セイバートロン星周辺は、俺の号令できっちり対宙監視体制を強化していた。地球周辺もまた、それに準ずる対宙監視体制は敷いていたんだが……。万全はあっても、完璧と言う物は無いと思い知らされた。
何があったかと言うと、地球のサイバトロン大使館、旧サイバトロン基地に勤務していたスパイクと言う男がいる。うん、G1のTVシリーズでサイバトロンに協力し、素晴らしい活躍を見せたスパイク少年の成長した姿だ。その彼と、同じくサイバトロン協力者であったカーリーと言う女性の間に生まれた子供が、ダニエル少年である。
このダニエル少年、実は拉致されたんだ。うん。コンボイから直々に、捜索の協力依頼がNAILにまで来たんだよな。赤組連中が多少騒いだが、ダニエルの命には代えられないと、デストロン自治区代表、オクトーン総帥にまで依頼が行ったらしい。
ちなみに経緯はこうだ。ダニエルがホットロディマスと共に魚釣りを楽しんでいたところに、ジャガーとオーバーキルにスラッグフェストと言ったカセットロンどもが現れたんだ。ホットロディマスはそいつらと交戦しつつダニエルを逃がしたんだが、隠れていたコンドルとバズソーがダニエルを拉致。
ホットロディマスは負傷したまま、ダニエルを拉致したコンドルとバズソーを追って行き、そのまんま行方不明。サイバトロン大使館に居たチャー、スプラング、アーシー、ブラーの4人もまた、ホットロディマスとダニエルを探しに出て、その足取りが消えた。
「どう思う?スカイファイアー、サンダークラッカー、ルナクローバー。」
「わたしはおそらく……。コンボイの性格からして、何を置いても人質の命優先だろうね。そこを突いて、ダニエル少年とマトリクスの交換を言い出すんじゃないかね。」
「俺もそう思うぜ。だがそれを許せば……。メガ、いやガルバトロンはマトリクスさえ手に入ったら、人質を素直に返すどころか……。」
「ですよねー。人質を返すぞとか言ってコンボイに放り投げて、慌てて受け止めようとしたところを両者諸共にビームで一撃!とか。」
「「「ルナクローバー……。」」」
いや、その意見っつうか考察は正しいとは思うが。言い方考えようぜ。
「さて、そうなると俺たちNAILの動きだが……。今シックスショットとその配下たちが、四方八方手を尽くしてガルバトロン派の動きを探っている。更にホットスポットたちプロテクティコンの指揮下で、全天をくまなく走査してユニクロンの影を追い求めている。」
「オンスロートたちコンバッティコンは、大至急で完成間際の対惑星破壊兵器群の仕上げと、既に完成している兵器の調整を行っているよ。」
「了解だ。デストロン自治区の連中は?」
「最初は乗り気じゃ無かったみたいだが、オクトーン総帥が熱弁をふるったらしいぜ。曰く、『サイバトロンに自分たちの力量を見せつける
「カセットロンとかの諜報要員を旧メガトロン派、現ガルバトロン派に持っていかれたんで、個々
ハイパードライブとかストームクラウドとかが接触して、情報もらってるみたいですねー。リフレクターはその情報を流す事で、オクトーン総帥側に寝返りたいみたいですよー。」
NAILにそれが知られてるのは、まあシックスショットの構築した諜報網の成果だ。あいつの参入は、NAILにとって凄まじく大きな意味があったと言える。
「ふむ……。今の所、やれる事はやった、って感じか。」
「そうだね。後は……おっと。」
スカイファイアーが何か言い掛けたとき、通信装置が呼び出し音を立てた。俺は急ぎそれに取りつくと、スイッチを入れた。壁の
「スペースパンチ!」
『こちらスペースパンチ、リーダー・スタースクリーム、お久しぶりです。』
こいつはダブルスパイとか役職名がついてたが、実際の所普通のスパイだ。だって、本物のダブルスパイと違ってこっちの情報を敵側に流したりしてねえもんな。ちなみにシックスショットの配下としてスカウトした隠密部隊の1人で、その中でも最優の腕利きだ。
ある意味で3つの形態に
「急な連絡、何事だ?あまり頻繁にこちらに連絡を取ると、やばいだろう。」
『実は……。』
そうして明かされたスペースパンチの報告は、確かに重要な案件だった。本来ならコンボイとも連携を取りたいところだが、時間が無え。既にコンボイは『現地』に出立してるらしいしな。
「そうか、何時もご苦労スペースパンチ。お前のおかげで、助かっている。」
『いえ、それほどで……いけない!トランスフォーム!ではこれで!』
画面の向こうでスペースパンチがカウンターパンチに
