今、俺たちNAILの政庁兼軍事基地でもある研究所は、大騒ぎになっていた。
「おい、そっちに行ったぞ!」
「逃がすな撃ち落とせ!」
「わ、やめろ!こっち向けて発砲すんじゃねえ!」
うん。来ると思って、警備を増強しておいたんだが、それでも侵入されたんだ。なんであんな怪しいカセットテープ見逃すかな。俺は腰部ビームキャノンからナル
「こいつは武装の回路を切って、閉じ込めておくんだ!それよりも、こいつだけとは限らん!警戒を密に……。」
『こちらスカイファイアー!スタースクリーム、やられた!空中攻撃兵コンドルと、空中破壊兵バズソーだと思われるよ!』
スカイファイアーからの通信内容は、思った通りだった。
「スカイファイアー、何があった!」
『分解して調べていた、メガトロンの融合カノン砲だ!解析が終わったので、まとめて置いていたら、2匹がかりで丸ごと持っていかれた!逃げられてしまったよ……。』
「逃げられたのは仕方がない。データは無事か?」
『それは大丈夫だ。データのオリジナルも、バックアップも問題なしだよ。』
「なら、最悪の事態は防げた……!?まずい!!こちらスタースクリーム!!中古
俺は近場の通信機に飛びついて叫んだ。そして万が一に備え、俺自身も中古
そして今現在。俺、ルナクローバー、スカイファイアー、サンダークラッカー、コンバッティコンたち、つまりNAIL中心
ジャガーはメガトロンの手首
……まあ、メガトロンの融合カノン砲はともかく、腕パーツとかは俺がデストロンNo.2やってた時代、海底基地の倉庫に在庫あるの知ってるからな。カノン砲だけでも取り戻せれば、メガトロンは戦列復帰は可能なわけだ。上腕、下腕パーツを奪われたままなのは、奴としては腹立たしい事だろうが。
「しかし、大事な部下3人と引き換えに取り戻したのは、融合カノン砲と右拳パーツだけか。お前らも大変だな。」
「さ、3人!?」
「ああ、お前らの他にラットバットも捕まえてある。今は牢屋だ。心配すんな。お前らを殺すつもりはねえよ。下手に逃げ出そうとしたりしない限りな。」
フレンジーとランブルは、顔を見合わせる。そしてランブルが言った。
「俺たちゃ、何も喋らねえぞ!?」
「わかってる。お前らのメガトロンへの忠誠はともかく、サウンドウェーブへの忠誠っぷりは良く知ってらあな。」
「スタースクリーム様!わたしにいい考えがあるわ!」
「悪い予感がするから却下。」
「ええーーー!?」
ルナクローバーの意見を聞かないうちから却下する。けれどスカイファイアーが視線で抗議してきたので、仕方なしに水を向けてやる。
「わかったわかった。話して見ろ。」
「こいつらの
「「ひいいいぃぃぃ~~~!!」」
「却下。」
「ええーーー!?」
うん、スカイファイアーは、視線で謝って来た。
「いいかルナクローバー。それじゃデストロン軍団と変わりねえよ。最初の演説のとき言ったろ?俺たちゃ悪を
なあ、わかってくんねえか?」
「はーい……。」
「よし、いい子だ!」
俺はルナクローバーの頭を撫でてやった。
「きゃ!こ、これはひょっとすると?ひょっとする!?そしていよいよ今晩には……。」
「ははは、次はその調子に乗るところ、どうにかしろや。
さてフレンジーにランブル。お前らが知ってるデストロン軍団の秘密や機密にゃ、興味が無いとは言わん。サウンドウェーブは、軍団内の醜聞とか皆の秘密とか、色々収集してるらしいからな。だがな……。」
「「だが?」」
きょとんとしたフレンジーとランブル。俺は悪そうに笑って言ってやった。
「だからと言って、
だからそれまで、大人しく捕虜になってな。」
「ふぃー……。」
「おい、安心してんなランブル。あの顔見てみやがれ。」
「ああ、言い忘れたな。俺はお前らを捕虜虐待とかなんとかするつもりは全然ねえ。でもよ。そうやって『何故か』『かけらも酷い目に遭わされずに』『無事に帰って来た』部下をよ。メガトロンがどう思うかな?あの猜疑心の強い奴が。」
俺が言ったとたん、ランブルとフレンジーは顔を引き攣らせた。もし人間だったら、顔面蒼白になってるに違いねえ。
「ち、ちくしょーーー!!」
「絶対、絶対に逃げ出してやるう~!!」
「はっはっは。まあ安心しろよ。昔馴染みだ、捕虜生活はできるかぎり快適にしてやるからよ。コンバッティコン、武装や特にハンマーアームの回線は注意して切って、閉じ込めとけ。丁重にな。」
「「「「「了解です、ボス!」」」」」」
さて、これでとりあえずデストロン軍団の諜報網は半壊したことになるな。ランブル、フレンジー、ラットバットの3人捕まえたからな。残るはコンドル、バズソー、ジャガーか。あと『2010』時代になると、カセットロンに破壊工作兵オーバーキルと情報伝達兵スラッグフェストが加わるんだが……。ま、今は居ねえからいいか。
だが、んな油断してると、結局逃げ出されたりするからな。しっかりと閉じ込めとかないとな。けどほんとはラットバットよりも、コンドルとバズソー捕まえたかったな。あの2匹どうにかできれば、サウンドウェーブの諜報能力はガタ落ちになる。ランブルとフレンジーの、使い勝手がいい部下を奪えただけ、よかったと思っとこうかね……。
