我が名はスタースクリーム   作:雑草弁士

21 / 25
第21話:湧き上がるパワー

 西暦2006年。今俺の眼前には、平和の星アセニアの風景が広がっている。ここで、サイバトロン発案によるオリンピック大会が開かれているのだ。無論、俺たちNAILも協賛し、デストロン自治区の連中も賛同し全面協力している。……2010年になって無えのに『2010』的なストーリーが始まってるけど。この世界は、どうやら日本版ストーリーと海外版ストーリーの折衷(せっちゅう)みたいだな。

 ちなみに警備については、デストロン傭兵が格安で請け負ってくれた。オクトーン総帥の外交手腕は、なかなかの物だ。サイバトロンのシティーコマンダー、ウルトラマグナスが叫ぶ。

 

「諸君、ここであのユニクロン戦争における3人のヒーローを紹介しよう!最終局面で各々の軍勢を率い、先頭に立って内部よりユニクロンを破壊したサイバトロン総司令官コンボイ!デストロン総帥オクトーン!NAILリーダーのスタースクリーム!」

「慣れねえなあ……。」

「昔のお前、いや君は、こう言うのを望んでいたのではなかったか?」

「400万年前とは、ずいぶん変わったね。」

「昔の事は言いっこなし。今思うと、顔から火が出そうだ。」

 

 そして大会が始まった。コンボイ、俺、オクトーンが軽めの短い演説を行い、競技がスタートする。俺たちは、VIP席から観覧していた。と、俺に通信が入る。

 

『リーダー・スタースクリーム殿!』

「シックスショットか。どうだ?」

『おっしゃる通りに、テロを(たくら)むタチの悪い傭兵宇宙人を発見!取り押さえ、デストロン傭兵の警備に引き渡してござれば。』

「いつも済まねえな。ただ、そいつだけとは限らねえ。大変かも知れんが、引き続き陰からの警戒を頼んだ。」

『はっ!おまかせあれ!』

 

 オクトーンが申し訳なさそうに言う。

 

「すまないね、スタースクリーム殿。今の我々(デストロン)は、リフレクターたちが頑張ってくれてはいるんだが、やはりからめ手に弱くてね。」

「なあに、いいって事よ。それよりは、真正面からの警備をしっかりしてくれりゃ充分さ。」

「だがスタースクリーム。シックスショットが『おっしゃる通りに』と言っていたと言う事は、やはり……。」

 

 コンボイの問いに、俺は頷く。

 

「まず十中八九、クインテッサ星人の仕業だろう。全ての悪業を、あいつらのせいにするのは何だが、今回は間違いねえと思う。」

「クインテッサ星人か……。我々すら知らない、アルファートリン様時代の超ロボット生命体たちの仇敵……。」

「そんな過去の遺物に、現在とそして未来を台無しにされるわけにはいかないね。」

 

 俺たち3人は、頷き合う。各陣営のトップ3人……あ、いやコンボイは今の所は軍事司令官であって、政治トップはエリータ・ワンなんだが。だけど最近は事実上、徐々にエリータ・ワンから権限を委譲されているらしいんだな、これが。

 本人としては、まだガルバトロン派生き残りが蠢動している事と、クインテッサ星人の魔の手が迫っていると俺が警告した事で、軍務に専念したがっていたんだが。なまじユニクロン戦争でヒーローになっちまったせいで、政治面でもトップに立たざるを得なくなったらしい。

 ま、何にせよ各陣営のトップ3人の意思統一は、非公式ながら()された。デストロンとサイバトロンの下に居る面々の統率とか説得とかは、こいつら(コンボイとオクトーン)に丸投げだ。俺だって、NAIL内の事で色々忙しいんでぇ!あ。ホットロディマスが3,000m障害で1位を取った。さすがイカレ暴走族(ホットロディマス)

 

 

 

 オリンピック大会終了後、セイバートロン星に戻った後の事だ。急にコンボイから連絡があった。惑星ジャールを監視していた、カセットボット部隊からの緊急通信で、ガルバトロン派連中の生き残りが惑星ジャールから姿を消したとの事だ。

