我が名はスタースクリーム   作:雑草弁士

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第1話:目覚め

 人員整理で会社をリストラされ、次の就職先も見つからない。気分は鬱々とし、やる気が出ない。公園のベンチに腰掛け、俺は溜息を吐く。

 

(はぁ~~~。なんとかこの状況から逃げ出せないもんかね。)

 

 俺は心の中で呟く。状況を「打破する」ではなく「逃げ出す」と言う時点で駄目駄目なのは重々理解している。だがそれでも、この鬱々とした人生から逃げ出してしまいたかった。まあだからと言って、自殺するような勇気は無い。死ぬのは怖かった。

 

「……ん?」

 

 ふと俺は空を見上げる。そして次の瞬間、俺はそれを後悔した。空なんか見上げなければ良かった。そうすれば、恐怖に捉われる事無く、何も知らずに死ねたものを。

 俺の視界には、きりもみしつつ俺めがけて落下してくる、自A隊のジェット戦闘機が、どアップになって映っていた。そして次の瞬間、凄まじい衝撃を感じたと同時に何もわからなくなった。

 

 

 

 そして俺は目覚めた。気を失っている間、何かエネルギーの渦の中にいた様な気がする。俺はとりあえず、全身にチェックプログラムを走らせた。動力系、異常無し。駆動系、異常無し。頭脳回路を含む制御系、異常無し。……いや、異常あるだろ。なんで俺、自分の身体を調べるのに、サラっとチェックプログラムなんて走らせてんだよ。

 ……!?な、なんだよこの右手は!?ロボットの手!?左手も同じ!?足もロボットの足になってやがる!?な、何が起きた!?たしか自A隊の戦闘機が落ちて来て……。いや、違うぞ!?俺たちは宇宙へエネルギー探査に出たサイバトロン陣営を追って戦艦『ネメシス』でセイバートロン星を出撃、サイバトロンの宇宙船『アーク』に接舷してその中で戦って、結局惑星に墜落したんだ……。

 って、ソレはG1トランスフォーマーの第1話ーーー!?

 

「おい、さっさと起きやがれ。後がつかえてんだ。」

「あ、ああ。すまないスカイワープ。」

「!?あ、謝った、だと!?スタースクリームが!?」

 

 え゛。いまなんておっしゃいましたかね、スカイワープさん。って言うか、サラっと条件反射的にスカイワープの名前が出たのも我ながら驚きだが、ソレよりもこのスカイワープ氏曰く、俺の名前が……?

 えっと……。スタースクリーム?俺が?あの自称ニューリーダーの?自分で自分を二枚目だとか言っちゃう、あの?アニメの?トランスフォーマーG1の?え?え?えええっ!?

 

「俺が謝ったら、何か変かよ。それよりか、さっさとサンダークラッカーを起こしてやる方が先だろうが。」

「……あ、ああ。わ、わ、わかった。」

 

 とりあえず表面だけ取り繕った俺だったが、内面はとことん混乱していた。俺は死んだ……死んだと思う。だがその霊魂と言うか何と言うか、それが時空を超えてスタースクリームのボディに憑依した?

 いや、単純な憑依じゃないな。俺には俺がスタースクリームだと言う実感がある。俺の魂がスタースクリームのスパークを取り込んだのか、それともスタースクリームのスパークに俺の魂が取り込まれたのかは知らんが、両者は完全に融合しているみたいだ……。

 

「フフフ、貴様を生命再生装置にわざわざ運んでやった、このわしには何もなしか?スタースクリーム。」

「うわっ!?あ、い、いえ!(おそ)れ多い事です。感謝しかありません、メガトロン様。」

「分かれば良い。遊んでおらんで、貴様も皆を生命再生装置に運ばんか!」

「はっ!」

 

 あーびっくりした。いたのかメガトロン。いや、アニメでは確かスカイワープは、メガトロンを最初に起こしたんだったな。居て当然か。俺はあわててブリッツウィングを生命再生装置に運ぶ。重いんだよ、コイツは。まったく……。

