私は唯一の手を握る   作:Fiery

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唐突に脳内からネタを吊り上げてしまったのが悪い。


ねくすと・じぇねれーしょん?
次世代へと因果が巡る


 

 建てられてから20年以上経った建物と言うのは、どうしても年月による劣化が目に付く。それは未だに、エリート養成機関として名を轟かせるIS学園も例外ではない。とは言ってもこまめに手入れされ、そこまで古さを感じさせないのは見事だと思う。

 

(でも、うちと違って落ち着かないんだよねぇ……)

 

 両親と祖父の趣味と実益が高じて、毎月リフォーム状態の我が家を思い出す。新しくありながらも、自分達が作ったという愛着もある家。

 家の事となると一番嬉しそうに話すのは、母さんだった。何でも家出してそのままとーちゃん……父さんの家に住み込んだらしく、『ここが私の実家だよ』と笑っていた。

 

 元々の家の事は聞いていない。昔の事はもう吹っ切っているらしいから、聞いたら教えてくれるだろうけど。今の母さんは毎日楽しそうに笑っているし、父さんとも未だにラブラブだから、昔の事を聞いて水を差すのも悪いと思って聞いてない。

 

 ただ、私がIS学園に入学するにあたって母さんが言ってきた事がある。

 

『飛鳥、貴女がIS学園に行きたいって言うなら止めないけど、もしも『更識』や『布仏』、『織斑』や『篠ノ之』って名字の子が居たらあまり近づかないようにね』

『なんで?』

『母さんも少しの間だけ在学していたけど、その時のトラブルの中心にいた人の名字だよ』

 

 温厚で優しい母がとても厳しい声でいうものだから、私は大人しく頷いた。ISを勉強する中で、後の二つの名字は必ず出てくるものだった。

 『篠ノ之』は開発者の名字だし、『織斑』は初めて男でISを動かした人の名字だ。その人が動かしてから、とても緩やかだけど男の人でも動かせるって事例は増えた。学生として適した年齢の人も居れば赤ちゃんも居て、何なら80歳のおじいちゃんも居たようなので、IS学園に入学してきた男の人はこの20年でも10人に満たない。

 

 前の二つの名字で『更識』はわからないけど『布仏』は知っていた。母さんがたまに会う虚おばさんの旧姓だったはずだ。『かんちゃんには内緒ですよ』と言われてから教えてもらったので間違いない。何でも凄い良い家……名家って奴らしいから、関わると面倒なんだろうなーと思う。虚おばさんだけを見れば凄い良い人なんだけど、柵なんかが多そうで私には向いてないよね。

 

 そんな事をぼーっと考えながらも、入学式のセレモニーは続いていく。

 

『さて、ここで皆さんにお知らせがあります』

 

 壇上に立ってお祝いの言葉を言っていた、水色のショートヘアに意志の強さを秘めた目が印象的な生徒会長の『更識秋十(さらしきあきと)』が切り出した。

 

『今年の入学生の中に、男子生徒が5人います』

 

 ざわざわと騒ぎだす同級生予定の女子と違い、私はへーとしか思わない。うちは父さんが格好良いし、弟はそれに輪をかけてイケメンだった。弟を紹介してくれと迫られた事はそれこそ両手の指でも足りない。それに、一緒に住んでいれば色々と生態も見えてくるので幻想も何もない。競争率が高そうだなぁ、と言う感想くらいしか出てこない。

 

 会長の呼び込みと共に壇上に並ぶのは、イケメンの見本市と言わんばかりにそれぞれ特徴のある男の子。

 

 黒髪黒目の正統派『織斑太一(おりむらたいち)』

 

 金髪碧眼の貴公子『クリフォード・オルコット』

 

 茶色がかった髪で快活そうな『凰 龍音(ファン ロンイン)』

 

 こちらも金髪碧眼で癒し系の『ケヴィン・デュノア』

 

 銀髪に赤い目で軍人然とした『ヘルフリート・ボーデヴィッヒ』

 

(うーん、眼福)

 

 ただ、どんなにイケメンでも私にはそれ以上の感想が出てこない。精々が女子ばかりの所に大変だねー程度である。

 

(ま、同級生になっても遠い世界の人だろうし)

 

 一般枠で入った私には多分合わないだろう存在だ。まぁ遠くから目の保養にはさせてもらおうと決めて、また聞き流す。

 私を見ている視線には、気づかないままで。

 

 

 

◇

 

 

 

 日本の名家である更識家の長男として生まれた僕は、幼い頃から厳しくも愛を持って母に育てられた。父の顔を見た事は無い。まぁ事情があるのだろう、と察する事が出来る程度に僕の頭の出来は良いらしい。

