なんとか間に合った。俺たちがセイバートロン星に到着した時は、太陽系天の南極方向から迫りくるユニクロンに、セイバートロン星と地球の周辺に配置された対惑星破壊兵器群が、その大火力をブッ放しているところだったんだ。
「おお!スタースクリームたちが帰ったぞ!」
「おかえりなさいコンボイ!」
「やった、オクトーン総帥だ!」
「助かった!やっぱ俺たちにゃ総帥代理はキチぃぜ。」
俺たちはNAILの政庁であり、中央軍事基地でもあるNAIL中央研究所へと入る。今ここでは、スカイファイアーやエリータ・ワン、デストロン自治区のNo.2とNo.3であるラナマック、ラナバウトが協力して指揮を執っていた。俺は指揮を引き継ぐと、声を張り上げる。
「戦況は!?」
「まずいね。これを見てくれ。」
スカイファイアーが録画を壁面のスクリーンに出す。対惑星兵器のうち、巨大マスドライバー砲や、超大型反粒子ビーム砲は効果を上げていた。一時的に。
いや、一時的なんだよ。ユニクロン表面に着弾したそれらは、凄まじい破壊力を見せた。だけどユニクロンの奴、傷口が青色の光に包まれたかと思ったら、ウニョウニョと傷口が
「これは……。む?反物質弾頭を敵の体内に放り込む、スペースブリッジ砲は?」
「駄目なんだ。照準が敵の体内に、どうしても合わない。」
「どうやら敵の体内は、なんらかの空間歪曲場が働いている模様だ、ボス。おそらくは空間転移の類を阻害する目的の物が……。」
オンスロートが残念そうに言った。俺は数瞬考えて応える。
「だったら敵表面に照準を合わせて、スペースブリッジ砲を叩き込んでやれ。こうなったら、奴のエネルギーが尽きるか、こっちの弾が尽きるかの根競べ勝負だ。再生力が働かなくなるまで、全火力を叩き付けろ。」
「「「「「「了解!!」」」」」」
「それと地球の月は?」
「角度が悪くて、奴がセイバートロン星に到達するまでの間に1発しか撃てねえそうだ。」
サンダークラッカーが答える。地球の月、とは俺たちトランスフォーマーの技術をもって地球の月の直径分を掘り進み、大穴を開けて完成させた超々々長砲身の
「そうか。撃てる間合いに入ったら、あっちのタイミングで射撃してもらうように伝えてくれ。」
「了解だ。」
「お疲れでしょう、スタースクリーム様!エネルゴンお持ちしました!」
「サンキュ、ルナクローバー。」
いや、マジで助かったわ。実を言うと、超空間ゲート連続で作ったから、エネルギー枯渇寸前、腹ペコだったんだよな。だが、もしかしたらまた、似たような事やらにゃならんかも知れん。
「……これは最後の手段なんだが。コンボイ、オクトーン、お前らも聞いてくれ。」
「何だ?スタースクリーム。」
「スタースクリーム殿、どんな考えかね?」
「ユニクロンがセイバートロン星の近くまでたどり着いちまった場合の話だ。実は……。」
いや、『わたしに良い考えがある!』って言ったわけじゃねえが。説明を聞いたお前ら、なんでそんな驚愕した顔すんだよ。
「……力技ね。」
「そうだな、エリータ・ワン。だが確かに、最後の手段だな。しかしそれでも、サイバトロン軍団としては異存はない。」
「……いいだろう。デストロン自治区の者達は、その作戦に乗ろう。愉快な案では無いですか、スタースクリーム殿。」
俺は頷いた。
「そうだろ?んじゃあ作戦参加者を選ばにゃならんな。志願者を募るのは、やっぱ駄目だよなあ……。」
「何故かね?スタースクリーム殿。」
「いや、あれだと作戦参加の責任がよ、個々人にあるじゃねえか。大昔の戦史だとよ、志願をしないと卑怯者だーみたいな雰囲気を作り上げといて、志願を強制する上役とか居たらしいぜ。しかも自殺的な作戦によ。
だから俺は、志願者は募らねえ。あくまで作戦目的に沿って、能力的な面から選んで、命令して参加させる。責任はあくまで、俺にあるんだ。第一、自殺的な作戦であるつもりは全く無いからな。目標は、全員生還の上でユニクロン撃破だ!」
「「「「「「おおーーー!!」」」」」」
全員が、俺の叫びに唱和した。
そしてついに、ユニクロンがセイバートロン星の間近までやって来やがった。だけど地球の月から発射された陽電子流による一撃は、さすがのユニクロンでもこたえたらしい。まん丸い胴体に開いた大穴は、それでも青の光に包まれて自己修復しちまったが、明らかにその速度は遅かった。奴はエネルギーを補給しようとでも言うのか、まずセイバートロン星の4つある金属の月のうち1つに噛り付きやがったんだ。
