つまりは、()()()()()()()()

今は俺が契約している、炎のアーティファクト。

同一のものが出回っていない、というわけでもない以上可能性はあったが……。

ソフィの世界からなのか、イーリスの世界からなのかははっきりしない。

恐らくは俺のものはソフィの世界からで間違いないと思うんだが。

 

『……やっぱりお前が言うべきだったじゃねーか、初めから。』

『でもさ、私は中から見てただけだから。』

『外からだと……私と翔くん、それと……希亜ちゃんも、かな?』

『そうね。 あの時は私が来れる状況だったし。』

 

放課後だった、という状況も相まって。

学校で起こった騒動に希亜が関わり、だからこそあの時はイーリスによる暴走の誘発を止められた。

リグ・ヴェーダ関係を除くと……一番関わってないのが春風になるのだろうか。

やっぱりそう考えると春風に説明させるの酷じゃねえか天よ。

 

『結局その家はどうなった?』

『消防車が来て……十分くらいしてでしたっけ?』

『そうね。 それくらいで自然に鎮火。』

『其処から先はちゃんと見ていたわけじゃないんですが……。』

『その家に学生は?』

『……どうだったかな、ちょっと分からない。』

 

暴走した結果の自爆ならまだ良い。

いや、良くはないが別の結果よりは遥かにマシだ。

つまり、学生も何もいない場合。

()()()()()()()()()()()()()()()()()

自然鎮火、つまりは発動者当人が焼けた末の結果ならば飲み込める。

多かれ少なかれ、俺達はそういった暴走の危険を超えてこうして今にいるのだから。

そうでなければ……。

 

『何にしろ、不味いことだけは伝わった。』

『それで……何ていうのかな、予定を早めて引っ越ししろって言われちゃって。』

『もう借りてあるから、か。』

『最低限の荷物と布団関係はこれから運んでもらうんだけどね。』

『なら、天と春風は?』

『邪魔になるだろうし、徒歩で移動予定。 お兄ちゃん、家行ってもいいでしょ?』

『まあ……元々何処かしらで会う予定だったもんな。 好きにしろ。』

 

そこまで打ち終わった段階で、次の駅が最寄り駅だと知らせるアナウンスが響いて。

スマホを閉じて、立ち上がろうとして。

電車の窓越しに。

いつか、希亜の枝で起こった騒動の時の一人の顔を認めて。

目を逸らしてしまい。

同時に立ち上がっていた、都の首を傾げる姿に。

自分の滑稽さを感じた気がした。

4/25のヒロイン誰が良いよ? 一位が25,二位が26です

  • 九條 都
  • 新海 天
  • 香坂 春風
  • 結城 希亜
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