 

 

 

 サイバトロンの宇宙船『アーク』から、再生なった俺たちデストロン軍団は離脱し、近場の岩山の上に降り立った。メガトロンが感慨深げに(のたま)う。

 

「長い年月(としつき)が過ぎ去った。故国セイバートロンは(はる)か彼方だが、この惑星でもわしらの目的は変わらん。」

「セイバートロンはまだ存在してるでしょうか。」

 

 スカイワープが心配そうに言った。って言うか、スカイワープの方が副官みたいだな。まあいいんだけどな。俺は副官とNo.2を兼ねてるけど、副官的な仕事は……ああ、色々やってるか。あ、勘違いしてる奴も多いが、副官はNo.2じゃなくて、指揮官のあくまでサポート役なんだよな。

 あ。メガトロンがスカイワープに答えた。

 

「存在しておるとも。だがこの地球とやらにも豊かなエネルギー資源があるのなら、無敵の兵器を造ることも可能。そうすればわしは……余は、宇宙の覇者だ!」

 

 ここで俺は、メガトロンに進言してみる事にする。いや、俺はアニメのトランスフォーマーではコンボイのファンだったけどね。でも今の俺はデストロンだ。心の中にスタースクリームなりのデストロンへの愛着もあるのが、はっきりわかる。

 

「今のうちに、コンボイたちを完全に始末してしまった方が安全では?せめてテレトラン1だけでも破壊してしまえば、万が一にも奴らは再生し(リペアされ)ません。」

「かまうな、エネルギーを無駄にするな。これからも戦いはあるのだ。宇宙征服のな。行くぞ!」

「……了解です。」

 

 アニメでは、俺が撃ったからそのショックで、コンボイが生命再生装置に転がったんだったな。何もしなければ、このままコンボイはスクラップのまま、か……。

 

「それもいい、か。あばよコンボイ。」

 

 俺は飛び立ったメガトロンを追って、大地を蹴って飛翔した。

 

 

 

 

 そして荒野の上をしばし飛び、適当な場所を見つけたらしいメガトロンは地上へ降りた。俺と他のデストロンも、それを追う。

 

「ここに基地を構えよう。あの岩地にわれらの司令本部を設置するのだ。サウンドウェーブ、お前は至急宇宙船(スペースクルーザー)の設計にかかれ。スタースクリーム、お前は建設用地の整備だ。」

「資材はわたしの裁量でかまいませんか?」

 

 アニメでは、「資材はどうするんです?」って聞いて「そんな事ぐらい、自分で考えろ!」って怒られたんだっけな。とりあえず、怒らせる事もあるまい。

 

「任せる。」

「はい、では……。」

 

 周囲を見回した俺は、発電所を発見した。

 

「あれにするか。だが俺だけじゃな……。サウンドウェーブ、ランブルとフレンジーを貸してくれねえか?」

「リョウカイシタ。ランブル、フレンジー、イジェークト!」

 

 サウンドウェーブの胸板が開き、そこから2つのカセットが飛び出した。そしてそれらは、ギゴガゴゴと変形して2体の人間よりもちょっと大きいかって程度の人型ロボットへ変わる。

 

「すまねえな。」

「!?ス、スタースクリームガ、礼ヲ……。」

「し、しんじらんねえ!」

「お、おい。俺の聴覚マイクロホンが壊れてないか、みてくれねえか!?」

「てめえら……。」

 

 俺はそんなに酷かったか!?……いや、今「(スタースクリーム)」の記憶をチェックしてみたけど、酷かったな。これじゃ人望ねえのも当然だ……。

 

「まあいい!行くぞフレンジーにランブル!運んでやるからカセットモードでコクピットに入りやがれ!」

「な!?の、乗せてくれるってか!?」

「う、嘘だろ!?」

「いいから乗りやがれ!てめえらには、向こうで働いてもらわにゃならないんだ!手前らのエネルギー残量に余裕もたせといて、何が悪い!トランスフォーム!!」

 