 いや、実を言えばその後俺も、スペースパンチからの非常暗号通信で、もう少し詳しい事知ったんだけどな。クインテッサ星人が大量のエネルゴンキューブと引き換えに、兵力としてガルバトロン派残党を雇ったって。

 本当にスペースパンチには、頭が下がる。あんなに無私の忠誠心を向けてくれるなんてな。奴は困窮するガルバトロン派に潜り込んだまま、今しも飢え死にしそうな状況下で、ガルバトロン派から疑われないためにNAIL(おれたち)からのエネルギー供給すら拒んで諜報活動を続けてくれてるんだ。どうしたら、奴に報いる事ができるのか。

 スカイファイアーに相談したら、「NAILを、道を誤らせずにきちんと統率していく事だろうね。」だそうだ。そうだな、スペースパンチも、その上官シックスショットも、俺たちNAILに賭けてくれたんだ。その賭け、大当たりにしてみせなくちゃな。

 さて、まずはコンボイとオクトーンに、この情報を教えておかなくちゃいかん。スペースパンチの事は教えられなくても、そのもたらした情報は教えて共有しておくべきだ。意味もなく隠しておいて、信頼を損なっちゃあイカン。

 

 

 

 俺、コンボイ&エリータ・ワン、オクトーンはホットラインを通じて3陣営のリーダー会議を開いた。そして皆が、近いうちに予想される、クインテッサ星人とガルバトロン派残党の襲撃に備えるべきだと言う事で合意したんだ。

 

『予想される攻撃手段は何だと思うかね。』

「たとえば事故を起こしたシャトルを装って、緊急着陸許可をもぎ取ってそいつが重要施設に突っ込むテロを起こし、その隙に攻撃を仕掛けて来るとかはどうだ?」

『ありそうな手だね、スタースクリーム殿。』

「まあ、あくまで一手段だがな。要はテロを起こし、それによって隙を作って攻めて来るって事だが。そしてクインテッサ星人と組んでるって事ぁ、もしかしたらセイバートロン星地下に存在するかも知れない、俺たちトランスフォーマーを瞬間凍結しちまう瞬間凍結装置を狙ってるかも知れねえぞ。クインテッサ星人は、その事をデストロンにゃ言ってねえだろうが。」

 

 俺は『2010』のアニメで実際に行われた、デストロン軍団によるセイバートロン星襲撃作戦を語ってやる。コンボイ、オクトーンは頷いた。ちなみに、瞬間凍結装置については未だ発見されてない。セイバートロン星を平定して後、探して破棄するために必死になって探してたんだがな。仕方ねえから、探索が完了した領域(エリア)から地下は立ち入り禁止にして、NAIL防衛軍が警備してる。

 その時だった。画面向こうから、爆音が響く。

 

『どうしたウルトラマグナス!』

『も、申し訳ありませんコンボイ司令官!サイバトロン自治区宇宙港に、エンジントラブルで着陸許可を求めて来たシャトルがあって……!そいつが着陸せずにエネルゴン貯蔵庫に突っ込んで大爆発を!』

「!!コンバッティコン!対宙監視レーダーだ!」

「了解ボス!……なんだこの大艦隊は!と、突然セイバートロン星の至近距離に!なんで今まで発見できなかったんだ!!」

『すぐにテラートロン部隊に、出動命令を出すよ!』

 

 その時、更に悪い知らせが飛び込んで来る。

 

「ボス!緊急の暗号通信です!」

「解読に回せ!」

 

 暗号通信って事は、相手は誰だかわかってらあな。スペースパンチだ。奴がガルバトロン派残党の隙を見て、必死に送って来た通信だろう。そしてスィンドルが口籠(くちごも)る。

 

「あ、い、いえボス……。言っていいもんですかね。」

「通信中のサイバトロン自治区とデストロン自治区なら、かまわん!情報共有の方が大事だ!」

「で、では!読み上げます!『クインテッサ星人は、ガルバトロンを再生、復活。地球とセイバートロン星に同時攻撃。』以上です!」

『『『なんだって!?』』』

 