だけど、俺たちもカセットロンやカセットボットに相当する、諜報・防諜チームがそのうち必要だな。誰か在野に居ねえかな。
今現在、俺、スカイファイアー、コンバッティコンたちは、人工ブラックホール生成装置と新しいブラックホール炉の設計に入っていた。俺たちが科学技術関係の仕事をしてる間、サンダークラッカーが全体指揮を肩代わりしている。まあ、奴は基本的に戦士……と言うよりも兵士であって、そう言う仕事はあまり得意とは言えない。だから、何か問題があったら即座に俺を呼び出す様に言ってある。
ルナクローバー?あいつが俺の傍を離れると思うか?まあ、研究資料とかを出したりしまったりとか、後は最近開発されたエネルゴンドリンクを用意してくれたりとかもしてるな。まあ頑張ってくれてるのは、確かだ。ちなみに他
「人工ブラックホール生成装置は、こんなもんかね。必要量の物質……ケイ素系の小惑星かなんかでいいと思うが、人工重力装置でそれを重力崩壊させて
「理屈は簡単だが、実際に試作機造って人工ブラックホールを生成してみない事には……。」
「メガトロンには、絶対に教えられんなあ。絶対に兵器転用を真っ先に考える。」
「今の所は大丈夫だと思うぜ。
そんなわけで、メガトロンのちょっかい無しで研究を進める事ができた。矢面に立ってくれているコンボイには、足を向けて寝られん。まあ、メガトロンの事だから油断はできねえんだがな。
第一、俺はとんでもなくメガトロンに怨まれてるだろうと、そう思う。いや、怨み憎しみの深さで言えば、俺の方も負けていないんだが。しかし行動の身軽さと言う点では、圧政者であり大帝である奴の方が勝る。奴は思い付きで行動をできるが、こちらはそうはいかないんだ。
悔しいので、前回の勝利でデストロン軍団の兵力が撤退した領域を、あくまで以前から決めていた計画通りに『
うん、絶対にメガトロンに融合カノン砲と右拳を奪い返されたのが悔しいから、思い付きでやったわけじゃないからな?
前回の戦いで、俺がフォースチップをイグニッションできたので、サンダークラッカーにも可能ではないかと思い至った。思い至ったので、サンダークラッカーと一緒に訓練してみる事にした。
「フォースチップ……イグニッション!!ヴァーテックス……キャノン!!……ブレイドォ!!」
「うへ!?こ、これで先日メガトロンをやっちまったのか!」
「やったと言うか、逃げられたがな。ぬん!!」
訓練標的の
「うぉ……。凄ぇ威力じゃねえか!」
「いや、これに近い事をお前も出来る可能性がある。」
ちょっと見るに、サンダークラッカーもチップスロットあるしな。
「ほんとか!?」
「やって見ろ。とりあえず、そうだな……。メガトロンと、デバスターでも思い浮かべろ。」
「お、おお。」
「そして……。ここは戦場だ。お前の後ろには、
「……。」
そして俺はサンダークラッカーに語り掛ける。
「生半可な攻撃じゃ、メガトロンとデバスターは倒せないぞ。力を、力を心の底から求めろ。そうすると……!?」
俺はその一瞬、サンダークラッカーの背後に、あるトランスフォーマーの姿を幻視した。いや、それは幻じゃない。そいつには実体こそ無いが……。確かにそこに居た。まるで、『2010』での『
そしてサンダークラッカーが叫ぶ。
「フォースチップ、イグニッション!」
奴の左腕ミサイルポッド後部にあるチップスロットに、フォースチップが……。ベクタープライムが使ってたアレと同じ、宇宙や時空をイメージした様なフォースチップが叩き込まれる。ミサイルポッドが展開し、その裏から大口径ビームキャノンが姿を現す。
「サンダーヘル!!」
ビームキャノンから凄まじい威力のビームが放たれた。それは訓練標的の
「なんか……。なんかが、俺の
「……。」
「どうしたんだ、スタースクリーム。お前がやれと言ったんだろうが。」
「あ、ああ。いや、な。あまりの威力に呆然としてた。」
「お前のキャノンの方が派手じゃねえかよ。」
「そうだな。ははは。」
「ははは。しかし、これで俺ももっと戦えるな。」
俺はとりあえず笑って誤魔化した。そうか、
「……さて、とりあえず訓練場の管理人に、詫びて来ないとな。」
「お、おお。ちょこっとやり過ぎたもんな。」
「ちょこっとか?流石に修復予算とか、あと残業になっちまうだろうから個人報酬とかも、色つけてやらんとなあと思ってたんだが。」
あの
まったく、流石『あらゆる時空の監視役』だよ。ほんとにな。どこにでも居て、どこにも居ない。『2010』での『
「なあ、ベクタープライム……。」
「なんか言ったかあ?スタースクリーム。」
「ああ言った。けど、それよりまず訓練場管理人のとこ行って、詫びて来ないとな。行こうぜサンダークラッカー。」
「おう。」
俺たちは連れ立って、訓練場の出口へと歩いて行った。
ランブルとフレンジー、おまけでラットバットが捕まってしまいました。
そしてついに裏で暗躍?していた存在が、姿を現しました。なんとそれは、ベクタープライム(の幽霊)!!混迷の度合いは、ますます増していく!
さあどうなる!!