 名家の当主である母が未婚である事を良しとして、しかもその男の子供を産む可能性があるケースなど早々無い。確証も証拠もないが、そうなのだろうなとは思った。

 

 そんな僕にIS適性がある、という知らせが届いた。通常で考えればISに乗れる男はほとんどいないため、凄まじい希少価値である。

 ただ、この知らせを聞いた母は『マジかよ……』と言わんばかりに渋い顔をしていた。母の従者の虚さんが『血は争えないという事ですかね』と呟いたのが印象的だった。

 

 そして、当然の様に僕はIS学園へと入学する。

 

 将来当主になるための教育や訓練をしながら、それにISの事も加わったので当然ながら過酷なスケジュールだった。とは言え必要な事なのでやる事に対して不満は一切ないし、僕の従者の『布仏愛理(のほとけあいり)』も一緒。それに専用機である『ミスティック・ナイト』も既に受領していたため、入学に関してはそれほど問題視はしていなかった。

 

 一年生の時は同じ学年では相手にならず、上級生にも負け無し。母が学園に居た時からの伝統である『生徒会長はIS学園最強』との伝統通りに生徒会長をやらされた。愛理からは『流石ですけど何してるんですか……』と称賛4・呆れ6の言葉を頂いた。前会長が副会長として僕の補助に回り、頼み込んで愛理には書記をしてもらう。後は前生徒会の人で役職を埋めて、新生徒会はスタートした。

 

 一年が経ち、そんな生活にも慣れた頃に新入生を迎える。この一年男は僕だけだったので、また女子ばかりだと思っていたら違った。

 

 何と男子の後輩が5人も出来るという。

 

 思わずガッツポーズを取るくらいには嬉しかった。同性が居るというのは心強かった。そんな気分はもちろん顔を出さず、入学式のセレモニーの中で僕は壇上に立ち、生徒会長として祝いの言葉を述べていく。整列している新入生達を見渡せば、一様に緊張した面持ちで前の自分もそうだっただろうかと懐かしくも思った。

 

(……ん?)

 

 その中で、僕は一人の女生徒に目を止めた。濡羽色の艶やかなショートヘアに、前髪が一房だけ水色の少女。赤く優しげな眼に、左の眼元には泣きボクロがある。

 

 そんな彼女に、一瞬だけ心奪われた。

 

 胸に去来した感情が何かはわからないが、この場を乱すわけにもいかないのでそのまま進行する。やがて男子新入生の紹介も終わって、クラスに向かう為に全員が体育館を出ていく。

 

「お疲れ様です会長」

「愛理か」

 

 舞台袖に下がって一息ついた僕に、愛理が労いの言葉と共に飲み物を差し出してくれる。それを受け取って一口含んで人心地をつけて、彼女を見る。

 

「すまない愛理。後で新入生全員の写真付きの資料を用意してくれないか」

「何か問題でもありましたか?」

「いや、そうじゃないんだが……」

 

 言いよどむ僕に、愛理も疑問符を浮かべている。それは当然だろう。僕がこういう事になる事は滅多にないのだから。

 

「とにかく、用意できるか?」

「すぐにでも。生徒会室でご覧になられますか?」

「あぁ、そうしよう」

 

 顔はしっかりと覚えた。この感情は一体何なのか、調べないといけない。

 

 

 

◇

 

 

 

 今思えば、IS学園に入学したのは間違いだったかもしれないなー、と思う。最初は楽しかったんだよ? 目の保養は居るし、好きなだけ訓練機いじっていいし。何ならパーツや武装の自作もやっていい。良い物は企業が買い取ってくれるからこれで結構稼ぐ生徒もいるって言ってた。

 

 クラス分けの時に男子は各クラス一人になったらしく、私が居る四組には織斑君が居た。初っ端から母さんが言ってた要注意名字にぶち当たってアウトだったけど、同じクラスなだけと思ってたんだ。

 

 席が隣りなんだけどコノヤロー!(激怒

 

 私の名字が明石(あかいし)で、出席番号が一番。次が織斑君で、出席番号二番。私の席が一番廊下側で、彼の席は窓際へ一個横にズレた席。

 変に抗議すれば他の女子の顰蹙を買うし、この時はまだまだ楽観視できた。隣りだから話もしたし何なら質問もされて答えたけど、普通に小学校でも中学校でもしてた事だから気にしなかった。

 

 それに影が差したのは、たぶんクラス代表戦の時だったように思う。クラスの代表は四組での専用機持ちが織斑君だけって事もあって自動的に決定。他のクラスも男子が代表する事に決まったらしい。男子全員は専用機を持っているらしくて、でもいつも整備してくれる人が居ない。それで四組総出で彼の専用機『白月』を見てみようとなり、まぁ見たんだけど。

 

 整備できる人間が私だけだったというオチだった。

 

