我が名はスタースクリーム   作:雑草弁士

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第22話:日常だってのに、なんでこうも大変なんだ

 腰部のビームキャノンから撃ち放ったビームが、訓練標的を粉砕して訓練場の壁に大穴を開ける。恐ろしい威力だ。ヴァーテックスキャノンに匹敵する。って言うか、怖い。超魂パワーを武器に乗せて攻撃するのは、『超神マスターフォース』で必殺技的に使われてたけどさ。

 

 ……これで、ヴァーテックスキャノンやヴァーテックスブレイドに超魂パワー乗せたら、どうなるんだろう。何事も無い内に、試して置く必要があるだろうなあ……。ちなみに3種類の超魂パワー、宇宙の力を使う天超魂、地球っつうか惑星の大地の力を使う地超魂、人の魂の力を使う人超魂、俺は全部使う事ができた。いや、たぶん天地人のそれぞれの力だろうなー、って思っただけなんだが。

 

 いや、だってよ……。超魂パワーってこの時代だとメジャーじゃないじゃん。本当にこれが天超魂で、これが地超魂で、こいつが人超魂だってカッチリしっかり調べらんねえよ。大体の感じとして、力の源が感覚的に大空から降って来る奴を変換してるのか、大地から伝わって来るのを変換してるのか、それともスパーク(たましい)の奥底から湧いて来るのか、それで分類してるだけなんだしな。

 

「ふう……。疲れたぜ」

 

 うん、思いっきり疲れた。先日ほどじゃ無えけどな。先日、瞬間凍結装置で凍結されたときに初めて超魂パワー……人超魂使ったんだが、そんときはぶっちゃけ人事不省になりそうなほど疲れた。何回か練習してある程度自由に使える様になった今では、『思いっきり疲れる』って程度で済んでる。

 

 ただなあ……。慣れるに従って疲労は減っては来ている。けれど、戦闘の邪魔にならないほどには減ってはいねえ。今の熟練度だと、超魂パワーはトドメの一撃か、一か八かの賭けにしか使えねえな。

 

「あとは……。あれ、かあ。巨大化……」

 

 うん、『ベクタープライムの警告』に従って良かった。実戦でうかつに使うと、やばい。スカイファイアー、サンダークラッカー、ルナクローバー、シックスショット、コンバッティコン、プロテクティコンと言った、絶対的に信頼できる奴らだけ集めて巨大化できる事を打ち明けて、万が一のときは俺を取り押さえろと命じて試してみたんだ。

 

 

 

 頭悪くなった。

 

 

 

 いや、合体闘士ぐらいのデカさになってみたらよ。はっきり言ってどうにも頭に(エネルゴン)が回って無いみたいな感じでよ。論理的な思考が難しくなった。あと他に、闘争本能ってえか、破壊本能みたいなのが増しててよ。ちょっとばかり凶暴になってたなあ。

 

 どのぐらいかって言うと、ちょっとした不機嫌で周囲の物に当たり散らしたくなる程度。このサイズだとそのぐらいで済んだんだが、やっぱりちょっと我慢が必要だったんだよな。

 

 もしかしてプライマスのスパークじゃなく、ユニクロンのスパークなのが悪かったのかな? いや、そんな事ぁ無えとは思うんだが。そういや、GFスタスクも、スーパーになったらちょっと頭悪くなってたしな。妙に好戦的だったし。って言うか揉め事があった時とか、頭脳じゃなく力で全部解決しようとしてたよな、アニメだと。

 

 結局、身体の大きさを元に戻せばいいんじゃね? って考え付いたのは、頑張って我慢して、ちょっと経った後の事だった。やっぱり頭悪くなってたな。

 

「巨大化は、ほんとに最後の最後の手段にしとこう。必要なときは、パンチとかキックを一瞬巨大化させるだけにして」

 