そしてスカイファイアーの命令で、ブラックホール炉衛星のうち1つ、人工ブラックホールを使ったうちの1基が惑星モードのユニクロンの背中に突っ込んで暴走を始める。重力バリアが破壊されて、ブラックホールがユニクロンの背後に突っ込んで、そこで炸裂したんだ。ユニクロンは、叫んだ。そらそうだろう。1個のブラックホールが、自分の脾腹で蒸散し、その質量をエネルギーに変えて炸裂したからな。
いや、ブラックホールってのは誤解されてるところもあるけれど、充分にその質量が小さいと、あっと言う間に蒸散してエネルギーを吐き出して消滅するんだわ、これが。ブラックホール炉では、送り込んでブラックホールを維持するための物質の量と、蒸散して吐き出されるエネルギーの量がつり合い取れる様に調整してるんだけどな。
『お、おのれえええぇぇぇ!!』
おお、怒った怒った。奴は惑星サイズの人型ロボットに変形しやがった。いや、すげえ迫力だ。けれど背中部分に、でかい穴が開いてやがる。傷口は青い光に包まれて修復しつつあるが……。
「行くぞ!NAIL防衛軍突入部隊!」
「続け!サイバトロン戦士アターーーック!」
「デストロン軍団!遅れるな!」
俺が開いた超空間ゲートを通って、俺たちユニクロン内部突入部隊が奇襲をかけたんだ。ちなみにゲートの出口は、奴の背中の傷口近くに開かれている。奴の体内には直接空間転移の類は効かねえって言ってもだ。奴の外側ぎりぎりになら、超空間ゲートを開けるんだよ!
おまけに、無人操縦のジャンキオンロケットとか無人操縦のサイバトロン宇宙船とか無人操縦のデストロン宇宙船とか無人操縦のNAIL宇宙船とかを真正面から突っ込ませて、陽動を図っている。ユニクロンはその両目から破壊光線を発し、次々に宇宙船を撃破して行った。ちなみにジャンキオンロケットは、後でNAILで弁償する事になってる。
そして俺たちは、ユニクロン内部へと突入したんだ。そう、俺たちの作戦ってのは、ユニクロンを内部から破壊する事なんだ。俺たちが突入した数十秒後、俺たちの背後で傷口が再生、出口は無くなった。
俺たちは、二手に分かれた。コンボイとオクトーン率いる、ユニクロン動力攻撃隊と、俺の率いるユニクロン頭脳攻撃隊だ。オクトーンは元々補給兵の役職だった事もあり、エネルゴンの流れには鼻が利く。体内の防衛システムは、オメガスプリーム、エアーボット合体戦士スペリオン、テラートロン合体兵士オボミナスの3体の巨大戦士を想定していなかった模様で、奴らはビーム砲も電撃放射も物ともせずに突き進んで行った。
一方の俺たちは、コンバッティコン合体闘士ブルーティカスとプロテクティコン合体闘士ガーディアンを前面に立てて、全力でユニクロン頭部を目指す。急がねえとならねえ。はやいとこ決着をつけねえと、外で戦ってる連中がやべえ。俺が超空間ゲートを作らんといかんので、スカイファイアーに全体指揮を委ねて来たが……。
「スタースクリーム!あれを見てくれ!」
「どうしたサンダークラッカー……!!」
だだっ広い部屋に出た。距離的には、既に頭部に入ってるはずだ。そしてそこに居たのは……。
「……ガルバトロン!!」
「う……あああ……。コロス、スタースクリームもコンボイも……。」
「な、何アレ、キモっ……。」
いやルナクローバー、それは同意だが。やはりここに居やがったかガルバトロン!けど様子が変だ。全身にエネルゴンのケーブルが巻き付いている……?……!!こいつSFガンに
「ガーディアン!フォースバリアーを!」
「了解!フォース・バリアー!!」
「が、があああぁぁぁっ!!」
ビギュウウウン!!ガシャーーーン!!
「うあああっ!?」
「ガーディアン!!」
「だ、大丈夫です!全力のフォースバリアーのおかげで……。ですが、一撃でわたしのフォースバリアーが……。」
馬鹿な!いくらなんでもガーディアンのフォースバリアーが一撃で……!?いや、現実を見ろ、俺!いくら理不尽でも、現実にある事は現実なんだ!……そうか!
「ブルーティカス!ガーディアン!
「「「「「「了解!セパレート!!」」」」」」
そうか、奴め……。ユニクロンそのものから、エネルギーを供給されて、あれだけの威力の砲撃を……。身体から黒煙を噴き出してやがるが、それでも奴は2射目のエネルギー充填を始めた。
「へ、どうしたね破壊大帝。そんな様子で、俺に命中させられるとでも?」
「ス、ター……スクリーム……。こ、ろ、す……!!」
「ボス!挑発なんてして、ど……。」
「お前らは『上』を目指していけ!サンダークラッカー、こいつらの指揮を任せる!