『こちらデストロン自治区政庁、総帥のオクトーン。NAILリーダー・スタースクリーム殿はおいでか?』
「おっと、オクトーン殿か。済まないが、こちらの調査で緊急の事態が明らかになったんだ。そちらが緊急でなければ、また次の機会に……。」
『いや、こちらも緊急事態でね。先にホットラインを通じてサイバトロンに連絡しようとしたんだが、既にコンボイ司令は出立してしまった後だとエリータ・ワン長官代行が。』
もしかして、同じ用件か?俺とオクトーンは、急ぎ話の内容を確認し合う。その結果、オクトーンの話はあちらがリフレクター経由で得た情報に関してだった。その内容は、こちらがスペースパンチから教えられた情報と同じだ。
『そちらでも情報を掴んでいたのか。』
「……オクトーン殿、手伝う気はあるか?」
『そう、だな。上手く行けば、サイバトロン自治区に貸しが作れるな。』
「じゃあ、そっちに俺、いや、わたしの超空間ゲートで迎えに行く。」
『わかった、準備をして待っているよ。』
通信は切れた。さて、コンボイを救いに行くとするかね。
ここは惑星ジャンキオン。宇宙のガラクタ置き場だ。ゴミ捨て場と言ってもいいだろう。そこでガルバトロンが、左手でダニエル少年を捕まえて適当なスクラップに座っている。周囲にはサイクロナスと、スカージ率いるスウィープスが
「ダニエ……!!」
「おっと、今飛び出しちゃ、いかんぜ。」
「むぐ……!?」
「今は我慢の時だ。
俺は今まさに物陰から飛び出そうとしたホットロディマスの口を押さえて、耳元で言ってやった。ホットロディマスは、しばし考え込んだが、頷く。俺はこいつの口を放してやった。
「……おまえは、スタースクリーム。」
「正解。」
「なんでお前がここに……。」
「お前らからすりゃ、俺は『敵の敵』だ。だからだ。……もう喋るな。
そして俺たちは待ち続ける。そこへ小型の宇宙船が着陸し、中からコンボイ、マイスター、アイアンハイド、グリムロック、バンブル、そして大人になったスパイクが出て来た。
「来たぞメガトロン、いやガルバトロンだったな!」
「ふははは、歓迎しようコンボイ。さて早速だが、お前の持つサイバトロンのマトリクスをわしに渡してはくれないかね?」
「何を馬鹿な!貴様になど……。」
「俺グリムロック、おまえ叩き潰し……。」
「おおっと、アイアンハイドにグリムロック。わしの手にダニエルが居るのを忘れては困るな。」
そしてガルバトロンの左手の握力が強められる。ダニエルの悲鳴が響いた。
「ダニエル!!やめろガルバトロン!息子を放せ!」
「く、ひ、卑怯者め!」
「ふははは、さあコンボイ。どうするね?」
「だ、だめだよ司令官!僕のことはどうだってうわあああぁぁぁ!!」
「余計な事を言ってはこまるなあダニエル。」
そしてコンボイは、無言で自分の胸板に手をかけて、それを開くとマトリクスを取り出す。
「いい子だ、コンボイ。それをこちらへ放ってもらおうか。さもないと人質が……。」
「うあああぁぁぁ!!ぎゃあああぁぁぁ!!」
「だ、ダニエルぅっ!!やめろガルバトロン!!」
「く……。」
コンボイが、マトリクスを放り投げた。全員の視線がソレに集まる。俺はホットロディマスの背中を叩いてやると、物陰から飛び出した。
「フォースチップ!イグニッション!ヴァーテックスキャノン……ブレイドぉ!!」
そして背中のチップスロットにフォースチップが叩き込まれ、ヴァーテックスキャノンとヴァーテックスブレイドが展開。その勢いで、俺はガルバトロンの左手首を斬り落とす。
「ぐわぁっ!?わ、わしの手が、手があああ!!」
「そんなに欲しけりゃ、返してやるよガルバトロン!」
そう叫んだのは、俺と同時に飛び出してダニエルを握っていた左手首を捕まえた、ホットロディマスだ。ホットロディマスはダニエルを救出すると、ガルバトロンの左手を奴の顔目掛けて投げつける。ガルバトロンは自分の左掌で顔に目隠しをされてひっくり返った。
俺は俺で、空中でサイバトロンのマトリクスを掴まえると、それをコンボイに投げ返す。
「コンボイ!お大事のマトリクスだ!しっかりしまっとけ!」
「お前は!スタースクリーム!なんでここに!」
「ご挨拶だなアイアンハイド!ちょっと能力的に、他の面々だとこの役割は荷が重かったんでな!」
「スタースクリーム、感謝しておこう!ガルバトロン、覚悟しろ!」
ここでサイクロナスが叫んだ。
「馬鹿め!万が一に備え、こちらも準備をしてあるのだ!出ろ!デストロン軍団!」