 ほんとに、どの能力も落とし穴があるもんだ。そう思って溜息を吐く。そのとき、ある事に気付いた。

 

「……巨大化してヴァーテックスキャノンやブレイド使う時、更に超魂パワー使ったらどうなる?」

 

 ……おっかねえから、考えない事にした。

 

 

 

 さて、先日のガルバトロン派襲撃なんだが。普通の巨大戦士2~3体と互角に戦える巨重合体兵プレダキングのおかげで、えらい損害だった。ことにサイバトロン自治区は一番酷い目に遭っている。まったくガルバトロン派(あいつら)、ろくな事しねえ。

 

 ちなみに地球も同時攻撃を受けて、大損害とまではいかないが結構な被害が出たらしい。おそらくはこれもプレダキングのアニマトロン部隊同様に、クインテッサ星人の力を借りて命を吹き込んだんだろうガルバトロン派のダイノベース……。つまり超巨大なトランスフォーマーであるダイナザウラーが暴れまわったんだ。

 

 幸いにもサイバトロン軍団のスクランブルシティ、超巨大トランスフォーマーのメトロフレックスへのトランスフォーム・コグ取り付けが間に合い、撃退に成功したんだが。ほんとに間に合ってよかった。

 

 なお軍事バランスを整えるために、セイバートロン星のデストロンとNAILにおいてもそれぞれスクランブルシティ計画は立ち上がっている。もっとも進捗度合いはあんまり行ってないけどよ。だけど3陣営の軍事バランスは、できるかぎり保って置かなきゃならねえ。

 

 可能ならば3陣営のうちNAILの軍事力は、他の2陣営が協力態勢を取っても勝ち得るレベルにしておきたいんだがよ。そうも行かねえ。んな事したら、NAILが他の2陣営を信じてねえって言ってる様なもんだし。だから3陣営のそれぞれが、他の2陣営が協力すれば抑えられる程度のバランスにして置く。

 

 今のところ突出してるのが、メトロフレックスを完成させたサイバトロンだ。ただしメトロフレックスは地球に居るから、セイバートロン星での軍事バランスには直接の影響は少ねえ。

 

 まあだけど、NAILとデストロンのスクランブルシティも、完成したら地球防衛部隊に置くのが良いかな。どうせダイナザウラーも地球に潜伏してるみたいだし。各勢力の戦力バランス的に。

 

 

 

 スカイファイアーが誘拐された。クインテッサ星人が、トランスフォーマーの精神、性格を調査して自分たちの知識との違いを確認するために、トランスフォーマー各陣営から1人ずつ、そして地球人から地球防衛軍のメリッサ・フェアボーン大尉を誘拐しやがったんだ。

 

 俺は『トランスフォーマー2010』のストーリーを知ってたから、この事件は警戒してたんだがな。ほんの僅かな差で、阻止に失敗した。だが阻止に失敗する可能性も考えて、サイバトロン陣営、オクトーン率いるデストロン主流派陣営、ジャンキオン、地球防衛軍には根回しをしておいたんだ。

 

 各陣営は急ぎ協力し、捜索隊を編制。そしてサイバトロンのUFO型トランスフォーマーであるアダムスが、不審な宇宙船を発見したんだ。ちょうど内部では、誘拐された者たちが脱出を試みていたらしく、アダムスは彼らの発信したSOSを受信、すかさず報告して来た。俺たちは大至急、不審船を拿捕して仲間達を救うべく、用意していた攻撃部隊を発進させたんだ。

 

 なんとかクインテッサ星人の宇宙船がブラックホールに落ちる前に、拿捕する事ができたんだよな。ガルバトロン派から(さら)われたサイクロナスは、直前で逃げて行ったが。犯人のクインテッサ星人は、配下のシャークトロン・ガードを見捨てて脱出ポッドで逃亡した。

 