 そして俺はランブルとフレンジーを乗せて、地球人どもの発電所に向けて飛び立った。

 

 

 

 やっぱりサイバトロンの連中は来なかった。俺が手だししなかったから、生命再生(リペア)されなかったんだな。デストロン司令本部は、さくっと完成する。そしてサウンドウェーブが派遣したコンドルが、地球のエネルギー資源を見つけて来た。それは海底油田基地……スパイクとスパークプラグの親子が働いてる場所だったな。

 今、俺たちデストロン軍団はその海底油田基地を目指し、飛行中だ。メガトロンが叫ぶ。

 

「降下しろ!降下ーッ!!」

 

 俺たちは海底油田基地の、海上に突き出ている施設部分へと降り立った。そこにいる作業員たちは一瞬驚いた様だが、俺たちが不法侵入者であるためか、追い払おうとその辺の工具やら何やらを投げつけて来る。

 

「やれやれ……。」

 

 いや、その程度の攻撃は痛くもなんともない。少々鬱陶(うっとう)しいだけだ。メガトロンもそう感じたのか、その辺に積んであった直径1mぐらいの金属管を拾い上げると、ほいっと投げつける。あわてた作業員たちは転がる金属管に追われて海へと飛び込んだ。

 

「スタースクリーム、ナルビームを発射しろ。早く。」

「了解です、メガトロン様。」

 

 俺は指示通りナルビームを発射、海底油田基地のシステムを停止させる。メガトロンは続いてサウンドウェーブにエネルゴンキューブの制作を命じた。サウンドウェーブが造り出した力場(フォースフィールド)の枠に、他のデストロンが原油を注ぎ込んで行く。そして圧力をかけて凝縮させると、エネルゴンキューブが完成だ。

 

「おお、成功だ!」

「おおー!」

「うむ、この調子で地球全土のエネルギーを我が物にするぞ。うははははははは。」

 

 俺たちは備蓄分の原油を全てエネルゴンキューブに変えると、それを持ち去った。海に浮かんだスパイクとスパークプラグの親子、そして他の作業員たちが、悔し気な顔をする。ちょっと(どうりょくそうち)が痛んだ。いや、俺はデストロンだ。まずは俺がデストロン軍団の中で生き抜く事を考えるんだ。

 

 

 

 あの後も、俺たちデストロン軍団はエネルギー強奪を続けた。サウンドウェーブの命令でコンドルやバズソーが調べて来た情報を元に、あちこちからエネルギーを強奪してはエネルゴンキューブを造り、基地に持ち帰ると言う繰り返し(ルーチンワーク)だ。

 サイバトロン連中がいないので、全ては順調だった。襲撃中に地球人の軍隊が出て来る事はあったが、はっきり言って鎧袖一触だ。相手にもならない。だが、俺は思う。こう言う時こそ、注意に注意を重ねなければならない。全てが順調な時こそ、気のゆるみから何か失敗を犯しかねないのだ。

 そしてやはり、事故は起きた。

 

「メガトロン様。エネルゴンキューブの抜き取り検査を行いたいと思いますが、許可をいただけますでしょうか。」

「抜き取り検査だと?いらんいらん。そんな事をせんでも、キューブは完璧だ!検査で消費されるエネルゴンキューブの数が幾つになると思う!それを行えば、セイバートロン星への帰還が襲撃1回分遅れてしまうわ。」

「了解です。しかしこの地球は、エネルギーが豊富です。継続的に襲来して、エネルギーを奪うべきかと。」

 

 ……俺も、すっかりデストロンだな。襲撃の中心が、俺たちが400万年前に墜落した米国であり、並行異世界とは言え故郷の日本でないってのもあるんだろうが。

 

「その様な事は、あたりまえだ。貴様に言われずとも、わしの頭の中では計画が立案されておるわ!」

「は。了解です。」

 

 言われ無きゃ、わかんねーよ。メガトロンは部下に厚く寛容で、理想の上司ではあるんだが……。部下をとくに頭脳面で信用せずに心の内を明かさない、と言う点がある。俺がそう思った、その時だ。

 

ドガアアアァァァン!!