「「「「「「うおおおぉぉぉ!!」」」」」」
ガラクタの山の下から、デバスター、メナゾール、その他ガルバトロン派のデストロンが姿を現す。だがそうはいかん。俺は発信機のスイッチを入れ、『味方』に合図を送る。果たしてガラクタの下から、頼もしい『味方』が出現した。
「今だ!テラートロン部隊、トランスフォーメーション!!オボミナスだ!!」
「「「「「ぐおおおぉぉぉ!!」」」」」
「な、貴様オクトーン!裏切り者が!」
「ガルバトロン。悪いがね、あんたとはセイバートロン星のデストロンたちは縁を切ったんだ。あんたはもう、ただのテロリストなんだよ。」
メナゾールの背後から、オボミナスが組み付いて叩きつける。更にデバスターを相手にすべく、これもガラクタの下からプロテクティコン部隊が現れて合体した。
「プロテクティコン、ユナイト!ガーディアンだ!」
「「「「おおー!!」」」」
「ぐ、ぐあ……。ま、まずい……。」
「い、何時から隠れていたのだ!」
サイクロナスが慌てる。いや、お前らが部下を伏せるその1時間前かな。俺が超空間ゲートの連続使用で超特急で惑星ジャンキオンまで来たんだ。流石に疲れたし、エネルギーがそろそろ
そしてガルバトロンが叫んだ。
「え、ええい!デカブツどもの相手は巨大兵士に任せて置け!他のやつらには構うな!コンボイだ、コンボイを倒してマトリクスを奪うのだ!」
「おい、コンボイ。俺は皆を運んで来るんで、エネルギーを随分使っちまったんだ。あの
「ああ。あの程度、造作もな……。」
その時だ。
「イイイヤァッホーーー!!」
「ヒャッハアアアーーー!!」
「オララララーーー!!」
「司令官ーーー!!」
「助けに来ましたよーーー!!」
ありゃ?ありゃ惑星ジャンキオンに生息してるトランスフォーマー、ジャンキオンどもだ。バイク形態のあいつらに乗ってるのは、ジャンキオンのリーダーであるレックガーやその女友達のナンシーは当然として、なんでチャーやブラーやアーシーやスプラングやウィーリーが?もしかして、宇宙共通の挨拶『バーウィップ・グラーナ・ウィー・ピニボン』が上手く行ったのか?
ジャンキオンどもの介入で、完全に流れはこちらを向いた。デバスターがガーディアンに敵うはずも無く、叩き潰された後はもうこっちのもんだった。ガルバトロンは、引き攣った声で叫ぶ。いや、叫ぼうとした。
「で、デストロン軍団!
『……また失敗か。』
その時だ。強圧的な声が響いた。ガルバトロンは、その声に立ちすくむ。
『貴様には、ほとほと呆れ果てたぞ。』
「は、あ、うぁ!」
『貴様などを用いたのが誤りであったわ。見せしめに、セイバートロン星を喰らってくれようぞ。』
「はあぁっ!!そ、それはおゆるしを!やめ、やめてくださ……ぎゃあっ!?」
ガルバトロンの頭部が激しい放電を放つ。
『貴様がマトリクスを手に入れて、反乱を企てている事など、知らぬとでも思ったか。』
「お、おゆるしを!もう、もう逆らいません!ぎゃあああ!ぐあああ!!」
「い、いかん!デストロン軍団、
「うわあぁ!!」
「ひえええ!!」
サイクロナスが代理で発した命令に従い、ガルバトロン派の面々は必死で飛び去って行った。ただしリフレクターの3人以外。ガルバトロンは、サイクロナスが
それっきり、あの強圧的な声は聞こえなくなる。俺はコンボイに叫んだ。
「今のあの声は、間違いない!ユニクロンだ!セイバートロン星が危ない!」
「うむ!急いで帰るぞ!」
「おい、エネルゴンはあるか!あったら寄越せ!超空間ゲートを連続で開くには、残りエネルギーが
バンブルが慌ててエネルゴンキューブを持って来る。俺はそれを一気に飲み干した。ちょっと
「なんでこいつらが!?」
「そいつらが、ガルバトロン裏切って情報をくれたから、俺たちの助けが間に合ったんだよ!」
「……。」
ぐうの音も出ない様だ。ま、俺たちとしてはスペースパンチの事は教えるわけに行かないからな。そして俺は号令をかけた。
「いくぞ
「当然アルよ。友の友は、皆、友ネ。」
「義理がてえこって!」
俺は超空間ゲートを開く。そしてそれに俺、
俺たちは、セイバートロン星目指して飛んだ。
ついにユニクロン行動開始!ガルバトロンはどうなるのか!そして定員オーバーのサイバトロン宇宙船と、オンボロもいいところのジャンキオンロケットは、セイバートロン星に到着できるのか!?主人公スタスクのエネルギーは保つのか!?
そしてそこはかとなく大活躍のオクトーン。がんばれオクトーン。ついでにリフレクター。