ほら、こっちだこっち!お
「ぐあああぁぁぁ!!」
ビギュウウウン!!ドッゴオオオアアアォォォァァァン!!
俺はからくもガルバトロンのビームを
『ぐあああぁぁぁ!?ば、ばかものがあああ!!』
「へっ、ビンゴ。サンダークラッカー!ルナクローバー!俺がこの
「りょ、了解だスタースクリーム!トランスフォーム!NAIL防衛軍、アターック!!」
「「「「「「おおーーーっ!!」」」」」」
「す、スタースクリーム様!」
「ルナクローバー、お前も行け!なあに、
「!!」
セイバートロンヘリに
「さあて、これで1対1だ。」
「オ、ノ、レ……。スタースク……リイイイィィィムウウウゥゥゥッ!!」
「フォースチップ、イグニッション!ヴァーテックスキャノン!ブぅレイドおおお!!」
激闘が始まった。
さて、俺はボロボロになっていた。だが、ガルバトロンもまたズタボロになっていた。そらそうだろう。全部
お互いにクリーンヒットは1発も無い。それなのに、俺は全身
「ぐうう……。があああぁぁぁあああ!!」
「こんのウスノロめ!」
こいつは動きは鈍い。なんたって、身体中にエネルギー供給用のエネルゴンケーブルが巻き付いてるからな。だけどそれによって供給される莫大なエネルギーで、こいつのパワーはとんでもない物になってる。捕まっちまったら、ヤバい。そのまま叩き潰されるのは見えてる。
それだけじゃない。俺は何度かヴァーテックスキャノンを命中させてはいるんだが、こいつの身体に巻きついたエネルゴンのケーブルがエネルギー系の攻撃からこいつを護っている。ほとんど効果が無えんだ。ガルバトロンはボロけちゃいるし、煙を噴いてもいるが、しかし活動は続けている。ちょっとこのままだと、ジリ貧か?
「く、だがなあ!
「が、ががっ!?」
俺は右のヴァーテックスブレイドで、エネルゴンのケーブルを断ち切る。そのケーブルは、ユニクロンの一部らしく青い光に包まれて再生しようとするが、俺はそれを握りしめると念を凝らした。凄まじいエネルギーの奔流が、俺の体内を焼き焦がしつつ、流れ込んだ。
「ぐ……ぎゃあああ!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!」
俺はみっともなく、悲鳴を上げる。いいさ、みっともなくたって。だけど、一瞬でいいんだ!このエネルギーが必要なんだ!俺はそのエネルギーを左のヴァーテックスキャノンに、全部注ぎ込んだ。
ダギュウウウゥゥゥ……ン。
「……貴様は。スター……スクリームか。」
「目が覚めたか。」
「く、くく……。最後の最後で、な。」
ガルバトロンの腹が無くなっていた。下半身は膝立ちの姿勢で蹲り、その足元に上半身が転がっている。俺が、ヴァーテックスキャノンを限界ぎりぎりの出力で撃ち放ったのだ。そしてその時、エネルゴンのケーブルは断ち切られていた。防護の力は、かなり減退していたはずだ。
「わしは……。敗れたか……。」
「ああ。」
「だが、一度や二度の敗北で、わしは諦めはせんぞ……。いつか、いつか宇宙をこの手に……。」
バチバチバチッ!と奴の前頭部で、火花が散る。そして奴は哄笑した。
「ふははは、ははははははははは!!がははははははははは!!わしは、余は全宇宙の帝王!!破壊大帝ガルバトロン!!ふはははははははは!!ははははははは!!ははは……。」
そして笑声は止まった。奴の眼から光が消える。俺は立ち上がった。……
そして俺は
俺がユニクロンの脳室にたどり着いたのと、ユニクロンの電子頭脳が俺を除く全員の砲撃で破壊されるのは、同時だったらしい。ユニクロンの『や、やめろおおおぉぉぉ!!』と言う断末魔っぽい叫びが聞こえて来たから、間違いないだろう。
「おお、ボス!」
「酷い
「いや、流石にユニクロンのエネルギー借りたガルバトロン相手は、ちょっとだけキツかった。」
軽口を叩き、俺は周囲を見回した。そして俺は叫ぶ。
「全員!撃て撃て撃てー!!ユニクロンの電子頭脳の、再生を許すなあーっ!!」
「な、なん……!?」
「げげっ!ほ、ほんとに……。う、撃て撃て撃てー!」
ユニクロンの電子頭脳は、少しずつだが、本当にゆっくりと、青い光に包まれて再生を始めていた。だがその速度は遅い。流石に他の部分ほど簡単に再生はできない様だが……!!