 いや、正確には他にも居たんだけど、一番彼に合わせられたのが私だったらしい。だもんで一緒にいる機会は必然的に増えた。当然他の子も巻き込んで二人きりにだけは絶対にならなかったけど。実際に動いての特訓とかは他の子が訓練機で付き合ってたから私はノータッチ。で、戻ってきた彼が、凄く真剣な目で私の肩を掴んできた。

 

『これからずっと俺の専属になってくれ!』

『こんな衆人環視の中で、そんな誤解受ける台詞言うなァーッ!?』

 

 スパナで殴った私は悪くないよ。うん。とーちゃんに知られたら絶対怒られるけど。でもIS着てたからたぶん行けるんだよ、母さん。

 そんな事言った理由を聞けば、今までよりはるかに扱いやすくなってたんだって。整備した人間としては嬉しいけど、専属になる気はないって言っといた。私の夢はどっちかと言うと開発なのだ。整備も出来るけどそれはそれ、と言う奴。そう言えば彼も諦めてくれたけど、学園に居る間はちょくちょく触る事になった。

 

 これだけで話が済んだら貴重な経験ラッキー程度だったけど。彼がですね、私の整備した機体で全勝しやがってですね、整備したのが私という事を言い触らしましてですね、他のクラスの男子もですね、頼みに来たんですね(白目

 

『私、四組、大丈夫?』

『問題ありません、レディ』

『クラスの奴らの許可は貰ってるんだ』

『あはは……ごめんね明石さん』

『俺からも頼む。奴が褒めちぎるその腕を体感したい』

 

 で、全員の専用機を見る事になって、まぁ一応私もプライドはあるから。とーちゃんもじーちゃんも誇りを持ってやってる事に絶対手は抜きたくないから。だから全員の分、ちゃんと整備して合わせたんだ。

 

 結果? うん、想像通りだよ(ヤケクソ

 評判が良かったのは良いよ。私の腕が認められて嬉しい話だもん。でもさ、そこから態度が変わって怖いよ。なんなの? そんなに深刻な整備士不足なの?そんなわけないよね?

 

 最初は良く話しかけてくるようになった程度だったの。でもすぐにかち合ったら喧嘩と言うか、牽制し合うようになってさ。少しでも二人きりになるとオルコット君は耳元でクッソ恥ずかしい言葉囁くし、凰君は突撃してくるし、ボーデヴィッヒ君は嫁に来いとか言い出すし、デュノア君が一番ヤバくて外堀埋めてこようとするし。真面目な話散々だよ……おかげで私、クラスで孤立しかけたから……(白目

 

 今はねー、同情してくれる人ばかりで匿ってくれたりしてくれるから過ごしやすいよ。

 

 でまぁ、夏休み前くらいかなー。

 

 何か生徒会長がうちのクラスに来て、私に用事だって言うの。ぶっちゃけ嫌な予感しかしなくて行きたくなかったんだけど、書記の人に拘束されて生徒会室に連れていかれたんだよ。で、会長が開口一番。

 

『僕と婚約してくれませんか?』

 

 って言いだしたから、思わず会長の顔にグー入れちゃったんだ……よくやった? 母さんファンキーすぎない……?

 

 それで逃げようとしたら書記の人が付いてきて凄く謝られた。

『あんな事を言うとは思いませんでした申し訳ない』って凄く低姿勢で。書記の人?確か布仏愛理さんって……要注意名字ぃぃぃ!?

 

 でも凄く良い人なの。今も私を会長とかからも匿ってくれてる。

 

 

 

 え?ここまで話して何が聞きたいのかだって?

 

 

 

 母さん、IS学園ってどうやったら辞められるの……?

 

 

 

 




単なる次世代の妄想ですけど、ここに出て来てない篠ノ之は多分名字変わったんじゃないですかね?(すっとぼけ

明石飛鳥
オリ主と簪の子供。
両親の才能を余す事無く受け継いだ万能型女子。
性格はさっぱりしていて、少し男っぽい所もある。
父親の黒髪に前髪が一房だけ母親の水色になっている。
二つ下のイケメンの弟がいて、彼女自身も顔面偏差値は非常に高い。
スタイルは平均的だが、重い物を持つためパワーは結構ある。


男子どもと愛理
父親は読者の予想通りだと思われる。
箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、楯無、本音の子供。

虚さん
名字は五反田。でもまだ更識で働いてる。

楯無
息子が妹の子供に一目ぼれしてて血を吐きそうになった(胃痛枠

簪
娘の相談を受けて絶対辞められる方法を伝授する。
何があっても母さんが守ってあげるからね!特に更識から!

オリ主
人に向けてのプラズマカッター使用を解禁するかどうかで本気で悩んでいる。
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