 画面向こうで、コンボイ、エリータ・ワン、オクトーンが叫んだ。……叫びてえのは、俺の方だ。こんなことなら、ガルバトロンの死体を破壊しておくんだったよ。まったく。

 

「コンボイ!地球の護りは!?」

『地球人の地球防衛軍との合意の下、セイバートロン星でベクターシグマの下で造り上げた、特製のプロトフォームをもとにスクランブルシティを建造しているのは知っての通りだ。だがスクランブルシティの最重要パーツの1つ、トランスフォーム・コグが、まだあちらに届いてない!』

『コンボイ司令!トランスフォーム・コグは今こちら(セイバートロンせい)にあるのかね!?』

『ああ、オクトーン総帥。つい先日完成したんで、送り届けようとした矢先だった。』

『スペースブリッジの使用許可を出そう!それで地球まで一気に送り届けるんだ!』

 

 今、セイバートロン星にあるスペースブリッジは、建設中の物を除いてはデストロン自治区に移築されたデストロン本部基地の物だけだ。サイバトロン自治区やNAIL領域にも、スペースブリッジ本体は建設中なのだが、まだ稼働はしていないのだ。単に、出口となる端末部分だけなら地球に幾つでもあるんだが、本体部分は流石にそう簡単には建設できない。

 

「コンボイ!エアーボットもオメガスプリームも、流石に防衛戦力に必要だから輸送任務に出せねえだろう!スカイファイアーをこっちから出す!トランスフォーム・コグをデストロン自治区まで運んでやる!」

『頼む!』

「こっちだって地球人とは仲良くやっておきてえんだよ!気に病むな!スカイファイアー、聞いてたな!?」

「ああ、今からサイバトロン自治区へ飛ぶよ。」

「任せたぞ!」

 

 スカイファイアーは、急ぎ変形(トランスフォーム)してサイバトロン自治区へと飛ぶ。一方で俺は、コンバッティコンとプロテクティコンを招集し、万が一にガルバトロン派がサイバトロン自治区以外を急襲した場合に備えて待機した。俺は超空間ゲートを開いて、急ぎ兵力を急派できるからな。

 

 

 

 そして今、俺はNAIL中央研究所を襲って来たメナゾール他少数に、ガーディアンおよびサンダークラッカーとNAIL防衛軍を充てて、ブルーティカスとルナクローバーを連れてサイバトロン自治区へと急いでいる。メナゾールは明らかに、NAILを一時的に抑えるための戦力だった。

 いや、だって戦闘バカのメナゾールにしてはあまりに消極的な戦い方だったしな。更にサイバトロン自治区の戦場から、クロミアからの悲鳴のような救援要請が届いたんだよ。あの『赤い』ウーマンサイバトロンのクロミアが、信条を捨てて俺たちNAILに救援を求めたんだ。よっぽどの事だ。明らかに、敵の主力はあちらに集中されていたんだ。

 俺たちが超空間ゲートを突っ切って現場に着いたときには、あまりの惨状に目を疑ったよ。

 

「アイアンハイド!おい、生きてるか!?」

「く、スター……スクリーム、か。何し……に、来たって……言いたいが、ぐはっ!」

「ち、酷えな。いい、もう喋るな!」

「く、ぐあ……。た、頼みたくは無いが……。た、頼むっ!北極点、でっ!コン……ボイ司令、がっ!!」

「わかった!喋るな!北極点だな!」

 

 アイアンハイドだけじゃねえ。サイバトロン戦士が多数、重傷を負って倒れ伏していた。サイバトロンの戦力の一角を担う巨大戦士、オメガスプリームまでもが、だ。

 

「ブルーティカス!ルナクローバー!行くぞ!」

「了解ボス!」

「はい、スタースクリーム様!」

 

 俺たちは再度超空間ゲートを突っ切る。そして見た物は……!!