 こんなわけで、NAILのスカイファイアー、サイバトロンのウルトラマグナス、デストロン主流派のラナマック、ジャンキオンのレックガー、地球防衛軍のメリッサ大尉は救出された。シャークトロン・ガードは兵装やトランスフォームの回線をカットして、拘置所行きだ。裁判の結果、たぶん刑務所行きになるとは思うんだけどな。

 

 

 

 宇宙には、磁気の渦によって航行不能な領域が存在する。その磁気の渦の向こうには、惑星パラドロンと言う、エネルギーに満ち溢れた惑星がある。この惑星にはかつてグレートウォーの時代、戦いから逃れたサイバトロンたちが疎開していた。

 

 そして現在、このサイバトロンたちは数百万年に渡り、奇跡的に戦いの無い世界を創り上げていたりする。だがしかし、反面このサイバトロンたちは完全に平和ボケしていた。彼等は、全てが話し合いで解決できると言う理想を持っているのはいいのだが、それが現実に合致しない場合もあると言う事を理解しない。

 

 そんなもんで、俺たちNAIL、サイバトロン、デストロン主流派が特殊仕様の宇宙船で向こうに出向いて交流を開始したんだが。向こうはかつての故郷セイバートロン星が復興した事を喜び、交易を行う事にはもろ手を挙げて賛成してくれた。だが反面、ガルバトロン派の襲撃に備えてこちら3陣営の防衛部隊を駐留させる事に関しては、表向きやんわりと、その実頑固なまでに拒否したんだよな。

 

 そして今、独断で単身磁気の渦を超えて来た惑星パラドロンの民、トリプルチェンジャーであるトリプルボットの1人、サンドストームが必死にこちらへ頭を下げている。

 

「惑星パラドロン政府の判断は間違っていました! 今、惑星パラドロンはガルバトロン派の手に落ちようとしています! どうか、どうか援軍の派遣を!」

 

 緊急で集まった俺、コンボイ、オクトーンの3人は、互いに顔を見合わせる。コンボイは重々しく言った。

 

「わたしたちサイバトロンとしては、同胞たるパラドロンの民が窮地に陥っているのを見捨てるわけにはいかない」

 

「デストロンとしても、テロリストであるガルバトロン派が、潤沢なエネルギーの供給源を得て強大化するのは、なんとしても防ぎたいね」

 

 オクトーンも語る。俺も正直、賛同したいはしたいんだが、まあ言わなきゃならん事は言って置こうか。

 

「俺とNAILも、援軍の派遣には賛成だ。賛成なんだが……。サンドストーム、必死になってるお前さんにゃ悪いが、お前さんはパラドロン政府の代表じゃねえだろ? その辺をなんとかクリアにしねえと、後々問題になる」

 

「た、たしかにそうかも知れませんが!」

 

「と言うわけでお前さん。俺たちは出撃準備してるから、お前さんは星間テレビに出演してくれ」

 

「「「……は?」」」

 

 サンドストームだけじゃなく、コンボイとオクトーンまで変な顔して唖然としやがった。

 

 

 

 そしてNAIL、サイバトロン、デストロン主流派の3陣営が合同で編制した惑星パラドロン救援軍が、磁気の渦を越えられる特殊仕様宇宙船の艦隊に乗って出撃して行く。『技術屋の天国(エンジニアーズ・ヘブン)』の指令室で、俺は離床して行く宇宙船群を、映像スクリーンで眺めていた。

 

 視界の端では、別のスクリーンにニュース番組が映っている。そこではあのサンドストームが、『ガルバトロン派の侵略を受けた惑星パラドロンから、命からがら脱出して来た悲劇の一般人』として、涙ながらの懇願をしていた。このニュースは、既に何回も何回も放映されている。

 

 これにより、少なくとも地球やセイバートロン星の圏内では、今回の惑星パラドロンへの派兵について、後で文句を言う奴はいないだろう。と言うか、言えない様な世論を作り上げている。

 

