9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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手を取るルート。


天BADENDアフター(下)『伊邪那岐命、伊邪那美命』

 

結局、俺はその手を取った。

他に頼れるものも見えず。

方向を指し示していたソフィもまた姿を消し。

そんな中で、残ったモノが。

唯一の指針だったからだ。

 

例え、それが悪魔との契約だったとしても。

 

※

 

『彼女』(と、そう呼んだ。 声色からして女性っぽかったし、判断基準がそれしか無かったから)が示したのは。

一つの特殊な儀式のような、既に天と交わした行為によって得た。

俺自身が気付いていない、契約効果そのものだった。

 

何故、それを教えるのか。

気紛れ、と彼女は面(・)白(・)そ(・)う(・)に呟いた。

 

それを教えればどうなるのか。

その先にどんな末路が待っているのか。

それが知りたい、見たいだけなのだから、と。

 

その笑い声は何処か冷たさを感じていたけれど。

俺は、漸く得た手掛かりにだけ気を取られていて。

それより先のことを、考えなかった。

他の、大事な人たちのことを考えなかった。

 

「実験」したのは、自分の部屋で。

存在感の減少。

暴走させたことで、天は自分の存在が薄れ続けていて。

俺毎消えることを望まず、たった一人で消えていった。

 

そ(・)れ(・)を(・)、(・)俺(・)が(・)望(・)ま(・)な(・)い(・)こ(・)と(・)を(・)分(・)か(・)っ(・)て(・)い(・)て(・)。(・)

 

だから、俺は。

脳裏に浮かんだ、幾人かの少女や。

親や、先生や。 大事な友人達を脳裏に描いて。

ごめんな、と。

悪い、許して欲しいなんて言える訳もないけれど。

そう、呟いて。

 

自(・)分(・)の(・)存(・)在(・)を(・)、(・)可(・)能(・)な(・)限(・)り(・)消(・)そ(・)う(・)と(・)し(・)た(・)。(・)

 

存在が消え、世界から否定されて。

同じ所まで落ちれば、或いは。

同一のアーティファクトから齎される結果は、同じなのだから、と。

他の全てを捨てる覚悟はあるの?と。

その嘲い声(わらいごえ)は、問い掛けていたけれど。

 

そんなものに突き動かされなかったとしても。

或いは、いつかは。

こうしていたようにも思える。

 

俺の部屋の、ベッドの上。

少しずつ、見覚えのある姿が見えてきた。

体育座りで、何処か虚ろな目を浮かべた。

何処かに動けばいいのに。

それすらもせずに、嘗ての思い出に浸ったまま動かない少女の姿。

微かに聞こえる吐息も。

手入れすることを忘れてしまったのだろう、ボサボサになった髪も。

そのどれもが、懐かしくて。

そのどれもが、愛おしくて。

 

彼女に、なんて言葉を掛けたのだろうか。

そんな言葉も。

帰ってきた、返答も。

も(・)う(・)、(・)誰(・)に(・)も(・)届(・)か(・)な(・)い(・)。(・)

 

 

※

 

とあるマンションには、都市伝説があるという。

誰も認識できない部屋の中に、男女の霊がいるという。

妙に広いマンションの廊下は、生きたまま塗り込められたからだとか。

誰かが消えてしまった二人を探しているだとか。

学生ならではの噂が、未だに続く世界の狭間。

 

ぱたり、と。

本を閉じるように。

一つの枝が、閉ざされた。

 

※

 

 

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