夕闇の中を、手を繋げるような距離で歩く。
商店街の中、何度か付き合ったことのある店から声がする。
そんな中の一つの惣菜屋に立ち寄って、買い物をする姿を少しだけ離れて見ていた。
(……やっぱり、お兄ちゃんは凄いよ。)
そんな想いを抱きながら。
がさり、と音を鳴らすビニール袋を抱えて戻ってくるのを認めて。
「で、何にしたの?」
「人に出させといてその質問が最初に来るのか……。」
「え、だって最終的にはおとんとおかんじゃん。」
「そういうことでもなくてだな……。」
そんな、いつもどおりの会話に見せかけて。
私は一人。
ううん。
今日の話で、今日起こったことで。
表には出していない部分で、恐怖を感じてると思うから。
「それで~?」
「ウザいなこの妹……。」
「あの、せめて聞こえない場所で言って貰えます? 傷付くんですけど?」
「聞こえるように言ってるからな。」
話す内容は、出来る限り普段通りに。
でも多分。
一人でいたら、震えが止まらなくなっちゃうとは思う。
それでも、みゃーこ先輩と。
香坂先輩(春風でいい、と当人は言ってたけど。 なんかまだ慣れなくて。)は、用事を優先した。
私も、多分両親がいたら帰らされたんだろうか。
……酷いけれど。
いなくて、少しだけ安心してしまった。
何も知らない二人じゃなくて。
出来事を共有できる、誰かと一緒にいたかったから。
「ま、揚げ物だよ。 出来合いの物ってのもたまにはな。」
「最近贅沢憶えてない?」
「贅沢ってなんだよ贅沢って。」
「いやいやそうでしょ、今まで食べてたもの思い出してみれば?」
指折り数えながら。
軽口を叩きながら。
普段と変わらない、というのを自分に言い聞かせる。
昨日から、一歩だけ進んだ関係を踏まえて。
それ以上はに進もうとするのは……私には、出来なくて。
贅沢言ってるなぁ、と思いながらも。
空いたお兄ちゃんの腕を、絡め取るように近付いていく。
「ほらやっぱり、自分じゃ何にも作ってないじゃん。」
「それをお前に言われるのはすげー納得いかないんだが……。」
「だって私実家暮らしですしぃー!」
「あのな。 俺がこういう生活し始めた切っ掛けは忘れてねえからな?」
「え~。 忘れてくれていいよ?」
「忘れられるかよ。」
傍から見て、どう見られているだろうか。
仲がいい兄妹、という範囲で収まっているだろうか。
昨日、私を問い詰めてきた彼は。
今日、お兄ちゃんを
それに対して、私は何かを言えるような権利を持たない。
そもそも、私が逃げ出したから。
あの日、多分逃げ出していなかったら。
少し間違えれば、隠していた秘密の一端が暴かれるような恐怖があった。
多分、その勘自体は間違ってないと思う。
私は、クラスの中では一応人気者って扱いだけど。
少し目線を変えれば、何かがあったら一気に晒し上げにされるような立場でもあったから。
そういった、晒し上げることこそを楽しむような女子は一人か二人は多分いたから。
「……ね~、お兄様。」
「うわ何だ急に猫撫声なんか出して。」
「酷くない?」
「んで?」
「いや、結城先輩どうするのかなぁ、って。」
「ああ……米はあるから今日はうちで食おうと思ってるんだが。」
「妙に世話焼くよね、にぃに。」
そうか?
そんな首を捻りながら答えられるとちょっと困る。
自分で気付いてないのか、それともそれが当然のように思っているのか。
今までだったら、ずっと私がお兄ちゃんを見ていられると思っていたけど。
……なんて言えば良いんだろう。
同じ経験をしてきて、仲間なんだから、って。
お兄ちゃんが幸せになれるんだったら、
多分、どの枝でも私は気持ちを押し殺してそう思ったんだろう。
だから。
「なのでー、妹ももう少し面倒見てほしいかなぁ~って。」
「これ以上見ろと?」
「引きながら言うのやめて。」
「いや引くわ。」
気持ちを隠す必要がなくて。
少しは受け入れてもらえながらも。
皆でこうしていられる場所が大事だっていうのが分かるからこそ。
(私に出来ることをしなくちゃ。)
そんな事を思いながら、手に力を込めた。
握っていた、お兄ちゃんが握り返してきて。
何も言わずに。
そのまま、夜の街を歩いていた。
にゃぁ、と。
何処かで、猫の声が聞こえた気がした。
4/25のヒロイン誰が良いよ? 一位が25,二位が26です
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九條 都
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新海 天
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香坂 春風
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結城 希亜