 

「ぐおおおぉぉぉあああ!!」

「うわあああぁぁぁ!!」

「お、オボミナス!!」

「スペリオン、トランスフォーメーション!パワータイプ!」

 

 オボミナスが投げ飛ばされ、叩きつけられて5体にバラけた瞬間だった。そしてその敵も、合体トランスフォーマーだ。ガルバトロン派にクインテッサ星人がついてると知ってたんだから、こいつが居る事は想定しておくべきだったぜ。

 

「巨重合体兵……プレダキング、か。くそ、ブルーティカス!済まんが矢面に立ってくれ!コンボイ!!オクトーン!!」

「「スタースクリーム!!」」

 

 俺はコンボイとオクトーンに叫んだ。

 

「コンボイ!スペリオンはパワータイプはやめさせろ!こっちの情報によればこいつのパワーと防御力は桁が違う!パワーよりもアタックタイプで、わずかでも攻撃が通る様にするんだ!こっちのブルーティカスが盾になる!

 オクトーン!テラートロンは再合体できるか!?できないなら、その他のガルバトロン派を狙わせるんだ!再合体できるなら、そっちもアタックタイプで攻撃させろ!」

「わかった!エアーボット、アタックタイプだ!」

「こっちもわかった!再合体はなんとかなりそうだ!。」

 

 そして俺は、プレダキングの後ろに回って合体ジョイント部を破壊できるか試そうとする。

 

「ルナクローバー!背中を任せる!フォースチップ、イグニッション!ヴァーテックスキャノン……ブレイドぉ!!」

「了解です!任せてくだ、あぶないっ!」

 

 ルナクローバーが後方にビームを放つ。そちらから、ビームの雨が降り注いだ。俺とルナクローバーは間一髪、それを(かわ)す。

 

「貴様、サイクロナス!それとスウィープスども!」

「スタースクリーム、今日が貴様の最期だ!」

「スウィープスどもぉ!撃て撃て撃てー!」

 

 ち、雑魚どもの割に動きが……!いざとなったら、切り札を切る、か?巨大化を……。俺がそう思った瞬間、脳裏でベクタープライムが首を左右に振るイメージが浮かんだ。……なんだ?こんなところで使うべき能力じゃないとでも言うのか?

 

 

 

 戦いはなおも続いた。サイクロナスが、ウルトラマグナスと撃ち合っているのが見える。俺はとりあえず自由になった。プレダキングと3体の味方合体トランスフォーマーは、相打ちになった。相打ちと言うか、双方ともエネルギーを消耗して、合体を維持できなくなったんだ。今は分離状態で、ドンパチやってる。はっきり言って、消耗戦になっている。このままなら、数に勝るセイバートロン星側が有利だろう。

 そして俺に、緊急通信が入った。俺は焦って、コンボイとオクトーンを探す。……居た!

 

「コンボイ!オクトーン!」

「「スタースクリーム!!」」

「地下で警備していたNAIL防衛軍が、シャークトロン……クインテッサ星人の手下と交戦中だ!」

「「!!」」

 

 うん、しばし前にも言ったけど。『2010』の第5話で、クインテッサ星人が古代に遺した、トランスフォーマーたちをサイバトロンもデストロンも区別無く凍り付かせて生命活動を停止させるシステム、瞬間凍結装置。俺もサイバトロン自治区の連中もデストロン自治区の奴らも、皆が皆、ソレを探してたんだけどな。見つかって無えんだよ。『2010』が始まる前に、捜索して破棄しちまうつもりだったんだが。

 そこへ、陸橋の上からガルバトロン派トリプルチェンジャーのブリッツウィングが落下して来た。コンボイとオクトーン、そして俺、ルナクローバーは銃を向ける。けど俺は撃つ気はない。おそらくこいつの言う事は、想像がついた。

 

「ま、待て!撃つな!聞いて欲しい事があるんだ!このままだとデストロンもサイバトロンも滅んでしまう!」

「ブリッツウィング、お前もソレに気付いたか。」

「な、何!?知ってるのか!?」

「地下に全トランスフォーマーを死に導く、瞬間凍結装置が存在する事は知っていた。それを必死で捜索してたんだがな、破棄するために。

 お前らと言うか、ガルバトロンがクインテッサ星人に、まんまと騙されたんだろう?」

 