 

「なんだ!?」

「音からして、爆発事故の様です!音がしてきたのは……エネルゴンキューブ貯蔵庫!」

 

 俺たちが急ぎ向かい、エネルゴンキューブ貯蔵庫に走り込むと、その片隅でサンダークラッカーが左腕がもげるほどの損傷(おおけが)を負って、倒れ伏していた。他のデストロンどもは、オロオロしている。どうやらキューブの爆発事故があった模様だ。

 

「何があった!サウンドウェーブ!」

「メガトロン様……。サンダークラッカーガ、エネルゴンキューブヲ運搬中、取リ落トシタ。運悪ク、電線ノ上ニ。電線ノ被覆ガ剥ガレ、エネルゴンキューブニ引火。周囲ノエネルゴンキューブヲ巻キ込ンデ、爆発シタ。

 幸イ周囲ハ、キューブヲ運ビ出シテイタ最中ダッタ。爆発規模ハ、大キクハナカッタ。」

「く、失われたエネルゴンキューブの数は!」

「正確ナ数ハ調査中。ダガ20~30個ハ失ワレタ。」

「この……!」

 

 そしてメガトロンは倒れたサンダークラッカーに歩み寄ると……。

 

「大馬鹿者めが!!」

「ぐわぁっ!!ぐ、お、お許しをメガトロン様……。」

 

 大怪我を負ったサンダークラッカーを引き摺り起こしたメガトロンは、右腕を振り上げた。俺はそこに声を掛ける。

 

「お待ちを!メガトロン様!」

「止める気か!?スタースクリーム!!だがな、こやつのおかげでせっかく集めたエネルゴンキューブが多数失われた!しかも単なる不注意で、だ!」

「それは分かっております。しかしサンダークラッカーはジェットロン部隊。わたしは航空参謀で、ジェットロン部隊の指揮官です。サンダークラッカーの不始末は、わたしの監督不行き届きです。責任は、わたしに……。」

「そうか!ならば貴様が代わりになると言うのだな!」

「はい。」

 

バキイイィィッ!!

 

 次の瞬間、サンダークラッカーを放り出したメガトロンの文字通り鉄拳が、俺の顔に叩き込まれた。激痛。俺は必死で踏みとどまる。2発、3発、4発。5発目で、俺はとうとう耐えられずに尻餅をついた。だが、それじゃ駄目だ。俺は再度必死で立ち上がる。そこへ更に6発目。7発まではなんとか耐えた。だが8発目で、俺は床面に沈む。それでも腕を動かして、なんとか立ち上がろうとした。だが力が入らねえ……。

 

「……ふん。このぐらいにしておいてやるわ!いいか、今後はこの様な事故など起こさせるな!」

「……肝に命じまして。」

 

 なんとか顔だけ上げて、俺は応える。目の前をメガトロンの足が過ぎ去って行く。どうやら出て行った様だ。他のデストロン兵士どもは、遠巻きにして近寄って来ない。と言うか、なんかボソボソと言う声は聞こえる。

 

「す、スタースクリームが……。」

「サンダークラッカーを庇った?」

「それも身を挺して……。」

 

 五月蠅(うるせ)えよ。そんな(はなし)をしてるぐらいだったら、俺たちを助け起こすぐらいしやがれ……。

 

「ぐ、くううっ……。」

 

 俺は軋む身体に鞭打って立ち上がると、メガトロンから放り出されてへたり込んでいる左腕が取れたサンダークラッカーを助け起こした。右腕で助け起こしたので、左手で奴の左腕を拾う。

