9-nine- にじいろゆめいろきみのいろ。   作:氷桜

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人…………人?


71.同居人。

 

なぁーご。

 

「…………なぁ、希亜?」

「……何?」

「お前何した?」

 

食事、というよりは惣菜を買ってきて。

自室に戻って米を炊き。

妙に空いた時間の後で、希亜の部屋の番号が届いた。

天に見に行くか?と声を掛け。

二人で扉を叩き、妙に中で慌てた音がして。

顔を見合わせながら待つこと少々。

 

いつかのTシャツ姿で現れた希亜は、妙に気が抜けているようで。

だからこそ、その裾についた黒い毛について問い掛けたら。

中から聞こえたのは、妙にあちこちの枝で聞く獣の鳴き声。

若干強引に中に入ると。

 

みゃーん、なぁーご、ごろごろ……。

 

そんな鳴き声を発する、籠の中に入った毛玉が一匹。

希亜の特徴……というか、体質というか。

猫に逃げられ続けるのを知ってる俺からすれば、当然のように聞きたくなるのも同義なんだが。

 

「……貰ってきた。」

「は?」

「前、言ったっけ。 私の家じゃ猫飼えないって。」

「ああ、まあ聞いたが……。」

 

話す俺達を他所に。

物珍しそうに、その全身が真っ黒に染まった子猫を構う天と。

見知らぬ相手にも関わらず、興味深そうに肉球で構っている猫。

何だこの光景。

 

「私が駄目じゃない、ってのも言ったよね。」

「……まあ。 でも……希亜、逃げられてたよな?」

「あの時のことは思い出させないで……ちょっとつらい。」

「お、おう。」

「それで……急に引っ越すことになったわけだけど、前々から飼いたいって話だけはずっとしてたの。」

「まあ、我儘……ってところか。」

 

学業に打ち込んで、「いい」子に成り続けようとしてたことは知っている。

正義にこだわり続けるのも、希亜の妹の出来事を背負い続けているからこそ。

 

「私は良くは知らなかったんだけど……お父さんの同僚が猫飼ってたみたいでね。 増えすぎて困ってたみたいで。」

「それで貰ってきた、と。 希亜に懐いてるように見えるが。」

「ううん……良くは分かんないんだけど。 匂い、とか?」

「匂い?」

「私の家の匂いが薄くなったから……とか。 分かんないよね。」

「まあ、飼えるならそれでいいとは思うが飯とかは?」

 

うん、と立ち上がって押し入れを開ける。

猫用品、猫の餌、後お菓子その他諸々。

いつの間に用意したんだそんなもん。

 

「えぇ……。」

「引き取ってくれるから、って。 この子が好きな一式貰ってきたんだって。」

 

なーう。

 

「お~……にぃに、可愛いねこの子。」

「まあ子犬でも子猫でもこの年代ならそうだとは思うが。」

「猫のほうが可愛い。」

「急に真顔になっても無駄だと思うんだが……まあその辺は好き好きってことで。」

 

俺も嫌いではないしな。

まあ、問題は幾つかあるんだが。

 

「なら希亜がここから出ていく時はどうするんだ?」

「いつ出ていくか……がはっきりしてないけど、大学までだったらこのまま連れて行く。」

「それより前だったら?」

「なんとか説き伏せて残る。」

「実質一択じゃねえか!」

 

なんでこんなポンコツになってるんだ……。

まあ文字通りの意味で猫可愛がりするんだろうなぁ、というのは予想に難くないが。

 

「そもそも飼ってよかったのか? ここ。」

「柱とかに傷つけすぎないなら。 実質的にケージに入れてるって前提だったら良いみたい。」

「へえ……。 で、傷つけないって部分は?」

「爪とぎはちゃんとさせるから大丈夫。」

「物凄い燃えてらっしゃることで。」

「だって、翔。 猫だよ?」

「それでゴリ押ししてくんな! というかその姿であんまり近寄らないでくれ!」

 

()()見えそうになるって前言わなかったか!?

というかなんで急にそんなだらけてんだよ!?

 

「む~。」

「ねえお兄様。 痴話喧嘩はそこまでにしてくださる?」

「誰と誰が痴話喧嘩してるっつーんだよ。」

「え、お二人さん。」

「絶対これは痴話喧嘩って言わねえ……。」

「痴話……つまり、そういう仲だって認めてるってこと?」

「自分に都合がいいことだけ聞こえてるな!?」

 

ぎゃーぎゃーと騒ぎつつ、着替えるのを待って。

猫の入ったケージ毎、俺の部屋へ。

黒子猫の食事は専用……というかそれこそ食事を取り始めてからずっとそれを使っているという皿で。

固形食を美味しそうに食っている。

 

「そういや此奴何歳なんだ?」

「……四ヶ月くらい、って言ってたかな。 躾とかしてたみたいだから。」

「そうなると微妙に子猫って分類で良いのか悩むな……。」

 

優しい目線で、その猫を見つめている希亜を見ている俺達。

こういう場面だけを見れば、凄く子供っぽい。

 

「よーしよーし、一杯食べてねシュバルツ。」

「……シュ?」

「シュバルツ。 この子の名前。」

 

ただ、そういうセンスだけは理解出来ずに。

 

「……変わってるよね、結城先輩。」

「聞こえるから黙ってろ。 まだこれくらいなら可愛い方だろ。」

「うわ、あばたもえくばだ。」

「えくぼだろ。」

 

それを見ている俺達は、名前を覚えるのでちょっと苦労した。




にゃーん。

4/25のヒロイン誰が良いよ? 一位が25,二位が26です

  • 九條 都
  • 新海 天
  • 香坂 春風
  • 結城 希亜
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