 ブリッツウィングは一瞬唖然としたが、すぐに頷く。

 

「そ、そうだ。デストロンのマトリクスなんて、元から存在しない物を手に入れろと(あお)られて……。」

「馬鹿な事を……。」

「コンボイ、俺も馬鹿だと思うが、それよりも今は地下に救援に行くぞ!」

 

 その場の全員が、ブリッツウィングまで含めて頷いた。

 

 

 

 俺たちは、地下でシャークトロンどもを蹴散らした。危うくスイッチを入れられそうになったんだけどな。瞬間凍結装置の。NAIL防衛軍の警備員たちも、負傷者が多い。まったくたまったもんじゃ無え。

 

「こんな隠し部屋にありやがったのか。瞬間凍結装置……。」

「うむ、こんな物はさっさと壊してしまおう。」

「そうだね、コンボイ。同意するよ。……どうしたね?スタースクリーム殿。」

「いや、こんな時にガルバトロンが扉から飛び込んできそうな気がしてな。」

「「「「「……ありそう。」」」」」」

 

 俺はセンサーを全開にして、扉の方向を注意してたんだ。『2010』のアニメではそうだったからな。だがアニメと現実はやはり違うと思い知らされた。……ガルバトロンの阿呆は、天井を突き破って出現しやがったんだ。よりによって、瞬間凍結装置の傍らに。

 

「貴様、ブリッツウィング……。裏切ってそ奴らに付きおったな!?いや、上手くやってデストロンのマトリクスを自分で手に入れるつもりなんだろう!」

「が、ガルバトロン様!違います!デストロンのマトリクスなんて、存在しないのです!あのクインテッサ星人が、我々を上手くこき使うための嘘なのです!しかもあいつらは、最後には……。」

「黙れ黙れ!!貴様の言う事など信じられるか!ははあん、このスイッチだな!?」

「やめろガルバトロン!」

「馬鹿野郎!やめるんだ!」

 

 くそ、この場にはスパイクが居ねえ!!アニメの『2010』では皆が凍結された後に、スパイクが銃を撃って装置を破壊して、皆が(よみがえ)ったのに!万事休すじゃねえかよ!

 

 

 

 そしてガルバトロンの阿呆が、スイッチを入れた。

 

 

 

 凍り付いた俺たちの前を、多面のタコみたいなクインテッサ星人4体がふよふよと浮遊移動して行く。これでセイバートロン星を取り戻せたとか何とか、楽し気な様子だ。だがな。俺は凍り付いた事は凍り付いたが、スパークの奥底になにやら熱を感じる事に気付いたんだ。

 うん、考えればわかる事だった。俺のスパーク(たましい)は、並行異世界の地球人の(たましい)と、かつての『(スタースクリーム)』のスパーク(たましい)の融合体なんだ。つまり俺には、まだやれる事が残ってるんだよ!そして俺は、凍り付いてしまったからこそ気付く事ができた、スパーク(たましい)の奥底から湧き出て来るエネルギーを汲み上げて、瞬間凍結装置に叩きつけた。

 

「うわぁっ!?瞬間凍結装置が!!」

「何が起きたのだ!?」

「この様な事象が起きうる可能性は、0.11%にも満たない。」

 

 そして俺たちの凍結は解けた。クインテッサ星人は、慌てて逃げ出して行く。ガルバトロンはようやく自分が騙されていた事に気付いたんだろう。憤怒(ふんぬ)の形相でクインテッサ星人を追った。

 

「おのれ!待て!そのタコの様な脚を引き抜いて、食ってやるわ!」

「わたしたちも追うぞ!」

 

 コンボイ、オクトーン、ブリッツウィングがその後を追う。と、それに追随しようとしていたルナクローバーが、俺の様子が変なのに気付く。って言うか、気付いてもらえて良かった。ぶっちゃけ、疲れ果ててたんだ。

 