 

「す、スタースクリーム……。」

修理室(リペアールーム)に行くぞ。まず手前(てめえ)治療(リペア)してやるから、終わったら俺の治療(リペア)をしろ。いてて、あのパンチは効いたぜ……。」

 

 サンダークラッカーを担いだ俺が歩くと、遠巻きにしていたデストロン兵士たちはざざっと左右に分かれる。その視線が、なんか妙な物を見た、とでも言いたげなのが気に障る。

 

「す、すまねえスタースクリーム。」

「おうよ。せいぜい恩に着ろ。」

「け、けどなんで俺を?」

手前(てめえ)はこれでもジェットロンの重要な戦力だ。こんな重傷でメガトロン様に殴られてみろ。死んじまう。」

「すまねえ……。」

 

 そしてサンダークラッカーは言葉を続ける。

 

「けどよ……。なんで?なんでだ?昔のお前だったら……。」

「見捨ててた、ってか?ふん、400万年の眠りで、頭脳回路になんかバグでも起きたのかもな。」

 

 いや、頭脳回路どころかスパークのレベルで、なんか異常が起きてるんだがな。俺たちは、よろよろと修理室(リペアールーム)へと歩いて行った。

 

 

 

 そして俺たちは、襲撃とエネルギー強奪を続けた。サンダークラッカーの件は、ある意味いい刺激になった様だ。万が一にも事故を起こさない様に、それまであった気のゆるみが引き締められたのだ。今、俺たちはルビークリスタル鉱山に来ている。

 ちなみにメガトロンは、サウンドウェーブの言った、ここだけでセイバートロン星の全エネルギーを賄えそうだと言う台詞にウハウハだ。掘り出したルビークリスタルを手で(すく)っては自分の身体に浴びて、ご機嫌そうだ。いや、せっかく掘ったルビークリスタルが無駄になるから、やめてくれよ。

 そんな時だ。坑道でエネルゴンキューブを運んでいたスカイワープとサンダークラッカーが、突然もどって来た。

 

「どうしたんだ、お前ら。」

「スタースクリーム!これを見てくれ!」

「こ、これは!」

 

 意気揚々と2人が見せたのは、サイバトロン戦士のミニボット、バンブルともう1人、人間……地球人の技術者、スパークプラグだった。なんで宇宙船『アーク』でスクラップになってるはずのバンブルが……。何かの原因、たとえば地震とかでサイバトロン戦士の誰かが生命再生装置に転がり入ったのか!?

 その時俺の脳裏に、アニメでバンブルが爆弾をルビークリスタル鉱山に仕掛けたシーンが()ぎった。ヤバい!!

 

「お、おいスタースクリーム何処へ……。」

「お前らはメガトロン様に報告しろ!もしかしたらこいつは、爆弾を仕掛けたかもしれん!」

「な、なんだって!?」

 

 スカイワープの叫びを後目(しりめ)に、俺は必死で駆ける。たしかアニメでは、鉄骨の陰に仕掛けていたはず……。何処だ、何処だ!?……あった!爆発まであと15秒!俺はレーザーで鉄骨を焼き切り、それを持って必死で走る。12、11、10、9……。

 

「でえええぇぇぇい!!トランスフォーム!!」

 

 坑道の出口目掛けて爆弾が貼り付いた鉄骨を投げて、俺はトランスフォームして逆方向、坑道の奥へと全力で飛んだ。すげえ狭い。ぶつかりそうだ。そして爆発。俺は再度トランスフォームして側道へと逃げ込む。爆風が吹き抜けた。

 

「た、助かった……。!!……そ、そうだ!サイバトロン連中が来ているはず!」

 

 俺は坑道の出口目掛けて、再度走った。そして外に出たとき見た物は、崖から落ちたコンボイが、必死になってトランスフォームしている姿だった。

 