「……!?」
その時、俺は見つけた。破壊された電子頭脳の中枢に、輝く光球があるのを見たんだ。あれは……まさか!
「フォースチップ!イグニッション!ヴァーテックスキャノン!ブレイドおおお!!」
「スタースクリーム様!?」
「スタースクリーム!!」
「ボス!」
「リーダー!」
「お前らは、撃ちまくってろ!あれは、もしや、まさか!!」
俺はその光球に、ヴァーテックスブレイドの切っ先を突き立てた。そして周辺から、ユニクロンの脳内で生成される妨害物質、アンチ・エレクトロンが俺めがけて降り注ぐ。俺の身体は、勝手に中途半端な
「ボス!!」
「近寄るな!こいつはアンチ・エレクトロンだ!それよりか、俺がこいつを潰し終わるまで、ユニクロンの電子頭脳を再生させるんじゃねえぞ!こいつは阿呆みたいなパワーは持っていても、実体の頭脳が無けりゃあ『考えて』行動する事ぁできん!本能的な行動しかできねえんだ!」
俺は光球に突き立てたヴァーテックスブレイドに、必死にエネルギーを送り込む。このスパークに。そう、こいつはユニクロンのスパークだ。間違いない。これを潰しちまえば……。潰しちまう事ができれば……!!
そして俺は、不思議な空間にいた。目の前に、『あらゆる時空の監視役』であるベクタープライムが立っている。
『ここは……。』
『君は、見事に使命を果たしてくれた。ユニクロンを倒すと言う。』
『そうか……。俺は、死んだのか?』
『ああ……。ユニクロンのスパークと、相打ちになってね。』
俺は肩を竦めた。
『それはそれで、仕方あんめえよ。』
『随分と、あっさりしているんだね?』
『まあな。オールスパークは、どっちだ?そこへ去らにゃ、いかんのだろう?』
『ああ、それはあっちの方だよ。』
『サンキュ……。』
そして俺はそちらを向いた。
そして『ソイツ』の口から、断末魔の苦悶が漏れる。
『ど、どうし……て……。わか……った。』
『ベクタープライムは、右利きだ。
背後に突き出した、ヴァーテックスブレイドが『偽』ベクタープライムの腹を貫いている。今しも俺に斬りかかろうとしていたそいつの姿は、ゆっくりと俺と同サイズのユニクロンに変化して行った。
『あとは、ベクタープライムならホラ、そこにいるからな。』
『な……!!』
俺が指差した先には、半透明のベクタープライムが、微笑みを浮かべていた。
『お、お、オ、ノ、レエエエぇぇぇえええっ!!』
その瞬間、俺は現実空間に引き戻され、ユニクロンのスパークが爆発した衝撃で吹き飛ばされていた。
そして俺は今、アルファートリン、ラチェット、ファーストエイドの3人がかりで、徹底的な治療を受けている。ルナクローバーがかいがいしく世話を焼いてくれるのが、何と言うかこそばゆい。
「もう退院しても、かまわんのじゃないか?」
「そうは行かぬよ。かなりの間、アンチ・エレクトロン
「どんな後遺症があるか、わかったもんじゃない。」
「そうですよ、リーダー。きちんと徹底的に調べられててくださいな。」
そんな事言ってもよ。ユニクロン撃破の祝典もあるし。仕事が沢山溜まってるんだけどよ。
うん、ユニクロンは撃破された。表向きは、オクトーンの案内でコンボイたちが主力になってエネルギー炉とエネルギー貯蔵庫を破壊、それと同時に俺たちが頭脳を破壊した事で、ユニクロンの再生が止まって、大爆発を起こした事になってる。
コンボイたちは全員オメガスプリームが
うん、ユニクロン退治は、皆の手柄だ。うん。ちなみに祝典は、ヒーローたる俺が退院するまで待つらしい。いや、ヒーローは柄じゃないんだが。
そして
……右腕が、肘から先だけデカくなった。俺は急ぎ、元の大きさまで縮める。
「悪神ユニクロンと善神プライマスって、存在のマイナスとプラスの違いと現実世界での
トランスフォーマー・ギャラクシーフォースで、GFスタスク……スーパースタースクリームが得た能力。『プライマスのスパーク』で得られたパワーで、身体を全体的にとか部分的にとか巨大化させる能力。……『ユニクロンのスパーク』でも、同じ事できてもおかしか無えよなあ。このG1世界線には、プライマス居なさそうだけどよ。
おい、ベクタープライム。これもお前が仕組んだ事か?俺は深く、溜息を吐いた。
ベクタープライムの情報を集める為、「ベクタープライム」でぐぐったら、株式会社ベクタープライムとか言う人材派遣会社があって、びっくり(笑)。