「ど、どうしたんですかスタースクリーム様!?」

「いや、凍結されてた間、念力もどきで瞬間凍結装置破壊したら、使い慣れない能力(のうりょく)使ったんでな。ぶっちゃけ疲れた。」

「か、肩をお貸ししますね!」

「情けねえが、済まんが頼む。」

 

 俺とルナクローバーは、ふらふらとした足取りで奴らを追った。そして地上に出たとき、コンボイとオクトーンがガルバトロンと銃を突き付け合っている所だった。クインテッサ星人には逃げられたのかよ……。ここでブリッツウィングが、『2010』のアニメで屈指とも言える、一連の名言を吐いた。

 

「やめてください!これ以上の戦いは無意味です。3人とも武器を下ろさないと、撃つ!」

「きさまわしに向かってこんな真似をして、二度とデストロンに戻れると思うな!」

「もううんざりですガルバトロン。貴方にリーダーの資格はない!」

「よくもほざきおったなブリッツウィング。この貸しは高くつくぞ!よおく覚えておけい!デストロン軍団、退却(リトリート)!」

 

 うん、ガルバトロンにゃリーダーの資格は無えわな。メガトロン時代ならともかく。俺はエネルギー残量はともかく、疲労が凄まじくトンデモ無かったので、追撃とかできなかった。ちくしょう。追撃できてたら、ガルバトロンを今度こそ消滅するまで叩いてたのに。

 デストロン軍団が退却して行く。それを寂しそうに見つめていたブリッツウィングだったが、やがてしょんぼりと立ち去ろうとした。そこへコンボイが声を掛ける。

 

「待て、ブリッツウィング。」

「撃つなら撃ちやがれコンボイ……。」

「いや、今日君がやってくれた事は、とても大きな事だ。撃つつもりは無いとも。……だが、何処へ行くのかね?」

「さあな。行くところなんて、無えよ。」

「ブリッツウィング!!」

 

 あ、オクトーンが動いた。

 

「ブリッツウィング、どうかわたしの……俺の頼みを聞いてくれないか?」

「ふ、『俺』……か。さっきまでのとり澄ました口調より、そっちの方が懐かしくていいな。」

「茶化すなよ。今、セイバートロン星デストロン自治区のデストロンたちは、弱いんだ。いや、1対1とかなら強い。下手なサイバトロンや、NAILの一般軍人には負けない。だけどよ。俺の指揮下ならともかく、集団での戦いでは……。」

 

 オクトーンは必死で続ける。

 

「頼むブリッツウィング、俺を助けてくれ。俺を、テロリスト『ガルバトロン派』なんかじゃなく、デストロン正規軍の『将軍』として支えてくれ!お前の力が、どうしても必要なんだよ!」

「……。」

「……。」

「俺が、『将軍』?」

「ああ!」

 

 ブリッツウィングは、しばし悩んだ風情でいたんだが……。やがて、オクトーンの前に跪いた。

 

「このブリッツウィング、オクトーン総帥に忠誠を。」

「……ありがとうよ、ブリッツウィング。俺は、お前の期待を絶対に裏切らない事を誓うぞ。」

「期待を裏切りそうだったらよ。ぶん殴っても本道に戻してやるよ。」

「おお、怖えな。」

 

 この調子なら、大丈夫そうだな。うん、サイバトロン自治区とデストロン自治区で、ちょっと格差が出てたのを心配してたんだよな。少しでも埋まりそうで、ほっとしたぜ。

 

 

 

 だけど、どうしようかね。あの時にスパーク(たましい)の奥底から湧き出て来た念力じみた(パワー)。今はまだ自由には使えない。けど、使える様に努力して練習しておく必要が……あるんじゃねえかな。この世界線が、日本版のアニメに準じて流れて行くんなら、そのうち必須になる能力だ。海外版の世界観に沿っていたとしても、あって邪魔になるもんでもないが。

 この超魂パワーじゃないかと思われる能力(ちから)は。




いや、人の魂と融合してる以上、人超魂が使えてもおかしくないですよね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。