「ト・ラ・ン・ス・フォ・オ・オ・オ・ム!!」

 

ギゴガゴギゴゴゴ……。

 

「おお、やった!」

「たいした怪我も無く、ご無事の様でなによりです!」

 

 ……やっぱりコンボイのデザインは、かっこいいなあ。俺、ファンだったんだよなあ。抜けてるけど、熱くて仲間思いの性格とか。いやダイノボットとか破壊しようとしたけど。

 

「す、スタースクリーム!?」

「ほおう、どうやって復活したのかわからんが、400万年の眠りからの再生、おめでとうコンボイ。そしてサイバトロン諸君。惜しみない拍手を送ってやろう。」

 

 俺は嫌味ったらしく拍手を送る。そこへメガトロンが、軍団を率いて出て来た。皆、エネルゴンキューブを持っている。

 

「スタースクリーム、珍しく役に立ったな。ほほう、コンボイか。久しぶりだな。」

「黙れメガトロン!破壊大帝とはよく言ったものだ。今ここで雌雄を決し……。」

「まあ待てコンボイ。このルビークリスタル鉱山には、時限爆弾による自爆装置が仕掛けてある。」

「なんだと!?」

「そうなれば、捕らえてある貴様の部下の黄色いちっこい丸っこい奴は、どうなるかな?ああ、それと人間も1人おったな。」

 

 サイバトロン連中は、ワイワイガヤガヤと叫ぶ。

 

「人質とは汚いぞメガトロン!」

「そうだそうだ!」

「正々堂々と戦いやがれ!」

 

 いや、爆弾で破壊工作かけてきたの、君らだよね?しかもバンブル1人で充分なのに、人間のスパークプラグ同行させたのも、君らだよね?赤いサイバトロンどもが特に五月蠅(うるさ)い。

 

「わしらはこれより、エネルゴンキューブを持ってここから退去する。別に追って来ても良いぞ?だがそうなった場合、あの黄色いちっこい丸っこい奴と、人間は見殺し、というわけか。フハハハハハ。

 ではなコンボイ。二度と会わん事を願っておるぞ。デストロン軍団、撤退(リトリート)!」

 

 俺たちデストロン軍団は、メガトロンの命令に従い一斉に離陸した。そしてコンボイたちが仲間(バンブルとスパークプラグ)を救うべく、必死になって鉱山に突入して行くのが見える。俺は思わず、ほくそ笑んだ。

 

 

 

 そして俺たちデストロンと、サイバトロンとの戦いの日々が始まる。いや、400万年前もドンパチやってたんだから、再開した、と言うのが正しいか。結局のところ、アニメ展開通りに俺たちは宇宙船(スペースクルーザー)に乗り込んで地球を脱出。しかし攻めて来たサイバトロン連中の内の、光を力場で屈折させる事で透明になれるリジェの野郎が忍び込んでたせいで、破壊工作されて宇宙船は地球の海に墜落した。

 いや、な?リジェの野郎が忍び込んでるだろうと思って、黒炭の粉末を床に撒いてたんだよ俺は。リジェの野郎は、姿は消せても足跡は消せないからな。そしたらメガトロンに怒られた。俺は必死で、リジェの野郎が透明になって忍び込んでる可能性があるから、その用心だと説明してたら、その隙にリジェが宇宙船の制御盤(コントロールパネル)を撃ちやがったんだ。そして宇宙船は、海に墜ちた。リジェの野郎か?途中でパラシュートで逃げ出しやがったよ。

 そして俺たちデストロンと、サイバトロン連中との、長い戦いが幕を開けたんだ……。俺、すっかりデストロンだなあ。




さて、いきなりスタスクに憑依した主人公。と言うか、スタスクと混じり合った彼の精神の方も、けっこう変質はしているのですがね。彼はきちんとニューリーダーになれるのか!?新破壊大帝として、在位1分弱でガルバトロンに殺されてしまうのか!?
乞うご期待!
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