「後は、救援軍がなんとか惑星パラドロン救援に成功してくれれば、万々歳なんだが」

 

「無いとは思うんですけどー。救援軍指揮官のウルトラマグナスあたりが短気起こして、ガルバトロン派にパラドロン渡さないために惑星を爆破しちゃったり」

 

「ルナクローバー、頼むから危ねえ事言わねえでくれねえか? 口に出したりしたら、本当になりそうで怖い」

 

 い、いや。イカレ暴走族(ホットロディマス)は今回従軍して無えから、たぶん大丈夫だと思うんだが。頼むから、ふっ飛ばさないでくれよー? 惑星パラドロンを。

 

 

 

 結局のところ、アニメの『トランスフォーマー2010』と違って惑星パラドロンは、無事生き残った。惑星の傷は深かったものの、なんとかかんとかガルバトロン派を撤退させたんだ。その上で、惑星パラドロンにはサイバトロン、デストロン、NAILの大使館が置かれる事になった。

 

 ……まあ、大使館って言ってもその実は、軍事基地なんだけどな。惑星パラドロン政府も、今回の事で少し方針を変える模様。市民から兵を募り、ガルバトロン派などから自衛するための防衛軍を編制したんだ。数は少ねえが。だがこの宇宙には、話が通じない連中もいるとの認識を持つ様になったのは、大きな変化だ。

 

 ちなみにサンドストームは、アニメの『トランスフォーマー2010』通りにサイバトロン軍団入りした。そして今は地球のサイバトロン大使館勤めをしている模様。まあ、丸く収まって良かった。

 

 

 

 そして今、俺は深く悩んでいた。このまま世界が推移して行けば、近い将来この宇宙は、対ユニクロン戦かそれ以上の脅威にさらされる事になる。アニメの『トランスフォーマー2010』での知識では、確かに枠こそ普通の30分弱の放映枠ではあったものの、劇場版の映画以上にヤバい事態が待ち受けているのだ。

 

「全宇宙のエネルギーを吸い尽す化け物、エネルギー生命体トルネドロン……。ユニクロンを創り出した天才にして天災科学者プリマクロンの新作」

 

「基本的に事情を知ってるのは、わたしと君だけだからねえ。かと言って、未来情報を他(トランスフォーマー)に明かしたりしたら、気がふれたと思われるのがオチだろうし」

 

 俺とスカイファイアーは、考え込む。スカイファイアーは俺にアニメ知識があるのも知ってるからなあ。1人で悩まずに済んで、本当に良かったと思う。

 

「とりあえず、ユニクロンを創ったのもプリマクロンなんだよね? それを建前にして、プリマクロンを捜索させたらどうかな? 賞金でもかけて」

 

「それしか無いか……」

 

 うん、放置しておいてアニメ同様に、グリムロックの思いつきで宇宙が救われるなんて事は、期待しちゃいかんだろう。いや、アニメではグリムロックの本当に本気で単なる思い付きの行動で、宇宙が救われたんだ。だけどグリムロックにゃ悪いが、奴の思いつきに全てを賭ける気にはなれねえ。うん、物凄く恐ろしい。

 

 スカイファイアーの言った通り、NAILが中心になって、賞金付きでプリマクロンを探させる事にした。見つかってくれるといいんだが……。




久しぶりの投稿です。遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。

っさて、スタスクですが超魂パワーの鍛錬や実験、巨大化を試すなど、色々やってみました。そしてどの能力にも、色々とマイナス面がある事が発覚。うかつには使えませんねー。

そしてスタスクが非常に警戒している、『トランスフォーマー2010 日本版26話 原始の呼び声』で登場するエネルギー怪物『トルネドロン』。ユニクロンを創りやがった天災科学者プリマクロンの最新作。
アニメ原作では、グリムロックの思い付きでナントカなってしまいましたが、スタスクとしてはソレに全て任せるわけにも行きません。どうしたものかと必死に考え込んでます。
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